減価償却切れで黒字倒産?大家のデッドクロス対策5選

投稿日:2026年06月30日

減価償却切れで黒字倒産?大家のデッドクロス対策5選

朝4時起きの税理士、丸山です。

本日は「減価償却の活用と節税効果」、なかでも多くの大家さんがつまずく“デッドクロス”についてお話しします。

「減価償却は経費が増えて税金が下がるから、とにかく多いほどありがたい」——そう思っていませんか。

実はここに大きな落とし穴があります。

減価償却は永遠に続く魔法ではありません。

いつか必ず終わり、その瞬間に税金が跳ね上がる。

帳簿は黒字なのに手元の現金が枯れていく、いわゆる“黒字倒産”の引き金になることさえあるのです

① 減価償却は「期間限定の節税装置」

減価償却とは、建物や設備の取得費を法定耐用年数にわたって少しずつ経費にしていく仕組みです。

たとえば3,000万円の木造アパート(建物部分)なら耐用年数22年、定額法で年138万円(3,000万円×償却率0.046)が現金支出を伴わない経費として計上できます。

家賃収入が同額入っていても、この138万円分は課税所得から差し引かれ、その分の税金が軽くなる。

これが減価償却の節税効果です

なお、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備は定額法に限定されますが、建物本体より耐用年数が短いため、区分することで初期の経費を増やすことができます。

また、器具備品については定率法を利用して早い時期にさらに厚く償却することが可能です。

ポイントは“現金が出ていかないのに経費になる”点にあります。

だからこそ多くの大家さんが減価償却を味方につけてきました。

しかし、この装置には必ず期限があるのです。

② デッドクロス——減価償却がローン返済に負ける日

デッドクロスとは、毎年の減価償却費よりも、ローンの元金返済額のほうが大きくなる状態を指します。

元金の返済は経費になりません。

一方で減価償却は年々減り、いずれゼロになります。

すると「経費にならない元金返済」だけが残り、帳簿上の利益=課税所得は膨らむのに、現金は返済で出ていく一方という逆転現象が起きます。

具体的には、課税所得が年300万円増えれば、所得税・住民税で個人なら100万円前後の納税増もあり得ます。

手元に残らないお金にまで課税される

——これがデッドクロスの怖さです。

築古の中古物件を短い耐用年数で一気に償却した方ほど、数年後にこの崖が突然やってきます。

イメージしてみましょう。

家賃収入500万円、経費(管理費・固定資産税など)100万円の物件で、当初は減価償却250万円とローン元金返済200万円があったとします。

このとき課税所得は150万円。

ところが減価償却が50万円まで減る頃には、課税所得は350万円に膨らみます。

返済額は変わらないのに税金だけが増え、実際に使える現金(手残り)はむしろ細っていく。

これがデッドクロスの正体です。

③ デッドクロスを乗り越える5つの打ち手

第一に、繰上返済で利息と元金のバランスを整えること

元金均等返済への切り替えや一部繰上で、返済構造を前倒しに整えます。

 

第二に、あえて設備を分けず建物と一体で計上し、償却期間を長く延ばして山をなだらかにすること。

 

第三に、適切なタイミングでの法人化。

所得分散と役員報酬で税負担を平準化できます。

 

第四に、買い替え・売却による出口。

減価償却が尽きた物件を手放し、新たな償却資産に組み替えます。

 

第五に、新規物件の取得で償却費を“上書き”し、ポートフォリオ全体で節税を継続する戦略です。

 

いずれも、デッドクロスが来てから慌てるのではなく、3〜5年前から逆算して仕込むことが肝心です。

減価償却スケジュールとローン返済表を並べれば、崖がいつ来るかは数字で見えています。

とりわけ効果が大きいのは、法人化と新規取得の組み合わせです。

個人で崖を迎える前に資産管理法人へ移し、法人で新たな物件を取得すれば、所得分散と新規償却を同時に効かせられます。

 

一方で、繰上返済は税負担を直接は減らしませんが、デッドクロスの到来そのものを遅らせる守りの一手として有効です。

攻めと守りをどう配分するかは、物件の築年数・借入残高・ご家族の状況によって最適解が変わります。

④ 丸山会計は「崖の手前」で攻めの提案をします

私たちは確定申告の代行で終わりにしません。

お客様の減価償却スケジュールと借入返済計画を重ね合わせ、デッドクロスが訪れる年を先回りで特定し、繰上返済・法人化・買い替えのどれを、いつ動かすべきかを具体的な数字でご提案します。

これが提案型の“攻める税理士”としての私たちの仕事です。

経営理念である「ともに未来を描く」とは、目先の納税額だけでなく、5年後10年後のキャッシュフローまで一緒に設計するということ。

これまで節税を実現してきた知見で、お客様の資産を守り、攻めます。

まとめ

減価償却は強力ですが、いつか必ず終わります。終わった先に待つデッドクロスは、黒字なのに現金が枯れる危険な局面です。繰上返済・設備分割・法人化・買い替え・新規取得の5手を、崖が来る3〜5年前から逆算して準備すれば、税負担とキャッシュフローは両立できます。減価償却は“終わり方”まで設計してこそ、本当の節税になります。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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