事業承継税制における後継者の要件を教えてください。
投稿日:2024年12月06日
事業承継税制を適用するためには、後継者がいくつかの要件を満たしている必要があります。これらの要件は、後継者が適切に会社を引き継ぎ、経営を安定して行うことを目的としています。以下に、後継者に課される主な要件を詳しく説明します。
1. 贈与時に代表権を有していること
後継者は、贈与が行われる時点で会社の代表権を持っていることが必要です。つまり、後継者が会社の代表取締役や代表社員として会社の経営に責任を持つ立場にいることが求められます。これにより、事業承継後に後継者が実質的に会社の運営を主導できる体制が整っていることが条件となります。
2. 贈与の日において18歳以上であること
後継者は、贈与の日において18歳以上であることが要件となります。これは、成年に達した後継者が経営の責任を負い、適切に会社を運営できるようにするためです。後継者が18歳未満の場合、事業承継税制の適用を受けることはできません。
3. 贈与の日まで引き続き3年以上会社の役員であること
後継者は、贈与の日まで引き続き3年以上にわたり会社の役員であることが求められます。これは、後継者が一定期間会社の経営に関与しており、会社の内部事情や運営に関する知識を持っていることを示すための要件です。役員としての経験が3年以上あることで、後継者がスムーズに経営を引き継ぎ、会社の事業を継続させることができると判断されます。
役員には取締役、執行役、監査役、またはそれに準じる役職が含まれます。
後継者が役員として会社の経営に携わり、将来的な経営者としての準備が整っていることが条件となります。
4. 総議決権数の50%超の議決権を保有すること
贈与の時点で、後継者とその親族(例:配偶者や親族など)が会社の総議決権数の50%以上を保有することが求められます。これは、後継者が事業承継後も会社の経営を実質的に支配できる状況を確保するための要件です。
特別関係者には、後継者の配偶者、後継者の直系血族などが含まれます。
総議決権数が50%を超えることで、後継者が会社の意思決定において過半数の議決権を持ち、安定した経営が行える状態を確保します。
もし、後継者が単独で50%の議決権を保有していなくても、特別関係者と合わせて50%を超える議決権を持っている場合でも、事業承継税制の要件を満たすことができます。
5. その他の関連要件
事業承継税制の適用を受けるためには、上記の基本的な要件に加え、以下の点にも注意が必要です。
事業の継続性: 後継者は事業承継後、5年間事業を継続することが必要です。この期間中に事業を廃業したり、株式を譲渡した場合、猶予されていた相続税や贈与税の納付が必要になる可能性があります。
報告義務: 後継者は、税務署に対して毎年、事業承継が適切に行われていることを報告する「継続届出書」を提出する必要があります。この報告義務を怠ると、納税猶予が解除されるリスクがあります。
6. 株式の保有についての注意点
後継者の配偶者や直系血族が含まれ、これらの人々が保有する議決権も総議決権数にカウントされますが、会社の支配権が外部に渡るような状況(たとえば、第三者への株式譲渡など)が発生すると、事業承継税制の適用が難しくなる可能性があります。そのため、後継者と特別関係者の間で株式の保有状況を明確にし、事業承継後も経営権が確保されるように計画を立てることが重要です。
まとめ
事業承継税制における後継者の要件として、以下が重要なポイントです:
贈与時に会社の代表権を有していること
贈与の日に18歳以上であること
贈与の日まで引き続き3年以上役員であること
総議決権数の50%以上を保有すること
これらの要件を満たすことで、事業承継税制の適用を受けることが可能となり、相続税や贈与税の負担を軽減しながら、後継者がスムーズに事業を引き継ぐことができます。また、計画的な事業承継の実現には、税理士や専門家のサポートが不可欠です。
この記事の監修

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。