遺言と家族信託で実現する円満な資産承継術

投稿日:2026年06月13日

遺言と家族信託で実現する円満な資産承継術

朝4時起きの税理士、丸山です。

本日は「遺言と家族信託を活用した資産承継」についてお話しします。

 

「うちはもめるほどの財産はないから、遺言なんて必要ない」

——そうお考えではないでしょうか。

ところが、家庭裁判所が扱う遺産分割事件のうち、実に約3割は遺産総額1,000万円以下、約7割が5,000万円以下のご家庭で起きています。

財産が“ほどほど”で、しかも分けにくい自宅不動産が資産の大半を占める。

まさに、ごく普通のご家庭こそが、最も争いの火種を抱えているのです。

遺言や信託は「資産家だけのもの」という思い込みを、まず手放すことから始めましょう。

遺言書がないと、あなたの想いは届かない

遺言書がない場合、相続財産は法定相続分を基準に、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で分けることになります。

一人でも反対すれば協議は成立せず、預金口座も不動産も塩漬けのまま動かせません。

話し合いがこじれれば、親族関係そのものが壊れてしまうケースも少なくありません。

 

たとえば、自宅5,000万円と預金1,000万円、相続人が子3人というケース。

「家業を継ぐ長男に自宅を残したい」と願っても、他の2人が法定相続分(各2,000万円)を主張すれば、長男は差額を現金で支払う「代償分割」を迫られ、資金がなければ自宅売却に追い込まれます。

 

遺言書で「自宅は長男に」と明記しておけば、こうした事態を未然に防げます

とりわけ公証役場で作成する公正証書遺言なら、形式不備で無効になるリスクもほぼなくなり、確実に想いを残せます。

なお、配偶者や子には最低限の取り分である「遺留分」があるため、遺言は遺留分にも配慮して設計することが、後々の争いを防ぐ実務上のポイントです。

 

万が一、遺留分を請求されて現金がなく、不動産を渡して精算(代物弁済)してしまうと、不動産を渡した側に『譲渡所得税』が課税されるという税務上の恐ろしい罠もあるため、事前の資金設計が不可欠です。

家族信託という「生前からの承継準備」

遺言が“亡くなった後”に効力を持つ仕組みであるのに対し、家族信託は“生前から”財産管理を託せる制度です。

元気なうちに、信頼できる長男を「受託者」として賃貸アパートの管理を任せておく、といった設計が可能になります。

財産を託す人を「委託者」、託される人を「受託者」、利益を受け取る人を「受益者」と呼び、当初は委託者自身が受益者となるのが一般的です。

 

最も怖いのは認知症です。

判断能力が失われると預金は凍結され、不動産の売却や大規模修繕、建て替えもできなくなります。

成年後見制度を使っても、家庭裁判所の関与のもとでは本人保護が優先され、積極的な資産活用や生前贈与は事実上できなくなるのが実情です。

家族信託なら、認知症発症後も受託者である長男の判断でアパートの建て替えや売却ができ、大切な資産が“塩漬け”になりません

判断能力があるうちにしか契約できないため、「まだ早い」ではなく「元気な今こそ」が動きどきです。

遺言と信託は「組み合わせ」で効果が最大化する

遺言と家族信託は二者択一ではありません。

信託に入れた不動産は信託契約で承継先を定め、信託に入れなかった預金や有価証券、新たに取得した財産は遺言でカバーする

——この組み合わせで、財産の取りこぼしをなくせます。

それぞれの“穴”を互いに埋め合う関係だとイメージしてください。

 

さらに信託では「受益者連続型」を使えば、最初は妻、妻亡き後は長男へ、と二次相続の承継先まであらかじめ指定できます。

たとえば先妻との子と後妻がいるご家庭で、「自分の死後は後妻に、後妻の死後は先妻との子に」と承継の道筋を描く、といった設計も可能です。

遺言ではできない“先々の承継”まで一本の契約で組み立てられるのが、信託ならではの強みです。

私たちは単なる名義の整理にとどまらず、納税資金の確保や自社株・不動産の評価額引き下げまで一体で設計し、トータルの税負担を抑える提案を行います。

丸山会計事務所が「ともに未来を描く」承継支援

資産承継は、税金の計算だけで完結するものではありません。

ご家族それぞれの想いや事情を丁寧に汲み取り、10年20年先を見据えた設計が欠かせません。

名古屋・栄に拠点を構える丸山会計事務所は、「ともに未来を描く」を経営理念に掲げ、提案型の“攻める税理士”として、これまで数多くの節税を実現してきました。

確定申告や記帳代行だけでなく、相続・事業承継という“お金が大きく動くタイミング”でこそ、納税額に大きな差が生まれます。

私たちは節税効果以上の報酬がかかる提案はしないことをお約束し、「知らなかったことで損をした」を一件でも減らしたいと考えています。

遺言・信託の設計から実行、その後の定期的な見直しまで、司法書士や弁護士とも連携しながら伴走します。

まとめ

遺言は想いを確実に届ける手段、家族信託は生前からの柔軟な備えです。

両者を組み合わせれば、認知症対策から二次相続まで一貫した資産承継が実現します。

大切なのは、判断能力があり家族で話し合える“今”動くこと。まずは財産の棚卸しから始めましょう。

早めの準備こそが、ご家族の未来と円満を守る、最大の節税策なのです。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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