事業承継税制は後継者が複数でも受けられますか?
投稿日:2024年12月06日
事業承継税制では、後継者が複数であっても、一定の条件を満たせば適用を受けることが可能です。具体的には、最大3人まで後継者を認定し、特例措置を適用することが認められています。これは、複数の後継者が共同で会社の経営を引き継ぐ場合や、兄弟や複数の役員が事業を承継する場合に活用できる非常に有用な制度です。
1. 複数の後継者に適用される仕組み
事業承継税制は、後継者が事業を引き継ぐ際の相続税や贈与税を猶予する制度です。この税制の特例措置では、最大3人の後継者まで税制の適用を受けることが可能です。この制度は、複数の後継者が会社を共同で承継し、協力して経営を進めるケースに対応しています。
たとえば、次のようなケースにおいても、事業承継税制の適用を受けることができます。
兄弟や親族での共同経営
複数の兄弟や親族が共同で会社を引き継ぐ場合、3人までの後継者がそれぞれ事業承継税制を適用することができます。これにより、会社の経営を協力して行いながら、税負担を軽減することが可能です。
役員や社員との共同承継
親族以外の役員や従業員が後継者となる場合も、複数の人物が後継者として選定されれば、事業承継税制の特例措置を適用することができます。
2. 複数後継者の条件
複数の後継者が事業承継税制の適用を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。特に、後継者の人数が増えることで、株式や経営権の分配が複雑になるため、次のような要件を確認しておくことが重要です。
全員が会社の代表権を有していること
事業承継税制の適用を受ける後継者は、それぞれが会社の代表権を持っていることが条件です。これは、後継者全員が会社の経営を実質的に主導する立場にあることを示す必要があるためです。
後継者全員が役員であること
後継者となる人物は、贈与や相続が行われる時点で3年以上会社の役員であることが要件となります。複数の後継者がいる場合も、この要件は全員に適用されます。
株式の保有割合の調整
複数の後継者が事業を承継する場合、全員が会社の株式を持つ必要があります。具体的には、後継者が複数いる場合でも、後継者全員で総議決権数の50%以上を保有する必要があります。この点において、後継者間で適切に株式を分配し、各人が一定の影響力を持つことが求められます。
3. 複数後継者の事業承継におけるメリット
複数の後継者が事業を承継する場合には、いくつかのメリットがあります。
メリット1: 経営の分担が可能
複数の後継者がいることで、経営の役割分担が可能となり、各人が得意分野を担当することができます。これにより、事業の安定性が高まり、会社の運営がスムーズに進められることが期待されます。
メリット2: 継続性の強化
複数の後継者がいることで、事業継続のリスク分散が可能です。仮に1人の後継者が健康上の問題や個人的な事情で経営から退く場合でも、他の後継者が経営を続けることができ、会社の存続が確保されます。
メリット3: 後継者の教育とサポート
複数の後継者がいる場合、相互にサポートしながら事業運営に取り組むことができ、特に後継者が若い場合や経験が浅い場合でも、協力し合うことで経営スキルの向上が期待されます。
4. 複数後継者の場合の注意点
一方で、複数の後継者がいる場合には、次のような注意点もあります。
注意点1: 経営方針の不一致
複数の後継者がいることで、経営方針の違いが生じるリスクがあります。後継者間で意見が分かれると、意思決定がスムーズに行われない場合もあるため、事前に経営方針や役割分担を明確にしておくことが重要です。
注意点2: 株式の分散による経営権の不安定化
複数の後継者に株式を分配する際、株式の分散により経営権が不安定になるリスクがあります。特に、後継者の1人が株式を外部に譲渡するなど、経営権が外部に流出する可能性があるため、株式の管理については慎重に対応する必要があります。
注意点3: 報告義務の継続
後継者が複数いる場合でも、事業承継税制を適用するには報告義務を果たす必要があります。後継者全員が事業を継続していることを定期的に税務署に報告し、納税猶予の要件を満たしていることを証明しなければなりません。
5. 事業承継計画の重要性
複数の後継者で事業を承継する場合、事業承継計画の策定が非常に重要です。後継者間での株式の分配や経営方針、役割分担などを明確にしておくことで、事業承継後のトラブルを防ぐことができます。事業承継計画を策定する際には、専門家のサポートを受けながら、円滑な事業承継を進めることが成功の鍵となります。
まとめ
事業承継税制は、最大3人までの後継者に適用することが可能で、複数の後継者による共同経営や、役員や社員との事業承継にも対応しています。後継者全員が会社の代表権を持ち、役員として経営に携わること、株式を適切に分配し経営権を確保することが条件となります。複数の後継者による事業承継は、経営の分担やリスクの分散といったメリットがありますが、経営方針の違いや株式の分散によるリスクに注意が必要です。事業承継計画をしっかりと策定し、専門家と連携しながら進めることで、成功する事業承継を実現することができます。
この記事の監修

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。