事業承継の金庫株(自社株買い)特例の留意点と金庫株における事業承継税制の併用について

投稿日:2024年12月06日

事業承継の際に行われる金庫株(自社株買い)と事業承継税制の併用には、いくつかの重要な留意点があります。事業承継税制は、後継者が株式を承継する際に、相続税や贈与税の納税猶予や免除を受けることができる制度ですが、金庫株の買取を行う場合、確定事由に該当する可能性があるため、適用には注意が必要です。以下、金庫株の特例や事業承継税制との併用における留意点を詳しく解説します。

1. 金庫株(自社株買い)とは?
金庫株とは、会社が自己株式(自社株)を市場から買い戻し、保有する株式のことを指します。事業承継においては、株主から会社が株式を買い戻すことで株式の分散を防ぎ、後継者がより経営権を持ちやすくするために活用されることがあります。特に、事業承継の際には、経営権の集中や株式の整理を目的に、自社株買いが行われることがあります。

金庫株を活用することで、後継者以外の株主から株式を買い取ることで、株式を分散させず、後継者に経営権を集中させることが可能です。ただし、このプロセスにはいくつかの税務上の留意点があります。

2. 事業承継税制と金庫株の併用の留意点
事業承継税制は、後継者が株式を承継し、一定の条件を満たすことで相続税や贈与税が猶予される制度です。しかし、金庫株の買取を行う場合、その株式が事業承継税制の適用を受けていると、以下の理由で納税猶予が解除され、確定事由が発生する可能性があります。

確定事由の発生
事業承継税制では、後継者が株式を保有し続け、事業を継続することが要件とされています。しかし、金庫株による自社株買いが行われると、後継者が株式を譲渡したとみなされ、納税猶予が解除される可能性があります。つまり、金庫株として株式を会社が買い取った場合、その株式にかかる納税猶予は取り消され、後継者は猶予されていた相続税や贈与税を納付しなければならない事態が発生します。

事業承継税制との併用の慎重な検討
金庫株による株式買取を予定している場合、事前に事業承継税制が適用されている株式の割合や買取後の議決権比率を慎重に検討することが必要です。特に、後継者が承継した株式に関しては、猶予解除が発生しないよう、税務や経営権の維持について十分な計画が求められます。
また、相続した株式の全部を納税猶予をかけるのではなく、あらかじめ会社に自己株式で購入してもらう予定があるものについては、一部事業承継税制を使わずにおく方法も考えられます。

3. 金庫株の特例を利用する際の留意点
事業承継における金庫株の活用には、事業承継税制の適用要件を満たしつつ、経営権を後継者に集中させる目的で利用することが一般的です。以下は、金庫株の特例を利用する際に考慮すべき主なポイントです。

会社法および税務上の要件
金庫株による自社株買いは、会社法の規定に基づいて行われますが、税務上も注意が必要です。自社株買いは、株主への資本還元の一種として取り扱われることがあり、税務上の取り扱いが複雑になる場合があります。そのため、事前に専門家と相談し、税務リスクを回避するための対策を講じることが大切です。

納税猶予の解除リスクの回避
金庫株の活用によって納税猶予が解除されるリスクを避けるためには、税理士や専門家による事前の計画立案が不可欠です。株式買取のタイミングや方法、買取後の議決権の管理についても、専門家のアドバイスを受けて慎重に進めることが重要です。

4. 事前の計画と専門家のサポートが不可欠
事業承継税制を利用しつつ、金庫株による株式買取を行う場合は、事前の計画と専門家のサポートが不可欠です。特に、株式買取が行われた場合の納税猶予の影響や、買取後の後継者の経営権の維持に関しては、詳細な検討が必要です。

専門家に相談することで、事業承継税制を最大限活用しつつ、金庫株の買取によって納税猶予が解除されるリスクを最小限に抑えることができます。また、事業承継後の税務リスクを回避し、後継者が安定した経営を続けられるような体制を整えることも可能です。

まとめ
事業承継税制を適用している株式について金庫株による自社株買いを行う場合、納税猶予が解除される確定事由に該当するリスクがあるため、慎重な対応が必要です。特に、後継者が保有する株式の議決権が減少しすぎないよう、株式の分配や買取計画を事前に検討することが重要です。また、金庫株の特例を利用する際には、税理士や事業承継に詳しい専門家のサポートを受けながら進めることが成功の鍵となります。税務リスクを最小限に抑えつつ、円滑な事業承継を実現するために、専門家と連携して計画を立てましょう。



この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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