高級車は不動産経費で落とせる?フェラーリ・ポルシェの否認に見る、税務調査で負けない「証拠」の残し方

投稿日:2026年07月21日

高級車は不動産経費で落とせる?フェラーリ・ポルシェの否認に見る、税務調査で負けない「証拠」の残し方

朝4時起き名古屋の税理士、丸山です。

「不動産で見込める利益が増えてきたから、節税を兼ねてフェラーリやポルシェを買いたい。情報収集や銀行、不動産業者への挨拶回りに使うから経費になるよね?」

このようなご相談をいただく機会が少なくありません。

 

結論から申し上げますと、ただ「事業に使っている」と口頭で主張するだけでは、税務調査で確実にひっくり返されます。

 

今回は、昨年(令和7年1月20日)に出された非常に生々しい「非公開裁決」の事例を基に、高級車をめぐる税務の実態と、リスクを回避するためのプロの実務ノウハウを徹底解説します。

【本編】

まずは、今回ご紹介する裁判一歩手前の公的な判断(国税不服審判所の裁決)の概要から見ていきましょう。

事例:不動産オーナーがフェラーリやポルシェを経費に算入

会社役員でありながら、個人でも不動産貸付業(大家さん)を営むオーナーが、フェラーリとポルシェの減価償却費(※高額な資産の購入費を、法律で定められた年数に分けて少しずつ経費化する仕組み)や車両費、保険料などを必要経費として確定申告しました。

 

また、消費税の計算でもこれらを差し引く処理を行っていました。

これに対し、税務署(原処分庁)が「不動産所得の経費としては認められない」として、過去数年分をまとめて否認。

多額の追徴課税処分を下したため、オーナー側が処分の取消しを求めて争った事案です。

オーナー側の主張

オーナー側は、高級車が必要不可欠である理由として以下の3点を熱弁しました。

情報収集のため: 優良な新物件の情報を集める活動に車両が必要であり、不動産貸付業のみで使用していた。

資金力のアピール(ブランディング): 一等地の新築タワーマンションの最上階など、特定の優良顧客にしか回ってこない物件を優先的に買うため、不動産開発業者に自身の資金規模を理解させ、優良顧客と認識させる必要があった。

・私用ではない証明: 個人用としては、他に高級車を複数台所有しており、フェラーリやポルシェをプライベートで使う必要性はまったくなかった。

一見すると、「なるほど、地主や富裕層のビジネスならあり得る話だ」と思われるかもしれません。

国税不服審判所の冷徹な判断

しかし、審判所の下した結論は「経費算入も消費税の控除も一切認めない」という、オーナー側の完全敗訴でした。

審判所は、不動産貸付けという業務において、フェラーリのようなスーパーカーが「通常予想される経費」とは言えないと指摘。

 

その上で、オーナー側がどれだけ熱弁を振るおうとも、「車両の使用方法、使用頻度、使用目的などを踏まえた、不動産貸付業との合理的な関連性や事業遂行上の必要性を裏付ける『証拠』がどこにもない」と一蹴したのです。

結果、個人的な利用の必要がないという主張があっても推認は覆らず、所得税だけでなく消費税の還付や控除もすべて否認されました。

【実務家・丸山視点のアドバイス】税務調査で狙われやすいポイント

この裁決例から学ぶべき、地主・不動産オーナーが生き残るための実務の教訓はシンプルです。

税務の世界では「客観的な証拠のない主張は、存在しないのと同じ」ということです。

不動産貸付業において、高級車が100%経費にならないわけではありません。

しかし、税務調査官が最初に見るのは「車の名前」と「物件の管理実態」です。

仮に地方のファミリー向けアパートを数棟持っているだけの大家さんが「フェラーリで巡回しています」と言っても、事業上の必要性は認められません。

もし事業用として車両費を計上するのであれば、最低限以下の証拠を日頃から「仕組み」として残しておく必要があります。

運転日報・走行記録の作成: 「いつ」「どこ(どの物件・どの業者)へ」「何の目的で」行き、メーターが何キロ動いたかを毎日記録する。

ビジネスの実態と車両の整合性: 高級車であることで、実際にいくらの利益をもたらしたのか、あるいはどのような取引が成立したのかを説明できる書面やメールの履歴を残す。

口頭で「プライベートでは別の車がある」と言い張るだけでは、税務署は絶対に納得しません。

【注意点】

事業用資産の経費化や、法人化(資産管理法人の設立)による節税対策には、常にこうした「実態の立証責任」が伴います。

特に高級外車や、家族間での資産移動、駐車場収益の分散などは、税務調査において最も狙われやすい定番のスポットです。

一度「否認」のペナルティを受けると、過去に遡って多額の延滞税や加算税が課されるリスクがあります。

自己判断での無理な経費計上や、インターネットの薄い節税情報を鵜呑みにした対策は非常に危険です。

【結び】

先祖代々の土地を守る地主様や、複数の賃貸物件を動かす個人オーナー様が、合法的に「正しく得をする」ためには、税務署を一言で納得させるだけの強固なロジックと証拠の積み重ねが不可欠です。

「この出費は経費にできるだろうか?」「税務調査に入られてもビクともしない体制を作りたい」

そうお悩みの方は、ぜひ丸山会計事務所にお任せください。

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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