不動産を買った後に届く「あの通知書」、減らせるのをご存じですか?――取得時の税金で払い過ぎない3つの分かれ道

投稿日:2026年07月19日

不動産を買った後に届く「あの通知書」、減らせるのをご存じですか?――取得時の税金で払い過ぎない3つの分かれ道

朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。

 

「不動産の税金は、買うときに一度払えば終わり」――そう思っていませんか。
ところが実際は、契約時の印紙税や登記の登録免許税に加えて、忘れたころに不動産取得税の納税通知書が届きます。

しかも、これらには要件を満たせば税額が大きく下がる軽減措置があり、その多くは“自分で動かないと”適用されません。

 
今日は、取得時の税金で払い過ぎないための3つの分かれ道――

①後から届く不動産取得税、

②登記のタイミングで決まる登録免許税、

③放置すると過料が科される相続登記の義務化

――を整理します。

目次

1. 忘れたころに届く「不動産取得税」――軽減で税額が大きく変わる

2. 登録免許税は「登記の期限」と「住宅の要件」で決まる

3. 令和6年に始まった「相続登記の義務化」――放置は過料のリスク

4. 取得の前後で「いつ・何をするか」を時系列で押さえる

1. 忘れたころに届く「不動産取得税」――軽減で税額が大きく変わる

不動産取得税は、土地や建物を取得した人に都道府県が一度だけ課す地方税です。
売買だけでなく、家屋の建築・増改築、交換、贈与も対象になります(相続や法人の合併のような形式的な移転は非課税です)。
やっかいなのは、登記を終えてしばらく経ってから納税通知書が届く点で、資金の準備をしていないと慌てることになります。

 

税率は本則4%ですが、土地と住宅は令和9年3月31日までの取得について3%に軽減されています。
さらに宅地の課税標準は、同じく令和9年3月31日までの取得なら固定資産税評価額の2分の1で計算します。

 

見落としやすいのが住宅の軽減です。
床面積40平方メートル以上240平方メートル以下(賃貸用の共同住宅は1室40平方メートル以上)といった要件を満たす新築住宅なら、評価額から1,200万円を控除して税額を計算します(長期優良住宅は1,300万円)。
中古住宅も、新築された時期に応じて一定額が控除されます。

αの視点:中古住宅の取得税は「新築された日」で控除額が激減する罠

中古住宅の控除について、実務でよく見落とされるのが「築年数による控除額の減少」です。
平成9年(1997年)4月以降に新築された物件であれば新築と同じく1,200万円が控除されますが、それより古い物件になると、新築日に応じて1,000万円、450万円、420万円…と段階的に控除枠が減っていきます。
古い中古住宅を安く買ってリノベーションして住む計画の方は、この控除枠の縮小により想定以上に不動産取得税の負担が重くなる可能性があるため、事前の試算が必須です。
加えて住宅用の土地には、税額そのものを直接差し引く軽減があり、これらを組み合わせると取得税がゼロになることも珍しくありません

 

ポイントは、こうした軽減の多くが“申告して初めて受けられる”こと。
土地を先に取得して所定の期間内に住宅を新築する予定なら、申告によって徴収の猶予も受けられます。
通知書が届いてから慌てるのではなく、取得の時点で県税事務所への申告を意識してください。

αの視点:高い税金を払ってしまっても「5年以内」なら取り戻せる

軽減の手続きを忘れたまま、都道府県から届いた高額な納税通知書通りに税金を全額納付してしまった…。

そんな場合でも諦める必要はありません。
要件を満たしている住宅であれば、原則として不動産を取得した日から5年以内(※自治体により異なる場合があります)に後から県税事務所へ軽減の申告(還付申請)を行うことで、払いすぎた税金を取り戻すことができます。
「数年前に知らずに払ってしまった」という方は、過去の取得物件の見直しを強くおすすめします。

2. 登録免許税は「登記の期限」と「住宅の要件」で決まる

登録免許税は、所有権の移転や保存などの登記をするときにかかる国税です。
売買による所有権移転は本則2.0%、新築の保存登記は0.4%が原則ですが、自分が住むための住宅には手厚い軽減があります。

 

