実は損してる!不動産所得の5大誤解と対策
投稿日:2026年05月28日

朝4時起きの税理士、丸山です。
本日は「不動産所得の基礎にひそむ5つの誤解とその対策」についてお話しします。
「家賃収入から経費を引いて、残った利益に税金がかかる」
――確かに大枠はそのとおりです。ところが実務の現場で何百件もの大家さんの申告書を拝見してきた私が断言します。
初年度から数年目までの不動産オーナーの7割以上が、この“基礎の部分”で何らかの取りこぼしをしているのです。
中には年間数十万円単位で損をされている方もいらっしゃいます。守りの節税ではなく、攻めの視点から「やってはいけない5つの誤解」を整理してみましょう。
誤解①:購入時の費用は全部「経費」になる
物件購入時に支払った仲介手数料、登録免許税、不動産取得税、ローン事務手数料……。
これらを一括で経費にして、初年度に大きな赤字を作ろうとする方がいます。残念ながら、半分は正解で半分は不正解です。
仲介手数料や登記費用のうち建物・土地に直接ひもづくものは取得価額に上乗せして減価償却で何十年もかけて費用化するルール。
一方、不動産取得税や登録免許税、印紙税などは支払った年に一括で経費化できます。
3,000万円の物件で考えても、初年度に経費化できる額が60万円違うか120万円違うかで、所得税率33%の方なら20万円以上手取りが変わります。
誤解②:青色申告にすれば自動的に65万円控除
「青色申告すれば65万円控除でしょ?」とおっしゃる方が驚くほど多いのですが、これも要注意。
65万円控除を受けるには、
(1)事業的規模(おおむね5棟10室基準)であること、
(2)複式簿記による帳簿づけ、
(3)e-Taxまたは電子帳簿保存、
という3つの条件をすべて満たす必要があります。
ワンルーム1室だけの方は、最大でも10万円控除どまり。
「青色なら自動で65万円」というのは思い込みです。
逆に物件を増やして事業的規模に到達すれば、専従者給与や30万円未満の少額減価償却資産の特例なども一気に使えるようになります。
規模拡大の節目で必ず再設計したいポイントです。
誤解③:土地のローン利息も全額経費にできる
不動産所得が赤字になった場合、給与所得などとの損益通算(他の所得と相殺)ができますが、ここに落とし穴があります。
赤字のうち「土地取得のために借りたお金の利息」相当部分は、損益通算の対象外なのです。
たとえば借入金1億円のうち土地分が6,000万円、金利2%なら土地利息は約120万円。
不動産所得が▲200万円であっても、給与所得と相殺できるのは▲80万円までで、残り120万円は切り捨てになります。
「赤字を作ったから還付!」と喜んでいた方が、確定申告ソフトの計算結果に唖然とされるケースをよく見かけます。
ただし、『自己資金と借入金を併用して土地建物を一括購入した場合、借入金は優先して建物部分に充てたものとして計算できる』という有利な特例ルールも存在します。
これを正しく適用することで、切り捨てられる赤字を最小限に抑えることが可能です。
誤解④:減価償却は「節税」だけのもの
減価償却は紙の上での経費。お金は出ていかないのに利益を圧縮できる、まさに大家さんの強力な武器です。
しかし、ここを「ただの節税」と捉えるか、「将来の売却益と金融機関評価をにらんだ戦略カード」と捉えるかで、10年後のキャッシュフローは大きく変わります。
築古木造を短期で償却して所得を圧縮するのは確かに効果的ですが、減価償却を取り切った後の物件は売却時の譲渡所得が膨らみ、長期譲渡でも約20%、短期譲渡なら約39%の税負担がのしかかります。
さらに、減価償却を多く積みすぎると「銀行に見せる利益」が小さくなり、次の融資審査で不利に働くこともある。
攻めの視点とは、入口の節税だけでなく、出口の譲渡税と融資戦略までを織り込んだ設計です。
誤解⑤:消費税は大家さんには関係ない
住宅家賃は消費税非課税。だから「自分には関係ない」と思っていませんか?
実は店舗・事務所・駐車場(更地賃貸を除く)・倉庫などの賃貸は課税売上です。
これが年1,000万円を超えるか、インボイス制度のもとで取引先から登録を求められるかで、納税義務がガラッと変わります。
令和2年の税制改正により、居住用アパートなど『居住用賃貸建物』の建築・購入代金の消費税は、原則として還付(仕入税額控除)ができなくなりました。
しかし、1階が店舗の『併用住宅』の場合や、将来的に事業用への転用や売却を見据えている場合には、消費税の控除や調整が認められるケースもあります。
『住宅オンリーだから無関係』と決めつけず、ポートフォリオ全体で見直す必要があります。
丸山会計のスタンス ―― 「ともに未来を描く」攻めの不動産税務
丸山会計事務所は、確定申告や記帳代行の枠を超えて、「お金が大きく動く瞬間」に踏み込む提案型の税理士です。
物件の購入、規模拡大、法人化、出口の売却まで、その節目ごとに数十万円〜数百万円の差が生まれるのが不動産税務の世界。
当事務所では「知らないことで損をした」を、お客様の人生から無くしたい。
これが当事務所の出発点です。
経営理念「ともに未来を描く」のとおり、目先の申告作業ではなく、5年先・10年先のキャッシュフローを一緒に設計する伴走者でありたいと考えています。
まとめ
不動産所得は「家賃-経費」というシンプルな式の裏に、取得費の扱い・青色申告要件・土地利息制限・減価償却戦略・消費税の論点という5つの落とし穴があります。
基礎を侮らず、節目ごとに専門家と再設計すること。それが攻めの大家経営の第一歩です。気になるテーマがあれば、ぜひ丸山会計事務所までお気軽にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


