26/6/26配信:名義を変えても無駄?税務署が仕掛ける「生命保険」の罠
投稿日:2026年06月26日
いつもメルマガをお読みいただき、
本当にありがとうございます。
毎朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。
こちらのメルマガの執筆をしています。
最近は4時台でも明るくなりましたね、寝室の窓から外を見ると少しづつ
明るくなるのが分かります。
さて、本日は、
経営者や資産家の皆様が非常によく使う
「生命保険」の落とし穴についてお話しします。
良かれと思ってやった生前対策が、
実は、将来の課税を約束するだけの
結果になっているかもしれません。
お手元に、ご家族の保険証券を
思い浮かべながらお読みください。
◆ よくある「良かれと思った」名義変更
例えば、このようなケースです。
親であるあなたが契約者となり、
奥様を被保険者、
受取人を「お子様」にする保険に入ったとします。
もちろん、保険料は親であるあなたが全額支払います。
数年後、相続対策を意識し始めたあなたは、
保険会社に連絡して、こう手続きをしました。
「契約者の名義を、無償で子供に変えてください」
保険の「契約者」というのは、
いつでもその保険を解約して、
たまっているお金(解約返戻金)を
手に入れることができる強い権利を持っています。
つまり、名義をお子様に変えた時点で、
法律(民法)上は、その「お金を受け取る権利」が
丸ごと親からお子様へと移っています。
普通に考えれば、その瞬間に
高い贈与税がかかりそうなものですよね。
しかし、手続きはスムーズに終わり、
税務署からも何も言ってきません。
贈与税もかかりません。
「よし、これで無税で財産を移転できた」
そう安心される方が、実は後を絶たないのです。
◆ 落とし穴①:名義変更の瞬間は「無税」という罠
なぜ、名義変更の瞬間に
税務署は何も言ってこないのでしょうか。
実は、税務署が見逃しているわけではありません。
名義変更の時点では課税せず、
「お金が動く時にまとめて課税する仕組み」
になっているからです。
税務署のルール(税法)では、
「名義が変わっただけで、まだ実際に
保険金や解約金が支払われたわけではない。
だから、まだ税金はかけない」
という解釈をします。
つまり、対策が成功したのではなく、
課税のタイミングが「後ろにずれている」だけなのです。
本当の網をかけるタイミングを、じっと待っています。
◆ 落とし穴②:お金が動いた時に、すべてがひっくり返る
本当の罠が発動するのは、
名義変更をした「あと」です。
具体的には、次の2つのタイミングで、
税務署は一気に網を絞ってきます。
【パターンA】保険料を払っていた「親」が亡くなった時
被保険者である奥様が健在であっても、
親が亡くなった時点で、
その保険は「亡くなった親の財産だ」
と税務署に判断されます。
「契約者は子供なのに、なぜ?」
と思われるかもしれません。
なぜなら、その保険料をずっと負担していたのは
亡くなった親だからです。
税務では「誰の名義か」という形よりも、
「誰のお金で作られた財産か」を重視します。
そのため、親の相続税の対象にガサッと組み戻されるのです。
【パターンB】お子様が途中で保険を解約した時
お子様が自分の意思で解約して、
たまっていたお金(解約返戻金)を手に入れた瞬間、
税務署は「それ、元々は親が払ったお金でしょ」
として、メスを入れます。
この場合、ケースによって課税関係は変わりますが、
税務署は「誰が保険料を負担したか?所得税、贈与税か」を厳しく確認し、
しっかりと税金をかけてきます。
名義変更の手続き自体は、
書類一枚で簡単にできてしまいます。
でも、税金は決して消えていません。
お金が動くその時まで、先送りされただけなのです。
大切なのは名義ではなく「誰のお金で作るか」
生命保険そのものが危険なのではありません。
危険なのは、
「名義さえ変えれば財産が移る」
と思い込み、そして保険の名義変更の時期と
税金の課税時期が違うということです。
例えば、
・最初からお子様が契約者となり保険料も負担する
・毎年の贈与を活用しながら保険料資金を移転する
・相続税と贈与税のどちらが有利かを比較して設計する
・法人契約を活用して承継資金を準備する
など、やり方によって結果は大きく変わります。
生命保険は正しく使えば、
これ以上ない強力な相続対策になります。
しかし、設計を誤ると、
将来の税負担を先送りしているだけに過ぎません。
相続対策で本当に難しいのは、
「税金を減らすこと」ではないのです。
「いつ、誰に、どの財産を移すか」を
戦略的に設計することです。
保険は単体で形だけを整えるものではなく、
財産承継全体のストーリーの一部として
考えなければ意味がありません。
「うちは大丈夫だろうか」と少しでも不安な契約がございましたら、
動かしてしまう前に、私ども専門家にご相談ください。
毎週、所長丸山からメルマガを発信中です。メルマガだけでお読みいただけるご好評の「編集後記」もございますのでぜひご登録をお願いいたします。
この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


