不動産所得の赤字を活かす損益通算 5つの実務ポイント
投稿日:2026年07月26日

朝4時起きの税理士、丸山です。
本日は「不動産所得の赤字と損益通算」についてお話しします。
「不動産投資で赤字が出た=失敗した」——多くのオーナーさんがそう思い込んでいます。
しかし実務の現場では、話が逆になることが少なくありません。
帳簿上は赤字でも、手元にはしっかり家賃収入が残っている。
そんな『見せかけの赤字』を戦略的に作り出し、給与所得や事業所得にかかる税金まで取り戻す。
これが不動産所得ならではの節税の醍醐味です。
今日は、その仕組みである損益通算を、落とし穴も含めて丁寧に解説します。
① そもそも損益通算とは?不動産所得だけの“特権”
損益通算とは、ある所得のマイナスを他の所得のプラスと相殺できる仕組みです。
所得税は原則として所得の種類ごとに計算しますが、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得の4つで生じた赤字に限り、給与所得などの黒字と通算できます。
たとえば給与所得800万円のサラリーマン大家さんが、不動産所得で200万円の赤字を出したとします。
すると課税対象は600万円まで圧縮され、所得税・住民税あわせて税率約30%なら、およそ60万円もの税金が戻ってくる計算です。
本業の給与から源泉徴収された税金を確定申告で取り戻せるのは、不動産所得の赤字があってこそなのです。
② カギは減価償却——“お金が出ていかない経費”
では、家賃が入っているのになぜ赤字になるのか。
答えの多くは『減価償却費』にあります。
建物や設備は買った年に全額を経費にできず、法定耐用年数にわたって少しずつ費用化します。
木造アパートなら22年、鉄骨造なら34年、RC造なら47年が目安です。
重要なのは、減価償却費は帳簿上の経費であって、実際に現金が出ていくわけではないという点。
たとえば家賃収入500万円、管理費や金利など実際の支出が350万円でも、減価償却費が200万円あれば帳簿は50万円の赤字になります。
手元には150万円のキャッシュが残りながら、税務上は赤字として給与と通算できる。
耐用年数が短い中古の木造物件ほど、この効果は大きくなります。
築22年を超えた木造なら耐用年数はわずか4年。
1,000万円の建物なら年250万円を一気に償却でき、初期の数年で大きな赤字を作り出せます。
③ 最大の落とし穴——“土地の借入金利子”は通算できない
ここで必ず押さえてほしい落とし穴があります。
不動産所得が赤字のとき、その赤字のうち『土地等を取得するために要した借入金の利子』に対応する部分は、損益通算の対象から除外されます(租税特別措置法41条の4)。
つまりフルローンで土地から購入した物件で大きな赤字が出ても、土地分の金利に相当する赤字は他の所得と相殺できません。
建物分の金利はOK、土地分はNG——この線引きを知らずに申告し、後日の税務調査で否認・追徴となるケースは実際に起こります。
借入金が建物と土地のどちらに充てられたかを、契約書や資金計画の段階から意識しておくことが、後悔しないための第一歩です。
④ 丸山会計の視点——赤字は“設計”するもの
私たち丸山会計事務所は、こうした損益通算を『結果』ではなく『設計』として捉えます。
物件購入の前に、建物と土地の価格按分、耐用年数の選び方、借入の組み方までシミュレーションすれば、どの年にどれだけの節税効果が生まれるかを事前に描けます。
守りの確定申告で終わるのではなく、お金が動く前に手を打つ。
これが提案型の“攻める税理士”としての私たちの流儀です。
経営理念に掲げる『ともに未来を描く』とは、まさにこの一歩先を見据えた設計のこと。
『知らなかったから損をした』をなくすために、数字の先にある未来まで一緒に考えます。
⑤ 実務で効く——押さえるべき5つのポイント
最後に、今日の内容を実務で使うための要点を5つに整理します。
第一に、不動産所得の赤字は損益通算で給与などの税金を取り戻せること。
第二に、その原動力は現金が出ていかない減価償却費であること。
第三に、中古の木造など耐用年数の短い物件ほど短期間で大きな効果が出ること。
第四に、土地取得のための借入金利子に対応する赤字だけは通算できない(措法41条の4)という制限があること。
そして第五に、これらは物件を買ったあとではなく、買う前の設計で差がつくということです。
この5点を押さえるだけで、確定申告の景色は大きく変わります。
まとめ
不動産所得の赤字は、必ずしも失敗ではありません。
減価償却を活かした損益通算は、会社員でも資産家でも使える強力な節税策です。
ただし土地の借入金利子には通算制限という落とし穴があり、物件を買う前の設計こそが節税の成否を分けます。
判断に迷ったら、ぜひ丸山会計にご相談ください。
ともに、あなたの未来を描きます。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


