税務調査で狙われる法人vs個人の不動産税務Q&A

投稿日:2026年06月18日

税務調査で狙われる法人vs個人の不動産税務Q&A

朝4時起きの税理士、丸山です。

本日は、法人と個人の不動産税務においてよくある疑問をQ&A形式でお話しします。

特に今回は「税務調査で問われやすいポイント」を軸に整理しました。

 

「法人を使えば節税になる」と聞いて不動産管理会社を設立したものの、税務調査が入ったときに満足に説明できますか?

実は法人と個人の間での取引には厳格なルールがあります。

そのルールを知らずに進めていると、節税どころか追徴課税を受けるリスクすらあります。

今回は、現場で実際に問われるケースをQ&A形式で解説します。

Q1. 個人から法人への地代・家賃、相場より低くても大丈夫?

A. 大丈夫ではありません。

個人オーナーが所有する土地を自分の法人に貸すケースは非常に多いですが、税務調査で真っ先に指摘されるポイントのひとつです。

 

相場(相当の地代)より低い地代で貸し付け、かつ権利金も受け取っていない場合、税務署から「法人に対して借地権相当額の莫大な贈与があった」とみなされ、法人側に権利金の「受贈益課税」が飛んでくるという致命的なリスクがあります。

土地の時価が1億円であれば、借地権割合60%の地域では6,000万円もの受贈益が一括で法人に課税されかねません。

 

これを回避するためには、契約時に「土地の無償返還に関する届出書」を税務署に提出しておくことが実務上の鉄則です。

この届出書を出した上で、固定資産税・都市計画税の年額の3倍程度(いわゆる「通常の地代」)を法人から個人へ支払う形にするのが、最も安全かつ一般的なスキームになります。

 

「とりあえず低い地代を払えば大丈夫」という思い込みが、取り返しのつかない課税につながります。

すでに届出書を提出しているか、今一度ご確認ください。

Q2. 個人から法人へ不動産を売るとき、価格は自由に決められる?

A. 自由には決められません。時価が基準です。

同族会社への低額譲渡は、所得税法と法人税法の両方で問題になります。

個人が不動産を法人に時価の2分の1未満で売った場合、所得税法上は時価で譲渡したとみなされ(みなし譲渡)、個人に所得税が課税されます。

一方で法人側では実際の取得価額と時価の差額が「受贈益」として課税対象となります。

 

(※重要な注意点)

「時価の2分の1以上で売れば個人側の所得税は安全」と思い込む方が非常に多いのですが、これは大きな落とし穴です。

同族会社への売買の場合、不当に税負担を減らしたとみなされれば「同族会社の行為計算否認(所得税法157条)」によって、2分の1以上の価格であっても結局は時価で課税されるリスクが残ります。

自己判断は禁物です。

 

時価の根拠は、不動産鑑定評価額が最も確実ですが、路線価(相続税評価額の1.25倍程度)を活用して試算する方法もあります。

特に数千万円規模の取引では、鑑定評価を取得しておくことをお勧めします。

費用は惜しまず、後で払う税金と比較すれば十分に元が取れます。

Q3. 個人大家が建物だけを法人に売却する場合、消費税はかかる?

A. 事業として行う場合、課税事業者なら消費税がかかります。

個人大家が賃貸用の建物を売却する場合、事業として行う取引として消費税が課税されることがあります。

ただし、前々年の課税売上高が1,000万円以下の免税事業者であれば、消費税の納税義務はありません。

 

しかし、インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入後は状況が変わりつつあります。

インボイス発行事業者として登録した個人は、原則として課税事業者となるため、売却時の消費税にも注意が必要です。

 

さらに法人側では、居住用賃貸建物を取得した場合の仕入税額控除に制限があります(令和2年改正)。

取得時に消費税を払っても、原則として控除できないため、買主である法人にとって想定外のコスト増になります。

この点を見落とすと、スキーム全体の採算が狂います。

事前に税理士と確認しておきましょう。

Q4. 役員が法人所有の物件に住んでいる。家賃はどう設定すればいい?

A. 「役員社宅」として、法定の計算式による適正家賃の徴収が必要です。

法人が所有する不動産に役員(社長含む)が居住する場合、法人から役員への「現物給与」とみなされないよう、一定額の家賃を役員が法人に支払う必要があります。

この仕組みを「役員社宅」制度といいます。

  

適正家賃の計算は、固定資産税の課税標準額をもとにした計算式で行います。

住宅が「小規模住宅」(木造なら床面積132㎡以下、木造以外は99㎡以下)に該当するかどうかで計算方法が異なります。

豪華社宅とみなされると時価相当額の家賃が必要になります。

 

徴収家賃が適正額に満たない場合、その差額は役員給与(現物給与)として扱われ、損金不算入となります。

しかも定期同額給与や事前確定届出給与の要件を満たさなければ、法人税上の費用にもなりません。

役員個人の所得税増と法人の経費否認という「ダブルパンチ」を受けることになります。

知らずに放置していると税務調査で丸ごと否認されるケースがあります。

丸山会計事務所の視点:「知らないことで損をした」を防ぐ

法人化による節税メリットは確かにあります。

しかし今回ご紹介したように、法人と個人の間の取引には「権利金認定課税と届出書」「時価原則と行為計算否認」「消費税の仕入控除制限」「役員社宅の法定計算」など、見落としやすい厳格なルールが存在します。

 

私が「攻める税理士」と称するのは、単に節税策を提案するだけでなく、リスクを見据えた上で「本当に得をする選択肢」を積極的にご提案するからです。

税務調査で指摘を受けてから対処するのでは遅い。

法人設立の検討段階から、資産移転・売却の出口戦略まで、一貫して伴走することで、最大の節税効果を実現します。

「ともに未来を描く」。

この経営理念のもと、丸山会計事務所では法人・個人を問わず不動産オーナーの皆様の資産戦略を全力でサポートします。

初回相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。

まとめ

個人と同族法人間の不動産取引では、

①権利金認定課税を防ぐ無償返還届出書の提出、

②みなし譲渡・行為計算否認を避けるための時価取引の徹底、

③居住用賃貸建物の消費税仕入控除制限への対応、

④役員社宅の法定家賃計算

——という4つが税務調査で狙われやすい論点です。

どれも「知っているかどうか」で結果が大きく変わります。

法人化や資産移転を検討中の方は、ぜひ事前に専門家にご相談ください。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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