不動産売却の譲渡益課税Q&A 損しないための5大論点
投稿日:2026年06月05日

名古屋から全国の経営者を支える税理士、丸山です。
本日は「不動産売却・譲渡益の税務Q&A」についてお話しします。
「不動産を売って利益が出たら、利益の半分は税金で持っていかれる」
――そんな噂を信じていませんか。実はこれは大きな誤解です。
不動産の譲渡所得は、所有期間・用途・取得時期・買換えの有無によって税率も控除も大きく変わり、同じ売却益でも納税額が数百万円単位で違うことが珍しくありません。
今日は、お客様から実際に多くいただく5つの質問に、Q&A形式で攻める税理士目線でお答えします。
Q1.所有期間で税率はどれだけ変わる?
不動産の譲渡所得は、譲渡した年の1月1日時点で「所有期間が5年超か5年以下か」で長期譲渡と短期譲渡に分かれます。
長期譲渡は所得税15%・住民税5%(復興特別所得税を含めて合計20.315%)、短期譲渡は所得税30%・住民税9%(同39.63%)と、税率に約2倍の差が出ます。
ここで多い失敗が「取得から5年経ったから売却OK」と勘違いするケースです。
判定基準は譲渡した年の1月1日。
2021年4月に取得した物件を2026年6月に売っても、2026年1月1日時点では4年9か月なので短期扱いです。
たった半年待つだけで、譲渡益2,000万円なら税額が約390万円下がる計算になります。
Q2.取得費が分からない時はどうする?
親から相続した土地を売却する際、「いくらで買ったか分からない」というご相談は本当に多いです。
この場合、概算取得費として売却代金の5%を取得費にできるルール(措置法31条の4)がありますが、これは最後の手段。
5,000万円で売却すれば取得費はわずか250万円とされ、譲渡益が膨らみ、税負担が一気に重くなります。
攻めるべきは、当時の購入契約書・通帳の出金記録・住宅ローンの借入額・抵当権設定額・分譲時のパンフレットなど、間接資料で取得費を立証する道です。
市街地価格指数を用いた推計が認められた稀な裁決例もありますが、マクロな指標であるため税務署に否認されるリスクが非常に高く、安易な利用は禁物です。
攻めるべきは、当時の購入契約書や通帳の出金記録、住宅ローンの借入額、分譲時のパンフレットなど、個別性のある間接資料から徹底的に実額を立証する道です。
ここはプロの腕の見せ所となります。
Q3.マイホーム売却の3,000万円控除は本当に誰でも使える?
自宅を売却すると譲渡益から最大3,000万円を控除できる特例は、所有期間にかかわらず使える非常に強力な制度です。
ただし「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の年末まで」に売る必要があり、ここを1日でも過ぎると控除はゼロ。
さらに配偶者や生計一親族への売却、過去2年以内の同特例適用、住宅ローン控除との重複適用など、落とし穴は多くあります。
加えて、所有期間10年超のマイホームなら、3,000万円控除後の残りに対して6,000万円以下部分は税率14.21%(所得税10%+住民税4%)まで軽減される「軽減税率の特例」を併用できます。
控除と軽減税率のダブル適用で、譲渡益5,000万円のケースなら数百万円規模で差が出ます。
Q4.相続した不動産を売る時に使える特例は?
相続した不動産を売却する場合、「取得費加算の特例」を見落とすと大損します。
相続税の申告期限から3年以内に売却すれば、納めた相続税のうち譲渡した不動産に対応する部分を取得費に加算でき、譲渡益を圧縮できます。
相続税を1,500万円納めた方が、対応分700万円を取得費に積み増せば、その分譲渡所得が減り、税額140万円超の節税につながります。
さらに「空き家の譲渡特例」も強力です。
亡くなった親が一人暮らししていた居住用家屋を相続し、一定の耐震改修または取り壊しをして売却した場合、譲渡益から最大3,000万円を控除できます。
相続発生から3年を経過する日の属する年の12月31日が期限なので、放置している実家がある方は今すぐ動くべきです。
Q5.売って終わりにせず「組替え」で攻める方法は?
収益物件を売却して、より立地のよい物件に乗り換えたい
――そんな時に活用したいのが「特定の事業用資産の買換え特例」です。
10年超所有した事業用不動産を売却し、一定の買換資産を取得すれば、譲渡益の最大80%(地域により70%)について課税を将来に繰り延べできます。
譲渡益1億円のケースなら、約2,000万円の即時納税を回避し、その資金を次の物件取得や修繕、内部留保に回せます。
ただし買換資産の取得期限や面積要件、買換え後の事業供用要件など条件が細かく、適用ミスは命取り。法人と個人で使える特例が異なる点も要注意です。
丸山会計が描く「ともに未来を描く」出口戦略
不動産売却は、人生で何度もない大きな取引です。
だからこそ、売却が決まってから税理士に駆け込むのではなく、「売却を考え始めた段階」から相談していただくことが、納税額に決定的な差をつけます。
当事務所は、節税実績を持つ攻める税理士として、所有期間の調整、取得費の立証、特例の選択、組替えスキームの設計まで、一貫した出口戦略をご提案します。
経営理念は「ともに未来を描く」。売却で得た資金を次の投資や事業承継、相続対策にどうつなげるか――その未来までを一緒に設計するのが、丸山会計のスタンスです。節税効果以上の報酬がかかる提案は絶対にいたしません。
まとめ
不動産売却の譲渡益課税は、所有期間・取得費・マイホーム特例・相続特例・買換え特例の5つの論点を押さえるだけで、納税額に数百万から数千万円の差が生まれます。「知らなかった」で損をしないために、売却を検討し始めた今こそ、攻める税理士にご相談ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。
▼経営に役立つ情報をもっと知りたい方は
→ メルマガ登録はこちら
→ 丸山会計へのお問い合わせはこちら
この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


