これから買うなら法人か個人か 不動産税務の判断Q&A

投稿日:2026年07月15日

これから買うなら法人か個人か 不動産税務の判断Q&A

朝4時起きの税理士、丸山です。
本日は「これから不動産を買う・保有規模を広げるとき、法人と個人のどちらで持つべきか」という判断について、Q&A形式でお話しします。

「法人にすれば税金が安くなる」――多くのオーナー様がそう思い込んでいます。
ですが実際は逆で、規模やタイミングを誤ると、法人化がかえって手取りを減らすことも少なくありません。
すでに保有している物件の申告テクニックではなく、

「買う前の入り口でどちらを選ぶか」で、その後10年の納税額は大きく変わります。
今日はこれから動く方が迷いやすい5つの疑問に、数字を添えてお答えします。

Q1. 手取りで法人が有利になるのは、所得いくらから?

A. 課税所得おおむね900万円が一つの分岐点です。

 

個人の所得税は超過累進で、課税所得900万円を超える部分は税率33%(住民税と合わせ約43%)に跳ね上がります。
一方、中小法人の実効税率はおよそ22〜34%。
給与所得控除を使って所得を家族へ分散できる法人は、高所得層ほど有利になります。
逆に不動産所得が数百万円程度なら、法人の均等割(赤字でも年約7万円)や設立コストが重く、個人のままが得なケースが多いのです。

Q2. 赤字が出たとき、損益通算はどちらが有利?

A. 「他の所得と相殺したい」なら個人、「長く繰り越したい」なら法人です。

 

個人は不動産所得の赤字を給与や事業所得と同じ年に損益通算できます(ただし土地取得の借入利子は対象外)。
給与収入の高い方が初年度の経費で節税したい場合は個人が向きます。
一方、法人の欠損金は最長10年繰り越せるため、大規模修繕や空室で一時的に赤字が出ても、翌期以降の黒字とじっくり相殺できます。

Q3. 融資や物件の買い増しでは、どちらが動きやすい?

A. 規模拡大を狙うなら、早めの法人化が武器になります。

 

金融機関は、決算書で収益力と資産背景を評価します。
法人は減価償却や役員報酬を調整して「銀行に評価される決算書」を作りやすく、複数物件を一つの器で管理できるため、次の融資審査でも有利に働きます。
個人は団体信用生命保険を使いやすい反面、属性(年収)頼みになりがちで、買い増しの途中で融資が伸び悩む例をよく見ます。

Q4. 将来の相続・承継まで考えると、どちらが残しやすい?

A. 承継を見据えるなら、法人(資産管理会社)が圧倒的に扱いやすいです。

 

個人所有の物件を子へ渡すには、不動産そのものを贈与・相続する必要があり、登録免許税や不動産取得税がその都度かかります。
法人なら「株式」を少しずつ贈与でき、暦年贈与や相続時精算課税と組み合わせて計画的に持分を移せます。
役員に子を入れて報酬を払えば、生前から所得移転と納税資金づくりを同時に進められるのも大きな強みです。

Q5. すでに個人で持っている物件は、法人へ移すべき?

A. 移すなら「建物だけ」を、タイミングを計って動かします。

 

土地まで売買すると譲渡税・流通コストが膨らむため、建物のみを法人へ移す「建物法人化スキーム」が実務の定番です。
土地は個人に残し、法人が地代を払う形にすれば、家賃収入は法人へ移りつつ移転コストを抑えられます。
ただし帳簿価額・時価の設定を誤ると否認リスクがあり、ここは必ず専門家と設計すべき論点です。

丸山会計事務所の視点 ―― 入り口の設計で未来が変わる

法人か個人かは、節税テクニックの前に「これから何棟まで増やし、誰に、いつ承継するのか」という経営の設計図から逆算して決めるものです。
私たちは確定申告の代行にとどまらず、お金が大きく動く入り口の段階から、10年先の手取りと承継まで見据えたシミュレーションをご提案します。
これが「攻める税理士」としての私たちの流儀であり、経営理念「ともに未来を描く」の実践です。

まとめ

法人と個人の分かれ道は、所得900万円・損益通算・融資・承継・建物移転という5つの視点で見極めます。
すでに保有している方も、これから買う方も、判断の入り口を誤らないことが最大の節税です。
迷ったら物件を増やす前に、一度シミュレーションしてみてください。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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