数字で追う不動産所得の計算 大家が押さえる4つの勘所
投稿日:2026年06月28日

朝4時起きの税理士、丸山です。
本日は「不動産所得の計算のしくみ」を、実際の数字を追いながらお話しします。
「家賃が年間600万円入ったから、その600万円に税金がかかる」——そう思っていませんか。
実はこれ、大きな誤解です。
税金がかかるのは家賃そのものではなく、家賃から必要経費を差し引いた『不動産所得』に対してだけ。
この計算の構造を理解しているかどうかで、手元に残るお金は数十万円単位で変わります。
今日は計算の流れを4つの勘所に分けて、数字で追ってみましょう。
勘所① 不動産所得は「総収入金額-必要経費」で決まる
不動産所得の出発点は、とてもシンプルな引き算です。
総収入金額(家賃・礼金・更新料・共益費など)から、必要経費を差し引いた残りが所得になります。
たとえば年間家賃収入600万円のアパートで、固定資産税30万円、損害保険料10万円、管理委託料36万円、借入金の利息80万円、修繕費40万円の経費がかかったとします。
経費合計は196万円。
ここまでで所得は404万円です。
ところが、ここに『もう一つの経費』が加わることで、納税額は大きく変わってきます。
それが次の勘所です。
ここで押さえたいのは、何が必要経費になるかの線引きです。
物件にかかる固定資産税や管理費、入居者募集の広告料、税理士報酬などは経費になりますが、自宅兼用部分や私的な支出は按分・除外が必要です。
経費として認められる範囲を正しく把握することが、所得計算の土台になります。
勘所② 減価償却——現金が出ていかない最強の経費
減価償却とは、建物の取得費を法定耐用年数にわたって少しずつ経費に計上していく仕組みです。
重要なのは、これが『すでに支払い済みで、その年に現金が出ていかない経費』だという点。つまり手元のキャッシュを減らさずに所得だけを圧縮できる、大家さんにとって最強の経費です。
先ほどの例で、建物の取得価額が3,000万円、木造の耐用年数22年だとすると、年間の減価償却費はおよそ136万円(3,000万円÷22年)。
これを差し引くと、所得は404万円から268万円まで下がります。現金は1円も出ていないのに、課税対象がこれだけ縮むのです。中古物件であれば耐用年数が短くなり、償却スピードはさらに速まります。
減価償却でさらに手元にキャッシュを残す「攻めの手法」があります。
物件を購入した際、契約書に「建物3,000万円」と一括で書かれていても、それをそのまま22年で償却してはいけません。
実は建物の中には、電気設備、給排水設備、ガス設備などの「建物附属設備」が含まれています。
これらは建物本体よりも耐用年数が短く(おおむね15年など)、本体から金額を合理的に切り分けて別々に償却計算を行うことで、購入初期の減価償却費を大きく膨らませることが可能です。
この「区分計上」の手間を惜しまないことが、初期の納税額を抑えて資金繰りを安定させる重要なテクニックです。
勘所③ 損益通算と青色申告特別控除で課税所得を削る
不動産所得が赤字になった場合、その赤字を給与所得や事業所得とぶつけて相殺できます。
これが『損益通算』です。
たとえば物件購入初年度に登記費用や金利がかさんで不動産所得が50万円の赤字なら、給与所得から50万円を差し引け、源泉徴収された税金が還付されるケースもあります。
(ただし、土地を取得するための借入金利子によって生じた赤字部分は、給与所得等と損益通算できないという重要な例外ルールがあるため注意が必要です。)
さらに、事業的規模(おおむね5棟10室以上)で青色申告をしていれば、最大65万円の青色申告特別控除が使えます。
先ほどの所得268万円なら、控除後は203万円。
所得税率20%の方なら、この控除だけで約13万円の節税です。
複式簿記とe-Taxという要件はありますが、効果を考えれば取り組む価値は十分にあります。
白色申告のままでは、この控除も赤字の繰越しも使えません。
同じ家賃収入でも、申告の仕方ひとつで手元に残る金額が変わるのです。
加えて、青色申告では生計を一にする家族へ支払う給与を『専従者給与』として全額経費にできます。
配偶者に管理業務を任せて適正な給与を支払えば、所得を家族に分散させ、世帯全体の税率を下げることも可能です。
勘所④ 丸山会計は「攻めの計算」でともに未来を描く
ここまで見てきたように、不動産所得は『どの経費を、どのタイミングで、どう計上するか』で結果が大きく動きます。
守りの記帳代行だけなら誰でもできますが、私たちは違います。
建物と設備を分けて償却を加速させる、修繕の実施時期を所得状況に合わせて調整する、法人化のタイミングを見極める
——お金が大きく動く局面でこそ、積極的な提案で納税額に差をつけるのが『攻める税理士』の仕事です。
丸山会計事務所の経営理念は「ともに未来を描く」。
数字の意味を一緒に読み解き、オーナー様の資産を守り育てるパートナーでありたいと考えています。
まとめ
不動産所得は「収入-必要経費」で決まり、減価償却・損益通算・青色申告特別控除を使いこなすことで、現金を減らさずに課税所得を圧縮できます。
家賃収入そのものに課税されるという思い込みを捨て、計算の構造を味方につけることが、賢い不動産経営の第一歩です。
判断に迷う場面では、ぜひ専門家を活用してください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


