共有名義の不動産が招く塩漬けリスク 大家の防衛5策

投稿日:2026年07月28日

共有名義の不動産が招く塩漬けリスク 大家の防衛5策

朝4時起きの税理士、丸山です。
本日は「共有名義の不動産が招く塩漬けリスク」についてお話しします。

 

「兄弟で仲良く半分ずつ持てば公平だから」——相続の現場で、これほど頻繁に耳にする言葉はありません。
争いを避けるための共有。
ところが20年以上この仕事をしてきて、共有こそが後の争いと「塩漬け」を生む最大の火種だと痛感しています。
公平に見える共有は、実は「動かせない状態」を全員に等しく配ることなのです。

1.共有は「1人の反対」ですべて止まる

民法は共有物の扱いを3段階に分けています。
売却や建替えといった「変更・処分」は共有者全員の同意、賃貸借契約など「管理」は持分の過半数、修繕などの「保存」は単独で可能
つまり2分の1ずつの兄弟共有なら、売却はもちろん管理行為すら過半数に届かず、意見が割れた瞬間に何一つ決まりません

 

「兄は売りたい、弟は貸し続けたい」で10年塩漬け、その間に固定資産税だけが出ていく。
しかも固定資産税は共有者全員の連帯納税義務です。
弟が払わなければ、市町村は兄に全額を請求できます。
持分は半分でも、負担は100%背負う可能性がある
これが共有の非対称性です。

2.放置すれば権利者はネズミ算式に増える

共有の本当の恐ろしさは時間です。
兄弟2人の共有物件を放置すると、それぞれに相続が起きて子3人ずつに分かれ、10年後には6人。
さらに次の世代で十数人になります。
顔も知らない親族の実印が必要になり、1人でも所在不明なら手続きは事実上停止します。

 

令和6年4月から相続登記が義務化され、取得を知った日から3年以内に登記しなければ10万円以下の過料の対象です。
そのため「とりあえず法定相続分で共有登記」で済ませる例が急増していますが、これは義務を果たしただけで、問題は先送りされているにすぎません
なお令和5年施行の民法改正で、所在等不明共有者の持分を裁判所の決定により取得する制度が新設され、出口は以前より整いました。
ただし時間もコストもかかります。
作らないのが最善です。

3.出口は3つ。税務の扱いを間違えない

すでに共有になっている場合、「共有物分割」という出口があります。
方法は3つ。

 

現物分割は土地を持分どおりに分ける方法です。
持分に応じた分割であれば譲渡所得課税は生じません(所得税基本通達33-1の7)。
ただし分割後の価額が持分割合とずれると、その差額が贈与や譲渡として課税されます。
角地と旗竿地に分けて「面積は同じ」では通りません。
鑑定評価で裏を取るべき場面です。

 

代償分割は1人が全部を取得し、他の共有者に金銭を支払う方法
事業や賃貸経営を継ぐ側に資産を集約でき、実務では最も使いやすい選択肢です。

 

換価分割は売却して現金で分ける方法
ここに攻めどころがあります。
居住用財産の3,000万円特別控除は、共有者それぞれが要件を満たせば各人に適用できます。
兄弟2人が住んでいた実家なら合計6,000万円。
相続空き家の特別控除も相続人ごとの適用が可能です(令和6年以降、取得者が3人以上の場合は1人2,000万円に縮小)。
売り方の設計だけで税額が数百万円変わるのです。

4.丸山会計は「共有を作らない設計」から関与します

共有は、分けた瞬間ではなく10年後に効いてきます
だから私たちは、遺産分割の話し合いが始まる前——できれば相続が起きる前から関与したいと考えています。
誰が何を継ぐのか、代償金の原資をどう作るのか、生命保険で用意するのか、法人へ移すのか
お金が大きく動く前に設計するから、選択肢が残るのです。

 

確定申告だけを請け負う税理士なら、共有登記が終わった後に「もう動かせません」と言うしかありません。
私たちが「攻める税理士」を掲げるのは、手遅れになる前に提案するためです。
経営理念は「ともに未来を描く」。
10年後に誰も困らない形を、ご家族と一緒に描かせてください。

まとめ

共有名義は公平に見えて、実は「動かせない不動産」を全員に配る仕組みです。
売却は全員一致、固定資産税は連帯責任、放置すれば権利者は世代ごとに倍増します。
すでに共有なら、現物・代償・換価という3つの出口を税務の扱いまで含めて設計すること
これから分けるなら、そもそも共有を作らないこと
判断は早いほど、残る選択肢は多くなります。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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