相続するマンション、相続税評価額が上がっているかも?——知らないと損する不動産評価の3つの視点

投稿日:2026年06月19日

相続するマンション、相続税評価額が上がっているかも?——知らないと損する不動産評価の3つの視点

朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。

「マンションは時価より相続税評価額がずっと低いから相続対策になる」

——長くそう言われてきました。

 

ところが2024年(令和6年)1月1日以後の相続・贈与から、居住用分譲マンションの評価ルールが大きく変わり、これまでのように評価額が下がらない物件が出てきています。

一方で、知っていれば評価額を正しく、時には大きく下げられる制度も健在です。

今日は、何がどう変わったのか、そして評価を適正に下げる正攻法について、3つの視点で整理します。

【目次】

1. 2024年に変わった「マンションの相続税評価」

2. 区分所有補正率——あなたのマンションは上がる?下がる?

3. 評価額を最大8割下げる「小規模宅地等の特例」

4. 人に貸している土地・建物は評価が下がる

1. 2024年に変わった「マンションの相続税評価」

かつてマンションは、土地を路線価ベース、建物を固定資産税評価額で評価し、その合計が市場での売買価格を大きく下回ることが珍しくありませんでした。

特に高層階や築浅の物件ほど乖離が大きく、いわゆる「タワマン節税」の温床になっていたのです。

こうした実態を適正化するため、国税庁は個別通達を整備し、2024年(令和6年)1月1日以後の相続・贈与については、居住用分譲マンションに「区分所有補正率」を乗じて評価することになりました。

対象は登記簿上の種類が「居宅」のもの。

事業用テナント物件、一棟まるごと所有する賃貸マンション、地階を除く総階数が2以下の低層物件、専有部分3室以下でその全てを区分所有者やその親族の居住用に供している二世帯住宅など(※1室でも他人に賃貸していると新ルールが適用されます)は対象外です。

まずは「自分の物件が新ルールの対象かどうか」を見極めるところが出発点になります。

2. 区分所有補正率——あなたのマンションは上がる?下がる?

補正率は、

①築年数、②総階数指数、③所在階、④敷地持分狭小度

という4つの指数から「評価乖離率」を求め、その逆数である「評価水準」で判定します。

 

評価水準が0.6未満なら評価額は引き上げられ(補正率=評価乖離率×0.6)、市場価格のおおむね6割の水準まで底上げされます。

0.6以上1.0以下なら従来どおり補正なし。

1.0を超える場合は、逆に評価額が下がります。

つまり「マンションだから必ず評価が上がる」わけではありません

築年数が経った低層物件などでは据え置きや引き下げになることもあります。

影響が大きいのはやはりタワーマンション。

お持ちの物件がどの区分に当たるのか、相続が起きる前に一度試算しておくことを強くおすすめします。

3. 評価額を最大8割下げる「小規模宅地等の特例」

評価が上がる話ばかりではありません。

一定の宅地は「小規模宅地等の特例」で大きく減額できます。

被相続人の自宅の敷地(特定居住用宅地等)は330㎡まで80%減、店舗や事業所の敷地(特定事業用・特定同族会社事業用宅地等)は400㎡まで80%減、アパートなど賃貸の敷地(貸付事業用宅地等)は200㎡まで50%減です。

ここで注意が必要なのは特例の「併用ルール」です。

ご自身の商売用(特定事業用等)とご自宅(特定居住用)であれば調整なしで最大730㎡まで併用できますが、アパート等の「貸付事業用」を併用する場合には一定の算式による調整計算が必要となり、使える面積が制限されます。

どの宅地から優先して適用するかで税額が変わるため、事前のシミュレーションが欠かせません

また、配偶者以外が取得する場合は「申告期限まで居住・保有・事業を継続する」といった要件があり、特例を使った結果として納付税額がゼロになるときでも、相続税の申告そのものは必要です。

なお、先ほどのマンション新ルールが効く物件では、補正後の評価額を基にこの特例を適用します。

4. 人に貸している土地・建物は評価が下がる

人に貸している不動産は、自分で使う場合より評価が下がります。

借地権が設定された土地(貸宅地)は「自用地としての評価額×(1−借地権割合)」、アパートなど貸家の敷地(貸家建付地)は「自用地としての評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で評価します。

借家権割合は全国一律30%、借地権割合は地域ごとに各国税局が定めています。

 

ここで見落としやすいのが賃貸割合です。

空室が多いと賃貸割合が下がり、評価減も小さくなってしまいます。

賃貸不動産は「持っているだけ」ではなく「きちんと貸している」ことが評価減につながる

——相続前後の入居状況にも目配りが必要です。

おわりに

当事務所では、所有されている不動産の評価を相続が起きる前に試算し、新ルールの影響と使える特例を一覧に整理して、「いま動くべきか、待つべきか」をご一緒に考えています。

評価は「下げる」前に、まず「正しく出す」ことが出発点です。

私たちの経営理念は「ともに未来を描く」。

数字の向こうにあるご家族のこれからまで見据えて、最適な道筋をご提案します。

気になる物件や、相続のご不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務上のアドバイスを行うものではありません。実際の適用にあたっては、最新の法令等をご確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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