名義預金で税務調査に狙われる経営者の盲点!重加算税を科される「3つの分かれ道」と実務の境界線

投稿日:2026年07月12日

名義預金で税務調査に狙われる経営者の盲点!重加算税を科される「3つの分かれ道」と実務の境界線

朝4時起きの名古屋の税理士、丸山です。

 

「万が一のために、妻や子ども名義の口座にこつこつ貯めています」

経営者や不動産オーナーの方から、こういったお話をよく伺います。
家族を思ってのことですから、気持ちはよく分かります。

ただ、この行動が将来の相続で莫大なペナルティ(重加算税)につながるリスクがあることを、ご存じでしょうか。

 

長年にわたり資産税の実務に携わってきた立場から、税務調査で最も目をつけられやすい「名義預金」の実態と、重いペナルティを回避するための境界線を現場の視点でお伝えします。

1. なぜ「名義預金」がこれほど問題になるのか

相続税の調査で、税務署の調査官がまず目を光らせるのが名義預金です。

通帳の名義が奥様やお子様になっていても、原資が社長の収入であり、通帳や印鑑の管理も社長本人が行っていた場合——税法の世界では「名義にかかわらず、実質的に社長の財産」と判断されます。

 

相続税調査のうち、約9割がこの名義預金の確認に関わると言われています。
亡くなった方の財産をすべて洗い出す過程で、家族名義の口座が申告から漏れてしまうケースは後を絶ちません。

2. 「名義が違う」=「即・重加算税」ではない

ただ、過度に恐れる必要はありません。

家族名義で預金を作っていた事実だけで、すぐに「悪質な隠ぺい」として重加算税の対象になるわけではないからです。

 

架空の人物ではなく、実在する家族の口座を使っているわけですから、それだけで「虚偽の偽装」とは言えません。
調査の結果「これは社長の財産」と認定された場合でも、通常は過少申告加算税(通常のペナルティ)の対象にとどまります。

3. 重加算税が課される「3つの分かれ道」

では、どのような場合に最も重いペナルティが科されるのか。
過去の裁決事例や判断基準を分析すると、次の3点が分岐点になります。

「これは相続財産だ」という認識があったか

申告前から、その預金が亡くなった社長のものであると相続人が認識していながら、意図的に隠したかどうか。
ここが最大のポイントです。

「単純な勘違い」と言い切れない状況があるか

一部の口座は正直に申告しているのに、金額の大きな特定の口座だけを除外していた——そういった状況は、「分かっていてわざと隠した」という強力な証拠になります。

不審な行動や虚偽の回答があったか

相続の直前・直後に慌てて他の口座へ分散・解約した行為、または調査の場で「そんな口座はありません」と明確に嘘をついた行為は、重加算税に直結します。

4. 裁決事例から見る「実際の現場」

税務署側も「意図的な隠ぺい」を証明するのは容易ではなく、納税者側が重加算税を取り消させた事例も実際に存在します。

税理士に資料を渡さなかったケース(平成30年3月29日裁決ほか)

相続人が名義預金の存在を知りながら、申告を依頼した税理士に資料を提出しなかった事例。
税務署は「隠ぺいだ」と主張しましたが、「税理士から通帳の提示や説明を求められなかったため、当初から過少申告の意図があったとは認められない」として、重加算税は取り消されました。

「お尋ね」に口座を記載しなかったケース(令和元年12月18日裁決ほか)

税務署から届く「相続についてのお尋ね」に一部の口座を記載せずに提出した事例。
「この文書は任意の提出を求めるものであり、記載が不完全であることのみで意図的な虚偽記載とは認定できない」と判断されました。

これらはあくまで「重加算税を免れた事例」であって、最初から目指すべき着地点ではありません。
ただ、「とっさの対応のまずさや専門家との連携不足だけで、直ちに悪質な隠ぺいとは断定されない」という実務上の事実は、知っておいて損はありません。

最後に——最も大切なのは「最初からトラブルにしないこと」

ペナルティが重くなるか軽くなるかより、そもそも問題が起きない財産移転をしておくことが本質です。

よくある危険な事例を挙げると——

不動産の名義変更を対価なしで行う:原則として贈与とみなされ、高額な贈与税が発生します。
法務局の登記情報は税務署が完全に把握しているため、「黙っていれば分からない」ということはありません。

・同族株主間での株の低額譲渡:著しく低い価格でのやり取りは、思わぬ贈与税の対象になります。

・生前対策の失敗による特例の失効:亡くなった方の自宅や賃貸不動産の土地を引き継ぐ際に税額を最大8割減らせる「小規模宅地の特例」も、生前の不適切な名義変更によって使えなくなるケースがあります。

安易な自己判断による対策は、取り返しのつかない損失を招きます。

良かれと思って行った家族への資産移転が、残された家族を税務調査の矢面に立たせる結果になっては、本末転倒です。

 

正しい対策の基本は、贈与契約書をきちんと作成し、通帳・印鑑は名義人本人が管理し、自由に使える状態にしておくこと。
「税務署から見ても、客観的に所有者が移っている」という証拠を整えておくことが、経営者・資産家としての重要な責任です。

「うちの家族名義の口座は大丈夫だろうか」「将来の調査が不安だ」という方は、ぜひ丸山会計事務所へご相談ください。

 

朝4時から稼働する税理士が、現場と法律の両面からあなたと大切なご家族の資産を守るための最適な対策をご提案します。
まずはお気軽にどうぞ。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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