未分割・共有・空き家 相続不動産の落とし穴Q&A

投稿日:2026年06月09日

未分割・共有・空き家 相続不動産の落とし穴Q&A

朝4時起きの税理士、丸山です。

本日は「相続した不動産の扱い」について、現場で頻繁にご相談いただく実務上の論点をQ&A形式で整理してお話しします。

 

「相続した不動産は、とりあえず兄弟で共有名義にしておけば公平だろう」

――そう考えて遺産分割協議書に判を押してしまう方は今でも少なくありません。

しかし、私たち税理士の目から見ると、これは将来の紛争・税負担増・売却不能リスクを抱え込む、最も避けたい選択肢のひとつです。

共有はその場の解決にはなっても、出口で必ず問題化します。

 

今日は、未分割・共有・空き家という3つの典型場面ごとに、よくいただく5つのご質問にお答えしていきます。

Q1:申告期限までに分割協議がまとまらない、どうすればいい?

相続税の申告期限は相続開始から10カ月。

これに間に合わなければ「未分割」のまま申告することになります。

問題は、未分割で申告すると小規模宅地等の特例(最大80%評価減)も配偶者の税額軽減(1億6,000万円まで非課税)も使えないという点です。

 

救済策が「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出です。

これを当初申告に添付しておけば、3年以内に分割が整った時点で更正の請求により特例を後から適用できます。

提出忘れによって数千万円単位の特例を失う事例を、私はこれまで何度も見てきました。

期限ギリギリの相続でも、まず動かすべきはこの一枚です。

Q2:賃貸中のアパートを相続した。家賃は誰のもの?

意外と整理されていないのが、賃料収入の帰属です。

遺産分割が確定するまでの間に発生した家賃は、最高裁判例により「各相続人が法定相続分に応じて取得する」とされています。

後から「全部長男のものにする」と分割協議で決めても、未分割期間中の家賃は法定相続分で確定申告が必要です。

 

ここを知らずに長男一人で確定申告してしまうと、税務調査で全員に遡って修正申告を求められ、加算税まで発生します。

賃貸物件を含む相続では、分割協議と並行して「賃料の帰属表」を作り、口座管理を分けておくことが鉄則です。

Q3:実家が空き家になった。3,000万円控除は本当に使える?

被相続人の自宅を相続後に売却する場合、要件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できる「空き家特例」が使えます。

ただし、令和の改正で要件は変わっており、

①昭和56年5月31日以前に建築された家屋、

②区分所有建物でないこと、

③相続開始直前に被相続人が一人で居住していたこと、

④売却までに耐震改修または取壊しを行うこと(買主側で行う場合も可)、

などが必要です。

 

特に見落とされがちなのが、老人ホームに入所していた場合の取扱い。

介護保険法上の要介護認定を受けていたことなど、追加要件を満たせば適用可能です。

「うちは老人ホームに入っていたから無理」と諦める前に、必ず要件チェックをしてください。

期限は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。

タイムリミットを意識した出口設計が欠かせません。

Q4:兄弟で共有にした不動産、どうやって解消すればいい?

共有名義の不動産は、売却にも建替えにも全員の同意が必要です。

一人でも反対すれば動かせず、二次相続が進めば共有者は雪だるま式に増えていきます。

最近は、所在不明の共有者を抱える物件のご相談も急増しました。

 

解消手段は大きく4つ。

①代償分割(一人が取得し他の相続人に金銭を支払う)、

②換価分割(売却して代金を分ける)、

③共有物分割(土地を物理的に分筆する)、

④持分の譲渡や贈与

です。

それぞれ譲渡所得税・贈与税・登録免許税の扱いが異なり、選び方ひとつで税負担が数百万円単位で変わります。

 

特に代償分割では、代償金の額の設計が将来の『相続税の取得費加算特例』の計算にまで影響します。

なお、支払った代償金自体は、将来不動産を売却した際の『取得費』には上乗せされない(経費にならない)という税務上の大原則があるため、資金計画には細心の注意が必要です。

Q5:相続不動産の出口、誰に相談すればいい?――攻める税理士からの提案

相続不動産の問題は、相続税の申告だけでは終わりません。

むしろ、申告後5年・10年と続く「出口設計」こそが、最終的に手元に残る金額を左右します。

私たち丸山会計事務所では、相続発生時に

①未分割回避の分割設計、

②小規模宅地等の特例の最大活用、

③空き家特例・買換え特例を見据えた売却タイミングの設計、

④共有解消スキームの提案

までを一気通貫でサポートしています。

 

「ともに未来を描く」

――これは単なる理念ではなく、相続の現場で「10年後どうしたいですか」を必ずお伺いするスタンスそのものです。

確定申告や評価額の計算だけで終わる事務所ではなく、相続発生前から出口までを設計する“攻める税理士”として、実績を積み重ねてきました。

「知らなかった」で損をしないために、相続不動産のご相談は早ければ早いほど打ち手が広がります。

まとめ

相続不動産は、未分割期間の特例不適用、家賃の帰属、空き家特例の要件、共有解消の四局面で必ず税務論点が立ち上がります。

とりあえず共有・とりあえず未分割は最も危険な選択肢です。

申告期限後3年以内の分割見込書の提出、賃料の口座管理、空き家特例の要件チェック、共有解消手段の比較。

この4点だけでも事前に押さえておけば、出口での税負担と紛争リスクは大きく下がります。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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