事業承継税制は後継者が他人であっても受けられますか?
投稿日:2024年12月06日
事業承継税制の適用を受ける際、後継者が親族以外、つまり他人であっても、一定の条件を満たせば特例措置の適用を受けることができます。
従来、事業承継において後継者は親族(子どもや親戚など)であることが一般的でしたが、近年は少子化や後継者不足により、親族外承継、すなわち他人への事業承継のニーズが増加しています。このため、事業承継税制も親族外の後継者に対する柔軟な対応を取っています。
1. 特例措置における後継者の範囲
事業承継税制の特例措置では、後継者が他人であっても、適用を受けることが可能です。具体的には、以下のようなケースでも適用が認められます。
社員や役員などの社内の人物
長期間にわたり会社の経営や運営に関わってきた役員や従業員が後継者になる場合、この人物が会社を実質的に引き継ぐことで特例措置が適用されます。親族でなくても、経営に精通している人物であれば、事業承継税制を活用して円滑に事業承継が進められる可能性があります。
MBO(マネジメント・バイアウト)による承継
経営陣が株式を買い取って事業を引き継ぐ**MBO(マネジメント・バイアウト)**の形でも、特例措置の適用を受けられる場合があります。この場合、親族でない経営者が事業を引き継ぐことになるため、後継者が親族外であっても、事業承継税制の恩恵を受けることができます。
社外からの経営者の招致
特例措置は、社外から経営の経験者を招き、後継者として任命する場合でも適用されます。たとえば、取引先や同業他社から適任者を引き入れるケースでも、要件を満たせば事業承継税制の適用が可能です。
2. 適用を受けるための要件
他人であっても事業承継税制の適用を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。これらの要件は、後継者が親族である場合と基本的に同じですが、特に以下の点に注意が必要です。
後継者が会社の代表権を有していること
親族でなくても、後継者が贈与や相続の時点で会社の代表取締役として経営権を持っていることが必要です。これは、後継者が実際に会社を引き継ぎ、経営の実権を握っていることを確認するための要件です。
後継者が18歳以上であること
親族以外の後継者であっても、18歳以上であることが要件とされています。成年に達していない場合には、事業承継税制の適用は受けられません。
後継者が贈与の日までに3年以上役員であること
後継者は、贈与の日までに3年以上会社の役員として従事していることが必要です。この要件により、後継者が会社の内部事情に精通し、経営の実務経験を持っていることが求められます。親族外承継でも、後継者として十分な経験があることが重要です。
後継者及び特別関係者が総議決権数の50%以上を保有すること
他人が後継者になる場合も、後継者が会社の総議決権数の50%以上を保有することが必要です。後継者が経営権をしっかりと確保し、会社の意思決定に影響を与える立場にあることが条件となります。後継者が単独で50%の議決権を持つことが難しい場合には、特別関係者(後継者の配偶者や近親者など)と合わせて50%以上を確保する形も認められます。
3. 親族外承継のメリットと注意点
親族外承継、つまり他人が後継者になるケースは、経営の引き継ぎにおいていくつかのメリットがありますが、注意すべき点もあります。
メリット
経営能力の高い人材の登用
親族外の後継者を選ぶ場合、経営能力が高い人材や外部の専門家を招くことが可能です。これにより、事業の成長や新しい経営戦略を導入することが期待できます。
後継者不在のリスク回避
親族に適切な後継者がいない場合、優秀な役員や従業員、社外からの人材を後継者とすることで、事業の継続を確保できます。これにより、経営者の高齢化や事業承継の遅れによるリスクを回避することができます。
注意点
事業承継計画の慎重な策定
他人が後継者となる場合、親族間の事業承継と異なり、経営権の引き継ぎがスムーズに進まない可能性があります。後継者との信頼関係の構築や、事業承継計画の慎重な策定が必要です。
株式や議決権の確保
他人を後継者にする場合、特に株式の分配や議決権の管理に注意が必要です。株式の譲渡や経営権の確保に関する合意を事前にしっかりと結んでおくことが大切です。
4. 専門家のサポートが不可欠
親族外承継の場合、通常の事業承継よりも複雑な手続きが必要になることが多く、税理士や弁護士などの専門家のサポートが不可欠です。特に、事業承継税制の適用要件を正しく理解し、後継者と会社の利益を守るために適切なアドバイスを受けることが成功の鍵となります。
まとめ
事業承継税制は、親族外の後継者、つまり他人が後継者であっても特例措置の適用を受けることができます。後継者が代表権を持っていることや、3年以上の役員経験があることなど、いくつかの要件を満たせば、親族外承継でも事業承継税制を活用することが可能です。他人が後継者となる場合には、事業承継計画の策定や株式の管理に注意し、専門家のサポートを受けながら慎重に進めることが重要です。
この記事の監修

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。