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不動産を活用すれば簡単?贈与税や相続税を簡単に節約する方法
投稿日:2023年01月06日
「財産を子供や配偶者へ贈与したいが、高額な税金がネックになっている」と、悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
相続税や贈与税は、相続や贈与の方法やタイミングを工夫するだけで大幅に節約できます。
贈与税と相続税を簡単に節税する方法をご紹介していきます。
相続税・贈与税は不動産に変えた方が安くなる
相続税と贈与税は現金でそのまま贈与したり相続するよりも不動産に変えた方が税金が安くなることがあります。
現金で贈与や相続をした場合は、現金の金額がそのまま評価額になりますが、不動産の場合には現金よりも大幅に評価額が下がるのが一般的だからです。
では、具体的にどの程度税金が変わるのか比較していきましょう。
現金3,000万円を贈与した場合の贈与税
贈与税の税率は金額に応じて次のようになっています。
<td”>1,500万円以下
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | ― |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
45% | 175万円 | |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
現金を3,000万円贈与した場合、基礎控除110万円控除後の課税価格は2,890万円ですので税率は50%になります。
贈与税=(3,000万円-110万円)×50%−250万円=1,195万円
現金で3,000万円を贈与した場合には、3割近くが課税されてしまいます。
不動産3,000万円を贈与した場合の贈与税
現金で3,000万円を贈与せずに、3,000万円で不動産を購入してから当該不動産を贈与した場合、相続税が非常に安くなることがあります。
相続税や贈与税は路線価を基準に決められる
相続税や贈与税を計算する際の課税価格は路線価という基準価格を元に計算されます。
路線価とは 国税庁が毎年7月に公表している、主要な道路に面した1㎡あたりの1月1日時点における土地価格です。
そして、一般的に路線価は実勢価格(実際の取引価格)の7割~8割程度と言われています。
つまり、3,000万円で不動産を購入しても、課税価格として評価されるのは2,100万円〜2,400万円ということになります。
路線価は一般的には、公示価額の8割と言われてりますが、不動産は売進み、買進みなどが発生するため、弊社の事例では実際の購入価額の半額以下が相続税評価額となるケースもありました。
また、貸地のように土地を貸している場合等は、自分で土地を使うことが制限されるため、その分、借地権などの減額を受けることができます。
上記の3,000万円の土地を路線価で評価を行い、かつ、貸している場合には、さらに借地権割合を控除することができます。
借地権割合が、60%の場合には、2,400万円×(1-0.6)=960万円となります。
不動産を購入すると不動産取得税が発生する
売買や贈与などで不動産を取得すると不動産所得税が発生します。
本則の税率は課税標準額×3%ですので、課税標準が1,800万円の場合は27万円(18,000,000円×1/2×3%)です。
不動産の贈与税
では3,000万円の不動産を購入して贈与した場合の贈与税はどの程度になるのでしょうか?
評価額2,400万円とした場合、贈与税が課税されるのは、基礎控除額110万円を差し引いた2,290万円となります。そしてその税率は50%で、次のようになります。
贈与税(2,400万円−110万円)×50%−250万円=895万円
購入時と贈与時にそれぞれ不動産取得税が課税されても、895万円+27万円+27万円=949万円です。
現金で3,000万円を贈与した場合には1,195万円の贈与税が課税されることを鑑みれば、一度不動産を購入した方が246万円近くの節税効果があります。
また、先ほどの人にその土地を貸していて、その貸している人の家屋などが立っている場合には、その土地に借地権発生している場合には、
(960万円-110万円)×40%-125万円=215万円の贈与税となり、当初の3,000万円の評価額が960万円となり、贈与税が980万円(1,195万円-215万円=980万円)低くなります。
このような実際の現金売買価額と、相続税の評価額の差額を悪用して相続税を圧縮する方法について昨年最高裁判決が出で、結果は納税者の敗訴となり
その不動産の実際の取引価額で評価をすべきとの判例もありますので、やり過ぎには注意が必要ですが、効果があることは間違いはないです。
なぜ、最高判決で納税者が敗訴したかなどは、詳しくは別のブログで記載しておりますのでご参考ください。総則6項「伝家の宝刀」が 最高裁判決でお墨付きに。今後の対策は? | 名古屋の税理士・会計事務所なら丸山会計事務所 (nagoya-tax.net)
贈与税と相続税の節税方法
贈与税は時間をかけて贈与をすることで節税でき、相続税は相続人の数が多ければ多いほど節税できます。
贈与税は時間を使うと節税できる
贈与税の税率は課税価格が大きければ大きいほど税率が高くなります。
