経営強化税制の即時償却 設備投資で差がつく4つの視点
投稿日:2026年05月10日

朝4時起きの税理士、丸山です。
本日は「中小企業経営強化税制と即時償却の活用」についてお話しします。
「設備投資の税制優遇といえば、とりあえず中小企業投資促進税制の30%特別償却でしょ」
——そう思い込んでいませんか。
実は、1,000万円を超えるような大きな設備投資のときに本当に武器になるのは、取得価額の100%を初年度で経費にできる『即時償却』が選べる中小企業経営強化税制のほうです。
令和7年度税制改正で適用期限が2年延長され、さらにE類型(経営規模拡大設備)が新設されて建物まで対象に加わりました(※ただし、建物の場合は即時償却ではなく、後述する特別償却または税額控除となります)。
この制度を知らずに決算を迎えることは、現金数百万円を税務署に置き忘れるのと同じです。
1. 即時償却がもたらすインパクト
例えば、資本金3,000万円の製造業が8,000万円の機械装置を購入した場合を考えてみましょう。
法定耐用年数10年で通常の減価償却を行えば、初年度に経費化できるのはおおむね800万円程度です。
ところが経営強化税制のA類型(生産性向上設備)に適合させて即時償却を選択すれば、8,000万円まるごとを初年度に損金算入できます。
法人税等の実効税率を約33%として計算すると、差額7,200万円×33%=約2,376万円の税金を初年度に繰り延べられる計算です。
翌期以降の減価償却費は消えますが、投資直後の資金繰りが最も苦しいタイミングで課税所得を圧縮できる効果は極めて大きく、キャッシュフロー経営の強力な下支えになります。
2. 類型ごとの要件と実務のツボ
経営強化税制にはA類型(生産性向上)、B類型(収益力強化)、D類型(経営資源集約化)、そして令和7年度改正で追加されたE類型(経営規模拡大)の4類型があります(※令和7年度改正によりC類型は廃止されました)。
A類型は販売開始からおおむね10年以内・旧モデル比で生産性1%以上向上を満たす機械装置等が対象で、工業会証明書を取得しやすい反面スピード勝負です。
B類型とE類型は経営力向上計画の認定申請が必須で、投資利益率が年平均7%以上となることを投資計画で示す必要があります。
また、D類型は「修正ROA」または「有形固定資産回転率」の改善が要件となります。
実務上の大きな落とし穴は『計画認定と設備取得の順番』です。
原則として『設備を取得する前に認定を受けなければ適用できない』ため、発注前に手続きを走らせる必要があります。
ただし、A類型・B類型に限っては例外措置があり、設備取得日から60日以内に認定申請が到達する等の一定要件を満たせば、取得後の申請でも適用が認められます。
一方で、D類型・E類型にはこの例外措置がないため、事前の認定取得が絶対条件となります。
3. E類型で建物まで対象に広がった意義
令和7年度改正で追加されたE類型は、売上高100億円超のいわゆる『100億企業』への成長を後押しする制度です。
機械装置・工具・器具備品に加え、『建物及びその附属設備』が初めて優遇税制の対象に含まれたのが画期的なポイントです。
なお、E類型の「建物及びその附属設備」については即時償却の対象にはならず、「取得価額の15%(特定建物等については25%)の特別償却」または「取得価額の1%(特定建物等については2%)の税額控除」が適用されます。
即時償却こそできないものの、特別償却や税額控除が狙えるため、不動産と絡めた出店・増床計画を持つオーナー企業とは極めて相性の良い制度といえます。
4. 税額控除との使い分けと落とし穴
即時償却だけが経営強化税制の顔ではありません。
同じ制度の中で『取得価額の10%(資本金3,000万円超は7%)の税額控除』も選択でき、中小企業投資促進税制と合算で法人税額の20%が上限となります。
黒字が安定している会社であれば税額控除を選び、翌期以降にも節税効果を残す方が総額で得をするケースもあります。
また、所有権移転外リースでは即時償却が選べず税額控除のみ、リース料合計額が取得価額となるなど、細かな制約も無視できません。
『即時償却=正義』ではなく、『来期以降の利益計画』と『いま手元に残したいキャッシュ』を天秤にかけた判断が不可欠です。
5. 丸山会計の視点——『ともに未来を描く』税理士だからできる提案
当事務所は節税効果以上の報酬はいただかない方針を掲げ、即時償却で数億円を超える節税実績もあります。
経営強化税制は原則として『設備の発注より先に計画認定』という順番を間違えると一切使えなくなる制度であり、特に例外措置が認められないD類型やE類型では、書類の仕上がりが一日でも遅れれば即アウトです。
だからこそ私たち『攻める税理士』は、お客様の中期経営計画と設備投資スケジュールを同じテーブルに並べ、シミュレーションから経営力向上計画の作成、工業会証明書の取得支援、メーカーとの納期交渉まで一気通貫で伴走します。
経営理念『ともに未来を描く』のとおり、投資した設備が翌期以降のキャッシュフローまでしっかり回り続ける未来を、お客様と二人三脚で設計していきます。
まとめ
中小企業経営強化税制は、即時償却によって設備投資の初年度に大きなキャッシュを手元に残せる強力な武器です。
令和7年度改正でE類型が追加され、建物まで対象が広がりました。
ただし、A類型・B類型の一部例外を除き、原則として取得前の計画認定というルールを守らなければ、どれほど要件を満たしていても一切適用できません。
設備投資を検討し始めた段階で税理士に相談すること、それが節税額を最大化する最初の一歩です。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


