白色のままで大丈夫?大家が取り逃す青色の4大特典

投稿日:2026年07月20日

白色のままで大丈夫?大家が取り逃す青色の4大特典

朝4時起きの税理士、丸山です。

本日は大家さんの「青色申告と経費計上の基本」、とりわけ多くの方が取り逃している青色申告ならではの特典についてお話しします。

 

「うちは物件が少ないから白色で十分」「青色は帳簿づけが面倒なだけ」。

相談に来られる大家さんから、私はこの言葉を何度も聞いてきました。
ですが、これは大きな誤解です。
白色と青色の差は“手間の差”ではなく、そのまま“手取りの差”になります。
実際、同じ家賃収入でも青色をきちんと使うだけで、年間で数十万円の納税額が変わることは珍しくありません。

 
今日は、その差を生む青色の4つの特典を具体的な数字とともに整理します。

特典①:65万円控除は“満額”取れているか

青色申告特別控除は、条件次第で控除額が10万円・55万円・65万円と三段階に分かれます。
満額65万円を取るには、(1)複式簿記による記帳、(2)貸借対照表と損益計算書の添付、(3)e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存、(4)期限内申告――この4条件がそろって初めて認められます。
「複式簿記まではやっているのに紙で提出していたため55万円止まりだった」という方が、想像以上に多いのです。
所得税・住民税を合わせた実効税率が30%の方なら、65万円と10万円の控除差55万円は、約16万円の税負担差に直結します。
会計ソフトを使えば複式簿記のハードルは大きく下がります。

 

注意:不動産所得において『最大65万円控除』と『青色事業専従者給与』を適用するには、賃貸経営が『事業的規模(おおむね5棟10室以上)』であることが必要です。

事業的規模に満たない場合は『10万円控除』となり専従者給与も使えませんが、『純損失の3年繰越』や『少額減価償却の特例』といった強力な特典は規模に関わらず利用可能です。

+αの視点:所得税は減っても「固定資産税(償却資産税)」がかかる罠

この「40万円未満を一括経費にできる特例」は所得税・住民税の節税には絶大な効果を発揮しますが、落とし穴が一つあります。

 

それは、取得価額が10万円以上のルームエアコンや屋外防犯カメラなどの備品をこの特例で一括経費にした場合、市町村に毎年申告する「償却資産税(固定資産税の一種)」の課税対象にはしっかりと含まれてしまうという点です。
「経費で落としたから申告不要」と思い込んで償却資産の申告から漏れてしまうケースが非常に多いため、経理処理と償却資産申告はセットで管理する必要があります。

特典②:家族への給与を全額経費にできる「専従者給与」

白色の場合、配偶者へ払える専従者控除は最大86万円が上限です。
一方、青色なら「青色事業専従者給与」として、労務の対価として適正な額であれば上限なく全額を経費にできます。
たとえば管理業務を担う配偶者に月8万円・年96万円を支払えば、その分オーナー本人の所得が圧縮され、かつ所得が家族に分散されて世帯全体の税率も下がります。
ただし事前の届出、実際に働いている実態、金額の妥当性が問われます。
“名ばかり給与”は税務調査で真っ先に否認される論点なので、業務内容と支払いの記録は必ず残してください。

特典③:赤字を3年繰り越せる「純損失の繰越控除」

大規模修繕を行った年や、新規取得の初年度は、減価償却や諸経費で不動産所得が赤字になることがあります。
青色ならこの赤字(純損失)を翌年以降3年間繰り越し、将来の黒字と相殺できます。
仮に初年度に150万円の赤字が出て、翌年に200万円の黒字が出た場合、繰越があれば黒字は50万円に圧縮されます。
白色では原則この繰越が使えません。
「開業初年度こそ青色にしておくべき」と私が繰り返すのは、まさにこの一点のためです。

 

非常に強力な純損失の繰越控除ですが、適用には厳しいルールがあります。
それは「赤字が発生した年に青色申告書を提出し、かつ、その後も連続して確定申告書を提出していること」です。
「今年は赤字で税金が出ないから、面倒な確定申告はしなくていいや」と申告を一度でもサボってしまうと、その瞬間に繰り越していた赤字の枠は消滅してしまい、翌年以降の黒字とぶつけることができなくなります。
赤字の年こそ、きっちりと青色申告で数字を確定させることが未来の節税に繋がるのです。

特典④:40万円未満の資産を一括経費にできる少額減価償却の特例

通常、エアコンや給湯器などは耐用年数にわたって少しずつ償却します。
しかし青色申告者には、取得価額30万円未満の資産を年間合計300万円まで一括で経費計上できる特例があります(中小事業者向け、適用期限あり)。
設備更新が重なる年に利益をピンポイントで圧縮できる、実務で使い勝手のよい武器です。
ただし対象や上限に細かな条件があるため、購入のタイミングと合わせて事前に設計するのが得策です。

丸山会計事務所からのメッセージ

これらの特典は、いずれも“申告してはじめて手に入る”ものです。
制度を知らなかった、届出を出し忘れた、というだけで毎年数十万円を取り逃すのは、あまりにもったいない。
私たち丸山会計事務所は、記帳代行にとどまらず、青色の届出設計から専従者給与の金額設定、修繕や設備投資のタイミングまで踏み込んで提案する“攻める税理士”です。
「知らないことで損をした」をなくし、お客様と一緒に資産の未来図を描く――経営理念「ともに未来を描く」は、こうした一つひとつの選択の積み重ねの中にあります。
名古屋・栄より、全国の大家さんを応援しています。

番外編:最大の関門は「青色申告承認申請書」の提出期限

最後に、これら全ての特典を受けるための「入り口のルール」をお伝えします。
青色申告を始めるには、

原則として「その年の3月15日まで(その年の1月16日以後に新規開業した場合は、開業日から2か月以内)」に税務署へ「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。

この期限を1日でも過ぎてしまうと、その年はどれだけ完璧な複式簿記の帳簿を作っても、問答無用で「白色申告」として扱われます。
思い立ったが吉日、まずは届出が期限内に済んでいるかの確認が全てのスタートです。

まとめ

青色申告の価値は帳簿づけの手間ではなく、65万円控除・専従者給与・純損失の3年繰越・少額減価償却の特例という4つの特典にあります。

白色のままでは、これらはすべて“取り逃し”になります。
物件規模の大小にかかわらず、まずは青色の届出と満額控除の要件確認から始めてください。
判断に迷ったら、早めに専門家へご相談を。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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