金利1%上昇で資金は回る?大家のデッドクロス対策3選
投稿日:2026年06月26日

おはようございます。
朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。
本日は、不動産投資で見落とされがちな「資金繰りリスク」についてお話しします。
「賃貸経営は黒字だから安心」
——そう思っていらっしゃる方は少なくありません。
ところが、決算書では利益が出ているのに通帳の残高は一向に増えない、むしろ年々細っていく、というご相談をよくいただきます。
その正体が「デッドクロス」と、近年の「金利上昇」です。
本稿では、なぜ黒字なのに資金が消えるのか、金利が1%上がると返済はどれだけ重くなるのか、そして資金繰りを守る3つの備えという順で整理します。
■ 目次
1. 「黒字倒産」はなぜ起きる? — デッドクロスの正体
2. 金利が1%上がると、返済はどれだけ重くなるか
3. 資金繰りを守る3つの備え
4. 金利上昇局面こそ「攻めの一手」を
1. 「黒字倒産」はなぜ起きる? — デッドクロスの正体
デッドクロスとは、帳簿上の経費である「減価償却費」が年々減っていく一方で、経費にならない「ローンの元金返済」が積み上がり、両者が逆転する現象を指します。
減価償却費は現金の支出を伴わない経費(お金は出ていかないのに経費にできる金額)です。
逆に元金の返済は、現金は出ていくのに経費にはなりません。
この二つが逆転すると、帳簿上の利益=課税対象は大きいのに、手元のお金は残らない、という状態に陥ります。
たとえば築古の木造アパートを中古で取得すると、当初は短い期間で多額の減価償却を計上でき、税負担を抑えられます。
しかし償却が終わった瞬間、経費が一気に消え、利益と税金が跳ね上がります。
それでも借入の元金返済は淡々と続くため、納税資金まで重くのしかかります。
これが「黒字なのに資金が回らない」典型例です。
実務上の注意としては、減価償却は「いつか必ず終わる経費」だと意識し、償却が切れる年を取得時点から逆算して資金計画に織り込んでおくことが大切だと思われます。
2. 金利が1%上がると、返済はどれだけ重くなるか
不動産投資ローンは変動金利を選ぶ方が多く、金利上昇の影響を直接受けます。
仮に1億円を残り25年・元利均等で借りているケースで考えてみましょう。
金利が1.5%から2.5%へ1%上がると、年間の返済額はおよそ475万円から525万円へと、約50万円増えます。
25年間の総額では、単純計算でおよそ1,250万円もの負担増です。
利息部分は経費に計上できるため税金はわずかに軽くなりますが、増えた返済そのものを取り戻せるわけではありません。
さらに、この金利上昇が前章のデッドクロスと重なると、資金繰りへの打撃は二段構えになります。
利益は出ているのに、納税と返済の両方で現金が出ていくためです。
実務上の注意として、現在の金利が何%で、0.5%・1%上がると毎月いくら増えるのかを、一度ご自身の物件で試算しておくことをおすすめします。
漠然とした不安を、具体的な数字に落とすことが対策の第一歩です。
3. 資金繰りを守る3つの備え
第一に、手元キャッシュに厚みを持たせることです。
最低でも年間返済額の半年から1年分を運転資金として確保しておくと、空室や金利上昇が重なっても持ちこたえやすくなります。
第二に、借り換えや固定金利化の検討です。
変動金利のまま放置せず、固定への切り替えや他行への借り換えで、金利や返済期間を見直す余地がないかを点検します。
期間を延ばせば毎月の返済は軽くなり、デッドクロスの谷を緩やかにできる場合があります。
第三に、減価償却の「谷」を平準化することです。
償却が切れる前に次の物件や設備投資で新たな経費を補ったり、法人化によって所得を分散したりする方法があります。
たとえば個人の所得税率が高い方は、法人に移すことで税率差を活かせる場合があります。
実務上の注意として、第二・第三の対策に気を取られて繰上返済をしすぎ、手元資金が枯渇しては本末転倒です。
あくまでキャッシュとのバランスが要だと考えられます。
4. 金利上昇局面こそ「攻めの一手」を
金利上昇というと「節約して耐える」守りの発想になりがちですが、私たちはむしろ攻めの局面だと捉えています。
正確なシミュレーションさえあれば、借り換え・法人化・物件の入れ替えといった前向きな打ち手を、自信を持って選べるからです。
丸山会計事務所は、確定申告や記帳代行にとどまらず、お金が大きく動くタイミングで納税額に差をつける提案型の「攻める税理士」を信条としています。
キャッシュフローと税金の両面から、お客様ごとに最適な一手をご一緒に描いてまいります。
■ まとめ
黒字でも資金が残らない「デッドクロス」と「金利上昇」は、不動産経営の二大資金繰りリスクです。
減価償却が切れる時期を逆算し、手元キャッシュを厚く保ち、借り換えや法人化で谷を平準化する
——この三つを早めに手当てすることが、安心して経営を続ける鍵となります。
当事務所では、シミュレーションに基づく前向きなご提案で、経営理念「ともに未来を描く」を実践しております。
資金繰りに不安を感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な税務判断を行うものではありません。実際のご判断に際しては、税理士等の専門家へご相談ください。また、税制は改正される場合があります。本記事は令和7年度時点の税制を参考にしています。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