令和9年3月31日までに取得した住宅用家屋なら、保存登記は0.4%から0.15%、売買による移転登記は2.0%から0.3%まで下がります(長期優良住宅・低炭素住宅はさらに低率)。
住宅ローンの抵当権設定登記も0.4%から0.1%です。
ただし要件が細かく、床面積50平方メートル以上、床面積の90%超が住宅用、取得者本人が住むこと、そして“取得後1年以内の登記”であることが求められます。
共有の場合は、居住している人の持分にしか適用されません。

 

注意したいのは「1年以内の登記」です。
忙しさにかまけて登記を後回しにすると、この軽減を受けられなくなります
要件を一つ外すだけで本則税率に戻り、評価額が数千万円なら税額が数十万円変わることもあります。
なお、土地の売買による移転登記にも軽減措置がありますが、こちらは適用期限が区切られ、これまで何度も延長されてきた経緯があります。
登記の時点で最新の適用期限を必ず確認してください。

番外編:手厚い登録免許税の軽減は「法人名義」や「投資用物件」には使えない

 この非常に手厚い登録免許税の軽減措置ですが、大前提として「個人のマイホーム(自己居住用の家屋)」にしか適用されません。
したがって、資産管理法人などの「会社名義」で物件を購入する場合や、個人であっても他人に貸すための「投資用アパート」、あるいは別荘などの購入にはこの特例は一切使えず、本則の高い税率(売買による移転なら2.0%等)がそのままかかります。
誰の名義で、何の目的で買うかによって、登記の初期費用は数十万円単位で変わってくる点にご注意ください。

3. 令和6年に始まった「相続登記の義務化」――放置は過料のリスク

これから買う不動産だけでなく、相続で受け継いだ不動産にも大きな変化がありました。
令和6年4月1日から相続登記が義務化され、相続や遺贈で不動産を取得した人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。
正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。

 

重要なのは、この義務が施行前に開始した相続にもさかのぼって及ぶことです。
過去に相続したまま名義を変えていない土地がある方は、施行日から3年以内、つまり令和9年3月末までに登記を済ませる必要があります。
遺産分割協議がまとまった場合は、その成立日から3年以内が期限です。
さらに令和8年4月1日からは、住所や氏名を変えたときの変更登記も義務化され、2年の猶予期間を過ぎると5万円以下の過料が科されます。

 

「登記費用がもったいない」と放置してきた不動産が、いまや過料のリスクを抱える時代です。
相続による移転登記は登録免許税0.4%で済み、一定の土地には免税措置もあります。
費用を抑える制度を確認しつつ、早めに手を打つのが得策です。

4. 取得の前後で「いつ・何をするか」を時系列で押さえる

最後に、取得の前後で何をすべきかを時系列で整理します。
まず取得前。
契約する前にその不動産の固定資産税評価額を把握し、印紙税・登録免許税・不動産取得税の概算を試算しておきます。
住宅なら、床面積や自己居住用といった軽減の要件を満たすかを事前に確かめておくと安心です。

 

次に取得時、つまり登記のタイミング。
軽減の要件を満たす形で、取得後1年以内に登記を済ませます。
司法書士に任せる場合でも、どの軽減を使うのかは自分で理解しておきましょう。
そして取得後。
不動産取得税の納税通知書が届いたら、軽減の申告漏れがないかを必ず確認します。
土地を先行取得したなら徴収猶予の申告を、相続で得た不動産なら3年以内の登記を忘れないでください。
取得時の税金は、“知って動く”だけで手残りが変わります。

当事務所からのご案内

当事務所では、不動産の購入・建築から相続まで、取得の前後で受けられる軽減措置を一つずつ確認し、払い過ぎのない形で手続きを進めるお手伝いをしています。
「もう登記が終わってしまった」という段階でも、間に合う対応は少なくありません。
私たちは「ともに未来を描く」を理念に、目先の税額だけでなく、その先の資産づくりまで見据えてご一緒します。
取得を控えている方も、相続した不動産を放置している方も、どうぞお気軽にご相談ください。

【免責事項】

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務上の助言を行うものではありません。
制度の適用可否や税額は、取得の時期・物件の状況・各種要件により異なります。
実際の判断にあたっては、必ず税理士等の専門家にご相談ください。

 

 ▼経営に役立つ情報をもっと知りたい方は
→ メルマガ登録はこちら
→ 丸山会計へのお問い合わせはこちら



この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

まずは事業継承について
詳しく話をきいてみたい

対面はもちろん、
オンラインのご相談も承ります!

簡単なご質問からでもお気軽に

無料相談は
こちらから!
TOP

×