不動産を「買ったとき・持っているとき」の税金、軽減措置を取りこぼしていませんか——申告しないと損する3つの視点
投稿日:2026年06月20日

朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。
不動産の税金というと、多くの方が「売ったときの譲渡所得税」や「相続したときの相続税」を思い浮かべます。
けれど実は、買ったときや持ち続けている間にかかる税金にこそ、知らないと数十万円単位で損をしかねない「軽減措置の取りこぼし」が潜んでいます。
しかもその多くは、黙っていても役所が気を利かせて差し引いてくれるわけではなく、こちらから申告して初めて適用されるものです。
今日は、不動産取得税・登録免許税・固定資産税の3つについて、見落とされがちな軽減のポイントを整理します。
目次
1. 不動産取得税の軽減は「申告」しないと受けられない
2. 登録免許税は自己居住用なら税率が大きく下がる
3. 更地・空き家にすると固定資産税が一気に上がる理由
4. では、取りこぼさないために何をすべきか
1. 不動産取得税の軽減は「申告」しないと受けられない
不動産を取得すると、原則として取得後しばらくして都道府県から不動産取得税の納税通知書が届きます。
税率は本則4%ですが、令和9年3月31日までに取得する土地・住宅については3%に軽減されています。
さらに住宅には大きな控除があり、一定の要件(床面積40平方メートル以上240平方メートル以下。
令和8年3月31日以前に取得したものは50平方メートル以上240平方メートル以下)を満たす新築住宅なら、課税標準から1戸につき1,200万円(認定長期優良住宅は1,300万円)が控除され、宅地の課税標準も評価額の2分の1となります。
ここで最も注意したいのが、これらの軽減措置は原則として都道府県税事務所への申告が必要だという点です。
都道府県によっては軽減後の金額で通知書を送ってくれる場合もありますが、そうでなければ、申告を忘れたまま本来より高い税額を払ってしまうことになりかねません。
なお、取得した不動産の評価額が一定額未満であれば免税となるケースもあります。
「届いた通知書の金額が正しいはず」と思い込まず、軽減が反映されているかを必ず確認してください。
2. 登録免許税は自己居住用なら税率が大きく下がる
不動産の名義を登記するときにかかるのが登録免許税です。
これも自己の居住用住宅であれば、税率が大きく軽減されます。
たとえば中古住宅を買って所有権の移転登記をする場合、本則は不動産の価額(固定資産税評価額)の2%ですが、住宅用家屋の特例を使えば0.3%まで下がります。
認定長期優良住宅なら0.1%(一戸建ては0.2%)、低炭素住宅なら0.1%とさらに優遇され、新築の所有権保存登記も本則0.4%が0.15%になります。
ただし適用には、市区町村が発行する「住宅用家屋証明書」が必要で、床面積50平方メートル以上、取得後1年以内の登記といった要件があります。
また、土地の売買による所有権移転登記そのものにも、令和8年度税制改正で適用期限が3年延長され、令和11年3月31日までは本則2%を1.5%に軽減する措置があります。
登記は司法書士に任せきりになりがちですが、軽減の要件を満たすかどうかは依頼前に確認しておく価値があります。
3. 更地・空き家にすると固定資産税が一気に上がる理由
持ち続けている間に毎年かかるのが固定資産税です。
住宅が建っている土地(住宅用地)には課税標準を大きく圧縮する特例があり、200平方メートルまでの小規模住宅用地は評価額の6分の1、200平方メートルを超える一般住宅用地は3分の1まで下がります。
都市計画税についても、それぞれ3分の1・3分の2に軽減されます。
問題は、この特例が「住宅が建っていること」を前提にしている点です。
古い家を取り壊して更地にすると、その瞬間に住宅用地特例が外れ、土地の固定資産税が数倍に跳ね上がることがあります。
「空き家を解体したら翌年の税金が一気に増えた」というご相談は珍しくありません。
さらに、空家等対策特別措置法に基づく勧告の対象となった特定空家等の敷地は、たとえ家が建っていても住宅用地特例の対象外となります。
放置した空き家が、ある日から税負担を重くする引き金になりうるのです。
4. では、取りこぼさないために何をすべきか
取りこぼさないためのポイントは三つです。
第一に、不動産を取得したら、まず軽減の申告期限を確認すること。
第二に、登記の前に住宅用家屋証明書など要件を整えること。
第三に、空き家や更地の扱いは、解体する前に税負担の変化を試算することです。
いずれも、動いてしまった後では取り返しがつかなかったり、手続きが煩雑になったりします。
とくに不動産取得税の申告や、固定資産税評価への審査の申出には期限があり、過ぎてしまうと是正が難しくなります。
タイミングを逃さないことが、そのまま手元に残るお金につながります。
結びに
当事務所では、不動産の取得・保有・売却・相続のそれぞれの場面で、軽減措置の取りこぼしがないかを一つひとつ確認しながら、お客様の状況に合わせた最適なご提案を行っています。
「もう通知書が来てしまった」「解体を考えている」という段階でも、まだ打てる手は残っているかもしれません。
私たちは経営理念「ともに未来を描く」のもと、目先の税金だけでなく、その先の資産づくりまで見据えて伴走します。
気になる点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
※本記事は、令和8年度税制改正までを反映した執筆時点の税制および一般的な情報に基づいて作成したものであり、個別の事案への適用を保証するものではありません。実際のご判断にあたっては、適用要件や最新の改正内容をご確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


