不動産の税金、「売るとき」だけ気にしていませんか?──買うとき・持つときに効く3つの軽減措置

投稿日:2026年07月10日

不動産の税金、「売るとき」だけ気にしていませんか?──買うとき・持つときに効く3つの軽減措置

朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。

 

不動産の税金と聞くと、多くの方が「売って利益が出たとき」や「相続したとき」を思い浮かべます。
ところが実は、“買うとき”と“持っているとき”にこそ、申請しなければ受けられない軽減措置が静かに用意されています。

 
これらは自動では適用されず、知らずに納め過ぎても税務署や役所がわざわざ教えてくれることはありません。
今日は、不動産取得税・登録免許税・固定資産税という3つの場面で、見落とすと数十万円単位で損をしかねないポイントを整理します。

【目次】

1.なぜ“取得・保有”の税金は取りこぼしやすいのか

2.不動産取得税──申告で課税標準から最大1,200万円

3.登録免許税──軽減のカギは「住宅用家屋証明書」

4.固定資産税の住宅用地特例──更地にすると税が最大6倍

1.なぜ“取得・保有”の税金は取りこぼしやすいのか

不動産にまつわる税金は、売却益への譲渡所得税のように利益が出てから課されるものばかりではありません。
買った瞬間にかかる不動産取得税や登録免許税、持ち続けている限り毎年かかる固定資産税といった“流通税・保有税”も、家計や事業のキャッシュフローに確実に効いてきます
やっかいなのは、これらの多くに軽減措置が設けられている一方で、その大半が「申告」や「証明書の取得」を前提にしている点です。

 
確定申告のように毎年向き合う税金と違い、取得・保有時の税金は一度きり、あるいは役所からの通知に従って払うだけになりがちで、軽減を受け損ねても気づきにくいのが実情です。
だからこそ、制度の入り口を知っておくだけで取り戻せるお金があります

2.不動産取得税──申告で課税標準から最大1,200万円

不動産取得税は、土地や建物を取得したときに一度だけ課される都道府県税です。
税率は本則4%ですが、土地と住宅については令和9年3月31日までの特例で3%に引き下げられています
さらに見逃せないのが課税標準の軽減です。

 
宅地は固定資産税評価額の2分の1が課税標準とされ、一定の要件を満たす住宅は、新築の場合1戸につき評価額から1,200万円(認定長期優良住宅は1,300万円)が控除されます。
床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下といった要件はありますが、対象になれば税額は「(評価額−1,200万円)×3%」で計算され、ゼロになることも珍しくありません

 
ただし、これらは取得後に都道府県へ「軽減の申告」をして初めて反映されます。
通知された税額をそのまま納めてしまった後でも、自治体所定の期間内であれば還付を受けられる場合があるため、心当たりがあれば早めに確認すべきです。

+αの視点:中古住宅を買う場合は「新築された日」に要注意 

1,200万円の控除は非常に魅力的ですが、中古のマイホームを購入する場合には「築年数」にご注意ください
平成9年4月以降に新築された物件であれば新築と同じく1,200万円が控除されますが、それより古い物件になると、新築された日に応じて控除額が1,000万円、450万円……と段階的に減っていきます。
ただし、昭和56年以前の旧耐震物件であっても、取得日前(または取得後一定期間内)に耐震改修工事を行って証明書を取得すれば控除対象となるケースがあるため、築古物件をリノベーションして住む計画の方は事前の段取りが欠かせません

3.登録免許税──軽減のカギは「住宅用家屋証明書」

不動産を取得して登記をする際にかかるのが登録免許税です。
所有権の保存登記は本則0.4%、売買による移転登記は本則2.0%が原則ですが、自己の居住用の住宅用家屋については大きな軽減が用意されています。
令和9年3月31日までに取得した住宅用家屋なら、新築の保存登記は0.15%、移転登記は0.3%まで下がり、認定長期優良住宅であれば0.1%という水準も適用されます。
ここでの落とし穴は、軽減を受けるには市区町村が発行する「住宅用家屋証明書」を登記申請時に添付しなければならない点です。
登記が済んでから「軽減を受けたかった」と気づいても、原則としてさかのぼっての適用は認められません
新築・購入のスケジュールが固まった段階で、証明書の取得を司法書士や役所と事前に段取りしておくことが、確実に軽減を取りこぼさないコツです。

+αの視点:法人の物件購入や、個人の投資用アパートには使えない 

非常に強力な登録免許税の軽減措置ですが、大前提として「個人が自分自身で住むための住宅」にしか適用されません
したがって、大家さんが賃貸用のアパートやマンションを購入する場合や、資産管理法人などの「法人名義」で物件を購入する場合には、この軽減措置は使えず、本則の高い税率(建物の移転登記なら2.0%等)がそのままかかります。
個人で実需として買うか、投資・事業として買うかで、物件購入時の初期費用(登記費用)が大きく変わってくる点も押さえておきましょう。

4.固定資産税の住宅用地特例──更地にすると税が最大6倍

固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課される市町村税で、標準税率は課税標準額の1.4%です。
住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、200平方メートルまでの小規模住宅用地は課税標準が6分の1、それを超える一般住宅用地の部分は3分の1まで圧縮されます。
あわせて課される都市計画税(制限税率0.3%)でも、小規模住宅用地は3分の1に軽減されます。
注意したいのは、この特例はあくまで「住宅の敷地」であることが前提という点です。
古い建物を取り壊して更地にした瞬間に特例が外れ、土地の固定資産税が最大で6倍近くに跳ね上がることがあります。

 
さらに、空き家を放置して「特定空家」として勧告を受けると、同じく特例の対象から外されます。
建て替えや解体のタイミングは、1月1日をまたぐかどうかも含めて税負担を試算してから決めるのが賢明です。

番外編:数年後に固定資産税が戻る 新築家屋の特例切れ 

土地の特例ばかりが注目されがちですが、実は「新築の建物」自体にも強力な税額軽減措置があります。
一定の要件を満たす新築住宅を建てた場合、木造なら3年間、マンション等(3階建以上の耐火・準耐火建築物)なら5年間、120平方メートルまでの部分の固定資産税が「2分の1」に減額されます。
しかし、裏を返せば「4年目(または6年目)に突然、建物の固定資産税が本来の額に戻る」ということでもあります。

 
安い税金でギリギリの資金計画を組んでいると、この特例切れのタイミングで手元資金が苦しくなるため、将来の税金増加をあらかじめ見込んでおく必要があります

結びに

当事務所では、不動産の売却や相続といった“出口”だけでなく、取得や保有という“入口・途中”の税金まで含めて、お客様のキャッシュフロー全体を見渡したアドバイスを心がけています。
軽減措置は知っていれば取り戻せる一方、期限や手続きを外すと二度と戻らないものも少なくありません
私たちは経営理念「ともに未来を描く」のもと、目の前の納税額だけでなく、その先の資産形成までご一緒に考えてまいります。
不動産の購入や保有でご不安な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務上のアドバイスを行うものではありません。
実際の取扱いは個々の状況や最新の税制改正により異なる場合があります。
具体的なご判断にあたっては、必ず税理士等の専門家にご相談ください。

 

 ▼経営に役立つ情報をもっと知りたい方は
→ メルマガ登録はこちら
→ 丸山会計へのお問い合わせはこちら



この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

まずは事業継承について
詳しく話をきいてみたい

対面はもちろん、
オンラインのご相談も承ります!

簡単なご質問からでもお気軽に

無料相談は
こちらから!
TOP

×