飲食費1万円基準スタート!送迎費の落とし穴に要注意【令和6年度税制改正対応版】
投稿日:2025年04月17日
本日の内容

令和6年度税制改正により、交際費等の範囲から除外される飲食費の基準額が、これまでの5,000円以下から1万円以下に引き上げられました。
これにより、得意先との接待機会が増えるなど、経営者にとっては活用の幅が広がった一方、税務リスクも拡大しています。特に税務調査で指摘されやすい「送迎費」の扱いには、十分な注意が必要です。
本記事では、飲食費1万円基準のポイントと、送迎費に関する注意点をわかりやすく解説します。
交際費と飲食費の基本をわかりやすく解説

交際費とは、法人が得意先や仕入先など事業関係者に対して行う接待・供応・慰安・贈答等のために支出する費用を指します。
これらは原則として損金不算入です。
しかし、飲食を伴う費用については一定条件を満たす場合、交際費等から除外され、損金算入が認められます。
従来は1人当たり5,000円以下という基準でしたが、令和6年度改正により、これが1人当たり1万円以下に引き上げられました。
1万円基準は「税抜・税込」どちら?

この1万円基準については、会社の経理処理方法によって異なります。原則として、
- 税込経理方式の会社は「税込金額」で判定します。
- 税抜経理方式の会社は「税抜金額」で判定します。
例えば、税込経理方式を採用している会社の場合、支払総額(税込)が1人当たり1万円以下かを基準にします。
具体例として、飲食代が税込10,500円だった場合、税込経理方式では1万円を超えているため、この金額全額が交際費等となり、飲食費として損金算入することはできません。
一方、税抜経理方式を採用している会社では、税抜金額で判定します。
この場合、税込10,500円の金額は、消費税10%を考慮すると税抜9,545円(10,500円 ÷ 1.1)となります。
税抜金額9,545円は1万円以下のため、この金額は飲食費として損金算入が可能となります。
注意点として、1万円基準を超えた場合には、超過部分のみならず支払った全額が交際費等となり、損金不算入の扱いになる点です。
会社ごとに自社の経理処理方針を確認し、判定方法を誤らないようにしましょう。
送迎費の取扱いに要注意!

飲食店に支払うテーブルチャージ料やサービス料は、飲食費に含めて処理できます。
しかし、飲食の前後に得意先を送迎するためのタクシー代やハイヤー代は、飲食費ではなく交際費等に該当します。
タクシー会社やハイヤー会社に直接支払う場合はもちろん、飲食店が提供する送迎サービスに支払った場合も、基本的には”送迎”が主目的となるため交際費扱いとなる点に注意が必要です。
【具体例】タクシー代を飲食費に含めたら危険

例えば、得意先Xを接待するために、飲食店Aで1人当たり6,000円の飲食代を支払い、終了後にタクシー代3,000円を負担したケースを考えます。
この場合、飲食代とタクシー代を合算して9,000円とし、全額を飲食費として処理するのは誤りです。
正しくは、飲食代6,000円のみが飲食費として損金算入でき、タクシー代3,000円は交際費等として処理しなければなりません。
また、仮に飲食代が9,000円でタクシー代が3,000円だった場合でも、タクシー代を合算せず、飲食代9,000円のみで1万円基準を判定します。
つまり、飲食代単独で1万円以下であれば、飲食費として損金算入が可能です。
送迎付き飲食プランの場合の例外とは?

一部の高級レストランやリムジンバスなどでは、送迎中に飲食を提供するサービスが行われています。
この場合、送迎自体が主目的ではなく、車内での飲食行為が主目的と認められれば、その費用は飲食費とみなされる可能性があります。
例えば、リムジン車内で食事を楽しみながら移動するプランなどが該当します。
しかし、このようなケースは例外的であり、通常の送迎サービスは交際費等に該当するので注意が必要です。
まとめ:経営者・経理担当者へのアドバイス

令和6年度税制改正による飲食費1万円基準の引き上げは、交際機会を拡大できる大きなチャンスです。
しかし、送迎費や処理方法を誤ると、損金不算入など思わぬリスクを負うことになります。
飲食費と交際費等の区分を正確に理解し、領収書の整理や社内ルールの整備をこの機会に見直しましょう。
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この記事の監修

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。