そのため1度に贈与する金額が小さければ小さいほど低い税率が適用されます。
例えば3,000万円を一括で贈与する場合の税率は50%ですが、3,000万円を5年間に分けて600万円ずつ贈与する場合には、税率は30%になります。
では、実際のどの程度の贈与税の違いがあるのか比較していきます。
・一括で3,000万円を贈与した場合
(3,000万円-110万円)×50%−250万円=1,195万円
・3,000万円を5年間で600万円ずつ贈与した場合
(600万円−110万円)×30%−65万円=82万円
82万円×5年=410万円
同じ3,000万円を贈与しているのに、5年に分けて贈与した方が贈与税の金額は600万円以上の差があります。
ちなみに10年で300万円ずつ贈与した場合の、贈与税の総額は190万円ですので大幅に贈与税額は少なくなります。
複数回に分けて贈与できる資産は、一括で贈与するのではなく、時間を使って複数回に分けて贈与していくことがポイントです。
令和5年度の税制改正で暦年課税贈与にかかる生前贈与加算の年数が、3年から7年に変更になりますので、節税効果は薄れますが、
時間をかければ、かけるほど、節税効果が大きくなりますので、事前に計画を立てて、計画的に実行していくと大きな節税メリットを受けることができます。
相続税は法定相続人が多いほど節税できる
相続税は法定相続人が多いほど節税できます。
その理由は次の2つです。
- 法定相続人の数が多いほど基礎控除が大きくなるから
- 法定相続人が多くなれば、税率を乗じる前の、一人当たりの法定相続分に応じて取得したとして計算される、1人あたりが基礎控除後の課税価格が小さくなるため税率が下がるから
それぞれの理由を詳しく解説していきます。
法定相続人の数が多いほど基礎控除が大きくなる
相続税の計算の際には基礎控除があります。
基礎控除とは相続税の計算の際に使用する非課税枠のことで、基礎控除部分に関しては相続税は課税されません。
基礎控除は次のように計算します。
基礎控除=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
法定相続人の数が1人であれば、基礎控除は3,600万円です。
一方、法定相続人の数が5人であれば基礎控除は6,000万円まで増えます。
このように法定相続人の数が多ければ多いほど、課税されない枠である基礎控除が大きくなるので節税効果が高くなります。
1人あたりの基礎控除後の課税価格が小さくなれば税率が下がる
相続税の税率も累進課税で、次のように課税価格に比例して税率も上がっていきます。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | ― |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
1人で2億円の財産を相続した場合の税率は40%です。
しかし、配偶者が存在しない状態で、子供が5人いる場合には法定相続人が5人が均等になりますので、法定相続分に応ずる取得金額は
1人あたり2,800万円((2億円-3,000万円+600万円×5人)÷1/5)が課税価格になるので税率は15%になります。
法定相続人の数が多ければ多いほど、基礎控除額は大きくなり、低い税率が適用されます。
1人で相続した場合と5人で相続した場合の相続税の違い
では実際に2億円を1人で相続した場合と5人で相続した場合の相続税額の違いを比較してみましょう。
・1人で2億円を相続した場合
[2億円−(3,000万円+600万円)×40%]−1,700万円=4,860万円
・子供5人で2億円を平等に相続した場合
1人あたりの課税価格=[2億円−(3,000万円+600万円×5人)÷5人]=2,800万円
2,800万円×15%−50万円=370万円
相続税の総額=370万円 ×5人=1,850万円
1人で相続するよりも5人で相続した方が3,000万円程度低くなります。
相続税は相続人の人数が多ければ多いほど節税することが可能です。
ただ、法定相続人の数については、相続税法に規定がありますので、民法に規定する相続人の数とは若干差がありますので、ご注意ください。
また、相続税の話と、遺産相続の話は違いますので、養子などで不用意に相続人を追加すると思わぬトラブルに発生する場合もありますので、注意が必要です。
まとめ
相続税と贈与税は現金でそのまま相続したり贈与するよりも、不動産に変えてから相続や贈与をした方が、課税価格が下がるので税金を抑えることができます。
また、贈与税は一度に贈与するよりも、時間をかけて複数回に分けた方が税率が下がり税額を抑えることができます。
現金などの分割して贈与できる資産は、一度に贈与するのではなく、複数回に分けた方がよいでしょう。
土地などについても、持分で移転させることも可能ですが、依頼する司法書士の費用、税金などこ考慮して実行する必要があります。
相続税は相続人の数が多いほど、税金を節約できます。
相続税や贈与税は、少しの手間や工夫で大幅な節税ができる場合がありますので、節税方法を頭に入れておきましょう。
贈与税、相続税に関する相談は丸山会計事務所までご相談ください。
この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。
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