2026年税制改正で「不動産節税」はどう変わる?大家さんが今すぐ確認すべき3つのポイント

投稿日:2026年04月16日

2026年税制改正で「不動産節税」はどう変わる?大家さんが今すぐ確認すべき3つのポイント

はじめに

朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。

「不動産を購入すれば相続税が安くなる」——そんな話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

 

実際、これまで多くの不動産オーナーや資産家が、賃貸マンションや一棟アパートの購入を通じて相続税対策を行ってきました。ところが、2026年度(令和8年度)税制改正により、この「定番の節税スキーム」に大きなメスが入ることが決まりました。

 

本記事では、今回の改正で何がどう変わるのか、そして大家さん・不動産オーナーが今すぐ確認すべき3つのポイントを、できるだけわかりやすく解説します。

そもそも「不動産で相続税対策」はなぜできるの?

まず、今回の改正を理解するための基礎知識として、なぜ不動産が相続税対策になってきたのかを整理しましょう。

 

相続税は「評価額」で計算される

相続税は、亡くなった方の財産に対してかかる税金です。重要なのは、相続税の計算に使う「評価額」が、必ずしも不動産の実際の取引価格(時価)と一致しないという点です。

 

土地の場合、相続税評価には「路線価方式」と呼ばれる方法が使われます。路線価とは、国税庁が毎年発表する道路に面した土地の価格のことで、一般的に時価の60〜80%程度に設定されています。

 

さらに、賃貸用不動産(人に貸しているマンションや土地)については、「貸家建付地」「貸家」として評価が下がる仕組みがあります。これを活用すると、時価と評価額の差がさらに広がり、大きな節税効果が生まれます。

 

具体例で見る節税効果

例:1億円の現金 vs. 1億円の賃貸マンション
● 現金1億円……相続税評価額は1億円(時価=評価額)
● 賃貸マンション1億円で購入……相続税評価額が6,000〜7,000万円程度にこの差額2,000〜4,000万円が「課税されない財産」として節税につながります。

このような「評価差」を使った節税は、何十年もの間、多くの大家さん・資産家に活用されてきました。

 

【ポイント①】「5年ルール」の導入——相続直前の購入は評価が変わる

2026年度税制改正で最も注目されているのが、「相続直前に購入した不動産の評価方法の見直し」です。

 

改正の内容

2027年1月1日以後の相続・贈与から、次のルールが適用されます。

相続発生前(または贈与前)5年以内に取得または新築した賃貸用不動産については、従来の路線価評価ではなく、「通常の取引価額(市場価格)の80%相当額」で評価されることになります。

 

改正前後の比較表

 改正前(現行)改正後(2027年1月1日〜)
取得後5年以内路線価ベースで評価→ 時価の約60〜70%通常の取引価額の80%で評価(節税効果が大幅減少)
取得後5年超路線価ベースで評価→ 時価の約60〜70%【変更なし】路線価ベースのまま
不動産小口化商品路線価ベースで評価(大きな節税効果あり)取得時期問わず通常取引価額相当で評価

わかりやすく例で説明

例:1億円の賃貸マンションを購入した場合
● 改正前(現行):路線価ベースで評価 → 評価額は約6,500万円程度
● 改正後(取得後5年以内):市場価格の80%で評価 → 評価額は約8,000万円→ 評価額が約1,500万円増加。相続税の負担も大きく変わります。

「5年以上前から持っている不動産」はどうなる?

5年以上前から継続して保有している賃貸用不動産については、従来の路線価評価が維持されます。つまり、長期保有を前提とした本来の賃貸経営であれば、今後も節税効果は継続します。

 

今回の改正は「節税目的での短期的な不動産購入」に的を絞ったもの、とも言えます。長期的な賃貸経営を行っている大家さんへの影響は、比較的限定的です。

 

【ポイント②】不動産小口化商品は「取得時期を問わず」評価見直し

もう一つ、特に注意が必要なのが不動産小口化商品への対応です。

 

不動産小口化商品とは?

不動産小口化商品とは、一棟のビルや不動産を小口に分けて複数の投資家が共同で保有する仕組みです。100万円〜1,000万円程度から投資でき、「手軽に不動産への投資ができる」「相続税対策にもなる」として近年人気を集めていました。

 

改正の内容

不動産小口化商品については、取得時期を問わず、「通常の取引価額相当」で評価されることになります。5年ルールよりも厳しく、すでに保有している商品も対象です。

 

これにより、これまでの「小口化商品を購入すれば評価が大きく下がる」という節税効果は、実質的に失われることになります。

 

すでに保有している方は?

不動産小口化商品を保有している方は、以下を確認しましょう。

 

・現在の保有額と相続税評価への影響を試算する

・売却・換金の可否・時期を検討する

・早めに専門家(税理士・FP)に相談する

 

【ポイント③】2026年は「駆け込み対策」の最後のチャンス——でも焦りは禁物

 

今回の改正は2027年1月1日施行です。つまり、2026年中の相続・贈与であれば、まだ現行のルールが適用されます。「2026年が実質的な節税対策の最終年」と言われる所以です。

 

今からでも有効な対策

① 相続時精算課税制度の活用

2024年の制度改正で、相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が追加され、使いやすくなりました。この制度を使って2026年中に贈与を行うと、贈与時の不動産評価額が固定されます。今後の地価上昇が見込まれる物件では特に有効な対策になり得ます。

 

② 長期保有不動産の活用

すでに5年以上保有している不動産は、改正後も路線価評価が適用されます。長期保有の物件がある方は、相続の順番や遺産分割の方法を今から整理しておくことで、節税効果を最大化できます。

 

焦って動くことのリスク

一方、「急いで不動産を買わなければ」と焦るのは危険です。

節税だけを目的に不動産を購入すると、次のようなリスクが生じることがあります。

 

・収益性が低い物件をつかんでしまうリスク

・不動産市場の価格変動によって資産が目減りするリスク

・維持管理コストや空室リスクを十分に考慮せず購入してしまうリスク

税務上の最適解が、資産全体から見た最適解ではないことも多々あります。大切なのは「節税ありき」ではなく、「資産全体の最適化」という視点です。

 

まとめ:今すぐやるべきこと

今回の改正を受けて、大家さん・不動産オーナーが今すぐ取り組むべきことをまとめます。

・現在保有している不動産の「取得時期」を確認する→ 5年以上前から保有している物件かどうかで、改正の影響が大きく異なります。

・不動産小口化商品を持っている場合は早めに専門家へ相談する→ 改正後は節税効果が限定的になるため、出口戦略を今のうちに検討しましょう。

・相続を見越した資産の「棚卸し」を行う→ どの不動産を誰にどのように承継するか、早めに整理しておくと対策の選択肢が広がります。

・「焦りの駆け込み購入」はしない→ 節税だけを目的とした無計画な購入は、後悔につながるリスクがあります。

 

おわりに

不動産税制は毎年のように改正され、昨日まで有効だった対策が翌年には使えなくなることも珍しくありません。

今回の令和8年度税制改正は、多くの不動産オーナーにとって「これまでの常識」が変わる、大きな転換点です。

「うちはどう影響を受けるの?」「今から何ができる?」と気になった方は、ぜひ一度、専門の税理士にご相談ください

 

当事務所では、不動産税務・相続税務を専門とする税理士が、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なプランをご提案しています。初回のご相談はお気軽にどうぞ。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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