銀行はどうやってお金を貸すか決めている?「物件の担保評価」の仕組み
投稿日:2026年07月16日

おはようございます。
朝4時起きの名古屋の税理士 丸山です。
初めて不動産投資を考えている皆様、
不動産投資の物件探しをしていると、どうしても「利回りが高いか」
「毎月いくら儲かるか」という点ばかりに目がいってしまいませんか?
もちろん収益性は大切ですが、実はそれだけで物件を選ぶのは非常に危険です。
なぜなら、不動産投資は多くの場合、金融機関から数千万円、数億円という融資(ローン)を受けて行う「金融機関ありきのビジネス」だからです。
今回は、初心者が絶対に知っておくべき「銀行目線」での物件評価、つまり「担保評価」の仕組みについて分かりやすく解説します。
これを理解することが、融資を引いて資産を安全に拡大していくための最大のカギになります!
1. 金融機関目線の重要性:利回りだけでは融資は下りない!
不動産投資の主役は、投資家である自分ではなく「お金を出してくれる金融機関」だと考えるくらいでないと、規模の拡大はうまくいきません。
物件を選ぶ際、私たち投資家は「確実に利益が得られるか」という投資家目線(利回りやキャッシュフロー)を重要視します。
しかし、銀行は別の視点を持っています。
銀行がお金を貸す際に最も気にすることは、「万が一返済が滞った時に、この物件を差し押さえて売却し、貸したお金をしっかり回収できるか?」ということです。
そのため、銀行は物件そのものの資産価値である「担保評価」を厳格に審査します。
自分にとって「利回り15%の超お宝物件だ!」と魅力的に見えても、銀行が「この物件には担保価値(資産価値)が低い」と判断すれば、希望する額の融資を受けることは極めて難しくなります。
融資が出なければ多額の自己資金が必要になり、最悪の場合、購入を諦めざるを得ません。
だからこそ、「銀行がどう評価するか」を事前に知っておく必要があるのです。
2. 銀行はどうやって価値を計算している?「積算価格(原価法)」の基本
では、銀行は具体的にどうやって物件の価値を計算しているのでしょうか?
多くの金融機関が融資の審査で最も重視しているのが、原価法によって算出される「積算価格」と呼ばれる評価方法です。
積算価格とは、その物件を「土地」と「建物」のモノとしての価値に分けて別々に計算し、最後に足し合わせて資産価値を算出する方法です。
計算の仕組みは以下のようになっています。
土地の価格の出し方
国税庁が定めている「相続税路線価」をベースに計算されます。
土地の価格 = 相続税路線価 × 土地の面積(※角地や道路の幅員などによって銀行独自の調整が入ることもあります)
建物の価格の出し方
建物については「再調達原価」という考え方を使います。
これは「今、同じ建物を新築したらいくらかかるか」という単価(構造によって異なり、木造なら1平米あたり約15万円など)に延床面積を掛けます。
そこから、築年数が経過して劣化した分(減価償却)をマイナスして計算します。
建物の価格 = 再調達原価 × 延床面積 × (残存年数 ÷ 法定耐用年数) ここで重要なのが、国が定めた建物の寿命である「法定耐用年数(木造22年、鉄筋コンクリート造47年など)」です。
すでにこの年数を超えている古い建物の場合は、銀行の評価上、建物の価値は「ゼロ」とみなされてしまいます。
この「土地の価格」と「建物の価格」を合計したものが「積算価格」となり、これが銀行が貸してくれる融資額の一つの上限目安となります。
3. 規模を拡大するカギは「銀行の評価(積算価格)が出やすい物件」を選ぶこと
不動産投資を1棟だけで終わらせず、2棟、3棟と規模を拡大していく(買い進める)ためには、この「積算価格が高い物件」を選ぶことが最大のカギになります。
積算価格が実際の販売価格と同じくらい、あるいはそれ以上に出る物件を購入できれば、銀行から見て「担保余力」がある状態になります。
フルローン(物件価格の全額融資)以上の融資が見込めるため、手元の自己資金を温存でき、すぐに次の物件を買い進めることができます。
【積算価格が出やすい物件の特徴】
・土地値が高い、または土地が広い:建物が古くなって価値が減っても、土地の価値は目減りしません。
土地が広く物件価格が抑えられている物件は狙い目です。
・法定耐用年数がたっぷり残っている:築年数が浅い、または鉄筋コンクリート(RC)造のように寿命が長い物件は、建物部分の評価が高く出ます。
【初心者が陥りやすい「信用棄損」の落とし穴】
逆に、田舎の利回りだけが異常に高い物件や、一部の狭小ワンルームマンションなど、「販売価格に対して積算価格(担保価値)が著しく低い物件」を買ってしまうとどうなるでしょうか?
銀行があなたの資産状況をチェックした際、「この人は、担保価値のない不動産に多額の借金をしている」と見なされてしまいます。
これを「信用棄損(しんようきそん)」と呼びます。
この状態に陥ると、いくら家賃収入の黒字が出ていても、銀行は「もうこれ以上は貸せません」と次の融資をストップしてしまうのです。
まとめ:投資家目線と銀行目線の両方を持とう
初めて不動産を買う際は、つい「自分が儲かるか(利回り)」だけで物件を見てしまいがちです。
しかし、将来的に資産規模を大きくしていきたいのであれば、「銀行が喜んでお金を貸したくなる物件か(積算価格)」を必ず確認してください。
・自分が儲かるか = 利回り・キャッシュフロー
・銀行が貸してくれるか = 積算価格・法定耐用年数
この2つの視点を両立できる物件を探すことこそが、失敗しない不動産投資への第一歩です。
ぜひ、今日から物件資料を見る際は「この物件の積算価格はいくらだろう?」と計算するクセをつけてみてくださいね!
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


