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【資金繰りに困っている方必見】経営改善サポート保証とは?

投稿日:2023年12月20日

2021年4月より制度開始されていた「経営改善サポート保証(感染症対応型)」が取り扱い期間を2024年3月31日まで延長しました。また、債務超過に困っている中小企業者への金融支援である「信用保証付債権DDS」の計画要件も拡充されています。

本記事では、経営改善サポート保証について詳しく解説をします。経営改善サポート保証を受けたいとご検討の方はぜひ参考にしてみてください。

 

1.経営改善サポート保証(感染症対応型)とは?

本章では、まず「経営改善サポート保証(感染症対応型)」の概要を解説します。

新型コロナウイルスの影響を受けた事業者を支援する制度

新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業を対象に、事業再生をするための資金の借り入れを保証する制度のことで、2021年4月より中小企業庁が制度を開始しました。コロナウイルスの影響を受け、多額の借入を行ったものの、いまだ売上高等が回復しない事業者に対して、早期に事業再生の取り組みを進める目的の制度です。

経営改善サポート保証制度はコロナウイルス流行以前よりあった制度ですが、従来の制度に加え、「感染症対応型」として、据え置き期間を5年延長、信用保証料の事業者負担を大幅に引き下げて開始されました。

 

保証限度額や保証率などはどれくらい?

経営改善サポート保証(感染症対応型)で受けられる保証内容は以下の通りです。

保証限度額 2億8,000万円(一般の普通・無担保保証とは別枠)
保証割合 責任共有保障(80%保証)※。ただし、100%保証およびコロナウイルス禍のセーフティーネット保証5号からの借り換えについては100%保証。(いずれも保証付きの既往借入金の範囲内の額を借り換える場合に限る。)
保証料率 0.2% (国による補助前は原則0.8%または1.0%)
金利 金融機関の所定の利率による
保証期間 15年以内
据置期間 5年以内
取扱期間 2024年3月31日まで

 

※責任共有保障とは、信用保証協会と金融機関が適切な責任共有を図ることです。経営サポート保証(感染症対応型)においては、80%部分を信用保証協会が代位弁済を行い、残りの20%が金融機関の負担となります。

 

上記の保証期間および据置期間を見ていただくと分かる通り、保証期間と据置期間をあわせて最長15年間まで返済期間があるので、現在資金繰りに困っている中小企業者にとってはかなり有効な制度だといえます。

 

2.経営改善サポート保証(感染症対応型)を受けるためには?

本章では、経営改善サポート保証(感染症対応型)を受けるために必要な手続きをご紹介します。

対象となる事業者の要件

新型コロナウイルスの影響を受け、事業再生のための資金が必要となった中小企業です。

売上高が○%以上減少などといった具体的な数値による要件は発表されていません。

 

保証を受けるためのフロー

保証を受けるためには以下のフローに沿う必要があります。

 

①中小企業と金融機関が信用保証協会に経営サポート会議の開催を依頼する。

※経営サポート会議とは、経営改善計画や金融支援の内容について合意形成を希望する中小企業が、取引金融機関と一堂に会し、情報共有や意見交換を行うミーティングです。

経営サポート会議の開催までに「経営改善計画」を作成する必要があります。経営改善計画は中小企業者自らが作成することも可能ですが、向こうの5年間の貸借対照表などの財務書類を作成する必要があるので、中小企業者には作成が困難な場合が多いです。

そこで、国が認める税理士などの「認定経営革新等支援機関」に経営改善計画の作成を依頼する手があります。認定経営革新等支援機関は中小企業庁のホームページより検索することができます。(https://ninteishien.my.site.com/NSK_CertificationArea)また、認定経営革新等支援機関に対して負担する経営改善計画策定支援に必要となる費用の2/3(上限額は以下参照)を中小企業活性化協議会が負担してくれる制度である「経営改善計画策定支援事業(405事業)」がありますので、費用の捻出に困っている中小企業はご活用してみてはいかがでしょうか。

 

② 経営サポート会議の開催をする

信用保証協会が事務局役となり、金融機関に会議の日程を調整、経営改善計画を配布して事前質問のとりまとめなどをします。経営サポート会議においては、中小企業による経営改善計画の説明や新規融資の依頼、質疑意見交換などを行います。

 

③金融機関・信用保証協会が支援を検討する

金融機関および信用保証協会の両者が同意可否を回答します。信用保証協会が、同意可否の結果の連絡を金融機関および中小企業に行います。

 

④合意成立後、経営改善・再生計画を実行する

合意が設立し、金融支援を受けた場合は、中小企業者は経営改善計画に基づき、改善を実施します。

 

⑤中小企業者は定期的に報告会を実施する

計画の進捗をフォローアップするために、中小企業者は定期的に(決算期ごと等)に報告会を実施して、現況報告をします。

※認定経営⾰新等⽀援機関が経営改善計画策定⽀援事業によって策定を⽀援した事業再⽣計画においても、全債権者の合意を得たものであれば、経営サポート会議を開催しなくとも対象となるよう要件が拡充しています。

 

3.信用保証付債権DDSについて

2023年1月31日より、債務超過に苦慮する中小企業者への金融支援である「信用保証付債権DDS」の計画要件を拡充しています。本章では、信用保証付DDSの概要について解説をします。

信用保証付債権DDSとは?

コロナウイルスの影響の長期化や物価高騰の影響を受け、債務超過に苦しむ中小企業者において、現況打開のために設備投資を行いたいと考える場合があります。しかし、現況の財政状況では資金調達が難しいというのが現実です。

そこで、債務超過の要因になっている既存の保証付融資の一部を、資本的劣後債権への転換(信用保証付債権DDS)を行うことにより、実質債務超過額を圧縮・解消することが可能になり、新たな資金調達ができる場合があります。

 

対象者や期間は?

信用保証付債権DDSの保証内容は以下の通りです。

対象者 信用保証協会を利用している中小企業者であって、再生計画等を策定し、金融機関等の支援を得て、経営改善・事業再生を図ろうとするもの
劣後化手続き 信用保証付債権について保証条件変更手続きを行う
期間 5年超(事業再生計画等で求められている期間)
償還方法 原則として、期限一括返済
保証率 通常の条件変更手続き同様、貸付実行時の保証料を適用
金利 原則として、配当可能利益に応じた金利設定

 

信用保証付債権DDSを受けるためには?

経営改善サポートと同じく、経営サポート会議や中小企業活性化協議会等において、再生計画を行います。

ただし、経営改善計画策定支援事業によって、認定経営革新等支援機関が策定を支援した「事業再生計画」において、全債権者の合意を得たものであれば、対象とするよう要件が拡充されています。

 

4.まとめ

本記事では、コロナウイルスの影響を受けて、資金繰りに困窮している中小企業者を対象とした「経営改善サポート保証」の紹介をしました。本記事のポイントは次の3つです。

 

・コロナ融資を受けたものの現況返済が始まり、返済資金の調達に困窮している中小企業者は、経営改善サポート保証の検討がおすすめ

・経営改善サポート保証においては、保証期間と据置期間あわせて最長15年間の返済期間がある

・経営改善サポート保証を受けたい場合は、認定経営革新等支援機関に経営改善計画の作成を依頼しましょう

 

経営改善サポート保証を受けたいとお考えの場合は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

また、資金繰りや経営改善サポート保証など税務や会計でお困りの際は、丸山会計事務所までお気軽にご相談ください。

この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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