事業承継税制の計算方法を簡単に教えてください。
投稿日:2024年12月06日
事業承継税制では、相続税や贈与税の納税猶予が適用されるため、後継者が事業を承継する際に発生する税金を計算し、猶予を受ける形となります。以下では、基本的な計算方法を簡単に説明します。
1. 株式の評価額の計算
事業承継税制の適用を受けるためには、まず会社の株式や事業資産の評価額を計算します。評価額は、財産評価基本通達に基づいて算出されます。中小企業の株式の評価方法としては、主に類似業種比準方式や純資産価額方式が用いられますが、会社の規模や業種によって異なるため、個別に計算する必要があります。
類似業種比準方式: 事業内容が類似している上場企業の株価を基準に評価。
純資産価額方式: 会社の純資産(資産から負債を引いた額)をもとに評価。
2. 猶予される相続税・贈与税の計算
株式の評価額が決まると、それに基づいて相続税や贈与税の額が算出されます。以下が基本的な流れです。
① 相続税の計算
相続税の場合、承継する株式や資産の評価額に基づいて、税率をかけて相続税が計算されます。相続税の税率は累進課税(資産が高くなるほど税率が高くなる)です。具体的な税率は、相続額に応じて異なります。
基礎控除額を引いた後の課税対象額に対して、税率を適用して計算します。
② 贈与税の計算
贈与税も同様に、贈与された株式や資産の評価額に基づいて計算されます。贈与税の税率も累進課税となっており、評価額に応じて異なる税率が適用されます。
贈与税は、1年ごとに贈与された金額に対して課税され、基礎控除額を差し引いて計算します。
3. 納税猶予額の計算
事業承継税制では、相続税や贈与税の全額または一部が猶予されます。猶予される額は、承継した株式の評価額に対する相続税や贈与税の額に相当します。
特例措置を適用すると、後継者が承継する株式にかかる相続税や贈与税の全額が納税猶予の対象になります。
一般措置の場合、猶予されるのは株式は総株式総数の2/3までとなり、それ以上の株式には通常の相続税・贈与税が課されます。
4. 納税猶予の解除条件と納税のタイミング
後継者が5年間事業を継続し、要件を満たす場合は、猶予されていた税金が免除される可能性があります。ただし、要件を満たさない場合や、株式を譲渡した場合などには、猶予が解除され、猶予されていた税金を一括で納付する必要があります。
猶予が解除された場合、評価額に基づいて算出された相続税や贈与税の全額を納付する必要があります。
猶予期間中の延滞税なども発生する可能性があるため、適切に要件を満たし続けることが重要です。
5. 事前準備と専門家のサポート
事業承継税制の適用を受ける際は、納税猶予額の計算や要件確認が非常に重要です。会社の株式評価や税額計算は複雑であり、特に中小企業の事業承継においては、事前に専門家のアドバイスを受けることが成功の鍵となります。
参考資料
詳細な計算方法や税率については、国税庁が発行している以下の資料で確認できます。
国税庁 事業承継税制パンフレット
この資料では、事業承継税制の適用に関する詳しい手続きや計算例が示されていますので、具体的な計算方法についてさらに理解を深めることができます。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0024006-044_01.pdf
この記事の監修

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。