同じ家を売って税金が約2倍に?不動産売却の「5年の壁」を味方につける3つの視点

投稿日:2026年06月17日

同じ家を売って税金が約2倍に?不動産売却の「5年の壁」を味方につける3つの視点

朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。

「不動産は値上がりしたタイミングで売れば手元にお金が残る」

――そう考えて売却に踏み切る方は少なくありません。

ところが、売った金額が同じでも、保有していた期間の“数え方”ひとつで税額が約2倍に変わってしまうことをご存じでしょうか。

 

さらに、マイホームには税金をぐっと抑える特例が用意されているのに、要件を一つ外しただけで使えなくなるケースも後を絶ちません。

本コラムでは、不動産売却の出口で損をしないために、保有期間・特例・取得費という3つの視点と、見落としがちな落とし穴を整理します。

目次

1. 「5年の壁」は売った日ではなく“1月1日”で決まる

2. 同じ利益でも税額は約2倍――長期と短期の差

3. マイホーム最強の味方「3,000万円控除」と10年超の軽減税率

4. 取得費が分からないと税金が膨らむ――概算5%の落とし穴

1. 「5年の壁」は売った日ではなく“1月1日”で決まる

不動産の譲渡所得は、所有期間によって「長期」と「短期」に分かれます。

ここで多くの方が誤解されるのが、その期間の数え方です。

基準となるのは「売買契約を結んだ日」でも「引き渡した日」でもなく、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうか、という点です。

 

たとえば令和2年中に取得した物件を令和7年中に売ると、令和7年1月1日時点での所有期間は「7−2」で計算上5年。

これは「5年以下」となり短期扱いです。

一方、令和元年中に取得していれば「7−1」で6年となり、長期扱いになります。

実際にはほぼ5年保有していても、この基準日の数え方ひとつで判定が分かれます。

「丸5年持ったから大丈夫」と思い込み、年明けまで数か月待てば長期になったのに、年内に売って短期課税になってしまう

――これが「5年の壁」の怖さです。

 

ただし、税務上は取得日と譲渡日をそれぞれ『契約日』にするか『引渡日』にするかを選択できるというルールがあります。

選び方の組み合わせ次第では、ギリギリ短期になりそうな物件を『長期譲渡』に救済できるケースもあるため、諦める前にプロの判断を仰ぐことが重要です。

2. 同じ利益でも税額は約2倍――長期と短期の差

では、長期と短期で税額はどれほど違うのか

一般的な不動産の譲渡では、長期譲渡所得の税率は所得税15.315%+住民税5%の合計20.315%。

これに対して短期譲渡所得は所得税30.63%+住民税9%で合計39.63%にのぼります(いずれも復興特別所得税を含む)。

つまり、同じ譲渡益が出ても、短期扱いになるだけで税率はおよそ2倍です。

 

仮に課税の対象となる譲渡所得が1,000万円だった場合、長期なら約203万円、短期なら約396万円。

その差は約193万円にもなります。

売却スケジュールを1〜2か月ずらすだけでこれだけの差が生まれることを考えれば、「いつ売るか」は「いくらで売るか」と同じくらい重要な判断だとお分かりいただけるはずです。

3. マイホーム最強の味方「3,000万円控除」と10年超の軽減税率

ご自宅(居住用財産)を売る場合は、強力な特例があります。

一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける「居住用財産の3,000万円特別控除」です。

所有期間の長短を問わず使えるのが大きな特徴で、譲渡益が3,000万円以下であれば税金がかからないケースも珍しくありません。

すでに住まなくなった家でも、住まなくなった日から3年目の年の年末までに売れば対象になります。

 

さらに、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えるマイホームなら、3,000万円控除を引いた後の金額に対して、より有利な軽減税率を重ねて使えます。

課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分は所得税10.21%+住民税4%の合計14.21%。

通常の長期税率20.315%より大きく下がります。

「控除」と「軽減税率」は併用できるという点こそ、知らないと損をする実務上の急所です。

4. 取得費が分からないと税金が膨らむ――概算5%の落とし穴

最後に、見落とされがちな落とし穴が「取得費」です。

譲渡所得は、売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。

ところが、購入時の契約書や領収書を紛失していて取得費が分からない場合、収入金額(売却額)のわずか5%を概算取得費とするしかありません。

 

たとえば1億円で売れた物件の取得費が不明だと、取得費はわずか500万円とみなされ、差額の大部分が課税対象になってしまいます。

先祖代々の土地や、何十年も前に買った自宅では、書類が残っていないことが本当によくあります。

売却を考え始めたら、まず購入時の資料を探すこと。

これだけで税額が大きく変わる可能性があります。

 

当事務所では、売却のスケジュール設計から特例の適用判定、取得費の裏付け資料の整理まで、お一人おひとりの状況に合わせて出口戦略をご一緒に組み立てています。

「売る前に一度相談しておけばよかった」という後悔をなくし、手元に残る金額を最大化することが私たちの役割です。

経営理念に掲げる「ともに未来を描く」の言葉どおり、その不動産を手放した先の資産設計まで見据えて伴走いたします。

売却をお考えの際は、契約を結ぶ前にぜひ一度ご相談ください。

 

【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務に関する助言を行うものではありません。税制は改正される場合があり、実際のお取り扱いは個々の事情により異なります。具体的なご判断にあたっては、必ず税理士等の専門家にご相談ください。本記事の情報に基づいて行われた一切の行為について、当事務所は責任を負いかねます。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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