失敗事例に学ぶ自社株評価 事業承継の落とし穴5選
投稿日:2026年05月28日

朝4時起きの税理士、丸山です。本日は事業承継における「自社株評価の失敗事例」についてお話しします。
「自社株評価は決算書を税理士に渡して計算してもらえば終わり」
――そう思っていませんか。
実はこの認識こそ、事業承継で最も大きな後悔につながる思い込みです。
自社株は上場株のように市場価格があるわけではなく、決算の打ち方・資産構成・株主構成の動かし方ひとつで評価額が数千万円から数億円単位で変動します。
つまり、自社株評価は「計算するもの」ではなく「設計するもの」なのです。今日は、私が現場で立ち会ってきた典型的な5つの失敗事例を共有します。
失敗①:本業の特需で類似業種比準価額が急騰した
類似業種比準方式は上場企業の株価・配当・利益・純資産を参照して非上場株を評価する方式です。
なお、不動産売却益のような「非経常的な利益」は計算上除外されますが、本業の経常的な利益はそのまま反映されます。
あるオーナーは、大型受注の特需で経常的な利益が一時的に大きく膨らんだ年に相続が発生。
本来1億円程度だった株価評価が跳ね上がり、後継者は納税猶予制度の要件を満たせず、結局事業用地を売却して納税する羽目になりました。
教訓は明確です。
利益と配当は3〜5期分の決算を俯瞰して計画的にコントロールすべきもので、相続直前の「経常利益の急増」は致命傷になり得ます。
失敗②:含み益の不動産が純資産価額を直撃した
純資産価額方式では、法人が保有する資産を相続税評価額に置き直して評価します。
問題は含み益で、簿価との差額の37%が法人税等相当額として控除され、残りの約63%が株価に上乗せされる構造です。
30年前に1億円で取得した土地が時価5億円なら、含み益4億円のうち約2.5億円が株価評価を押し上げる計算になります。
対策の王道は、保有から3年を経過した不動産は通常評価が適用される点を活かした「持株会社化」や「資産管理会社の分離」です。
失敗③:名義株の整理を怠り親族と紛争に
昭和の創業期、商法上の発起人要件を満たすために親族や知人の名義を借りて株式を分散させた「名義株」を放置している会社は意外なほど多く残っています。
評価額が高い優良企業ほど、相続発生時に「自分の株だ」と主張されるリスクが顕在化します。
名義株はあくまで真の所有者がオーナー(被相続人)であるため、生前のうちに名義株主と合意書を交わし、真実の所有者であるオーナーへの「名義書換(名義の戻し)」によって実体に合わせて整理することが、事業承継対策の出発点です。
安易に「譲渡」や「贈与」の契約形式で処理すると、新たな譲渡所得税や贈与税が課税される最悪の事態を招くため要注意です。
失敗④:特定会社認定で類似業種比準が使えなくなった
総資産に占める土地等の割合が一定割合(大会社なら70%)以上で「土地保有特定会社」、株式等が50%以上で「株式保有特定会社」と認定されると、原則として純資産価額方式のみで評価されます。
なお、判定基準となる土地保有割合は会社規模によって異なる点に注意が必要です。
類似業種比準方式が併用できない結果、評価額が一気に高止まりするケースが続出しています。
事業用資産の組み入れ、本業の営業実態の強化、組織再編による資産バランスの再構築など、認定回避は計画的に進める必要があります。
失敗⑤:役員退職金のタイミングを誤り評価を下げ切れなかった
オーナー社長への役員退職金支給は、損金算入により利益・純資産の双方を一時的に大きく下げ、自社株評価額を圧縮できる王道スキームです。
しかし、支給直後に株式の生前贈与や譲渡を実行しないまま数年が経過し、業績回復で評価が再度上がってしまった失敗事例が後を絶ちません。
さらに「不相当に高額」と判断されれば、税務調査で損金否認のリスクもあります。
功績倍率法に基づく適正額の算定、退職の事実認定(代表権・経営支配の喪失)、支給後の株式移転までを一体設計することが不可欠です。
丸山会計事務所が伴走する「攻める」事業承継
丸山会計事務所は、これら5つの失敗を未然に防ぐ「事前設計型」の事業承継支援を強みとしています。
事業承継は申告時の計算作業ではなく、3年・5年単位の経営戦略です。
当所は決算のコントロール、組織再編、種類株式、持株会社スキーム、納税猶予制度の活用など複数の選択肢を組み合わせ、税負担の最小化と経営権の安定承継を両立させます。
経営理念「ともに未来を描く」のもと、提案型の『攻める税理士』として、実績に裏付けられた具体的な打ち手をご提供します。
まとめ
自社株評価は「計算するもの」ではなく「設計するもの」です。
失敗事例の多くは、評価のメカニズムを知らずに決算や相続を迎えたことが原因。
今日からでも、3年後・5年後の承継を見据えた株価コントロールを始めましょう。
知らないことで損をしない事業承継こそ、後継者への最良の贈り物です。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


