相続は10年前から逆算する 不動産贈与の時間軸戦略

投稿日:2026年06月20日

相続は10年前から逆算する 不動産贈与の時間軸戦略

朝4時起きの税理士、丸山です。

本日は不動産と相続・贈与の総合戦略についてお話しします。

 

「相続対策は、親が高齢になってから考えれば間に合う」。

多くの資産家がそう思い込んでいます。

 

しかし実は、この考え方こそが最大の損失要因です。

近年の税制改正と課税当局の姿勢の変化により、相続の「直前」にできる対策は急速に減っています。

いま効果を発揮するのは、相続から逆算して10年単位で組み立てる時間軸の戦略です。

「直前対策」が通用しなくなった2つの理由

第一の理由は、生前贈与加算の拡大です。

改正により、相続人への暦年贈与は相続開始前7年分が相続財産に加算されることになりました(延長4年分については総額100万円まで控除)。

亡くなる数年前に慌てて贈与を始めても、その大半が相続税の計算に戻されてしまうのです。

 

第二の理由は、マンション節税の制度的な封じ込めです。

財産評価基本通達の「総則6項」により行き過ぎた評価圧縮が否認された最高裁判決に加え、令和6年以降に取得した分譲マンションには新たな評価ルールが適用されています。

築年数・総階数・所在階・敷地持分狭小度の4指数から算出する「区分所有補正率」で評価額が補正されるため、高層階ほど評価が引き上げられ、直前購入かどうかにかかわらず、タワーマンションによる極端な圧縮は制度として明確に制限されました。

10年前から始める贈与戦略

時間を味方につける第一歩は贈与です。

7年加算の対象は原則として相続人への贈与なので、孫や子の配偶者への暦年贈与は加算されず、年110万円の非課税枠を長期間活用できます。

たとえば孫3人へ年110万円ずつ10年間贈与すれば、3,300万円を無税で移転できる計算です。

相続時精算課税制度にも年110万円の基礎控除が新設され、この範囲なら申告不要かつ相続財産にも加算されません。

贈与した土地建物が令和6年以降の災害で一定以上の被害を受けた場合、相続時の加算額から被害相当額を控除できる特例も設けられ、不動産を長期保有させる際の災害リスクへの懸念も軽減されています。

 

さらに収益アパートの建物だけを子へ生前贈与すれば、以後の家賃収入が子に帰属し、親の財産の膨張を止めながら子の納税資金を育てられます。

注意すべきは敷地の評価です。

建物贈与後の土地は使用貸借となり原則「自用地」として高く評価されますが、贈与前から賃貸借契約が締結され、相続までその契約が継続していれば、借家人の敷地利用権が保護されるため「貸家建付地」としての評価減を維持できます。

贈与のタイミングと入居状況の管理が、評価額を大きく左右するのです。

5年前からの資産組換えと評価圧縮

次の柱は資産の組換えです。

現金1億円は評価額1億円のままですが、賃貸不動産に換えると、建物は固定資産税評価ベースの貸家評価で4〜5割減、土地も貸家建付地として2割前後の評価減が見込めます。

たとえば現金1億円で土地5,000万円・建物5,000万円の賃貸物件を取得した場合、相続税評価額は合計でおおむね5,000万〜6,000万円程度まで圧縮されるイメージです。

加えて貸付事業用宅地には小規模宅地等の特例(200㎡まで50%減額)が使えますが、相続開始前3年以内に貸付を始めた宅地は原則対象外です。

 

ただし例外があります。

3年超にわたり「一定規模以上」の貸付事業を営んでいた方は、直前3年以内に新たに貸し付けた宅地でも特例を適用できます。

手広く賃貸業を営むオーナーには、直前期の組換えでも特例を使える余地が残されているのです。

 

なお、空室が続く部屋は貸家評価減の対象から外れるため、満室経営の維持自体が相続対策になる点も見逃せません。

丸山会計は「時間」を設計する税理士です

当事務所は名古屋・栄を拠点に、不動産税務と事業承継を専門としてきました。

経営理念は「ともに未来を描く」。

相続対策とは、お客様の10年後の未来を一緒に設計する仕事です。

 

確定申告を待つだけの守りの税務ではなく、贈与・組換え・法人化・民事信託まで選択肢を並べ、お金が大きく動く前に提案する。

それが私たちの考える攻める税理士の姿です。

認知症を発症すると贈与も売却も法的に止まるため、判断能力があるうちの着手が何より重要です。

「知らないことで損をした」を、私たちは一件でも減らしたいと考えています。

まとめ

相続・贈与対策の成否は「残り時間」で決まります。

7年加算と区分所有補正率により直前対策は封じられつつあり、孫への暦年贈与、精算課税の基礎控除、賃貸借継続を条件とした建物贈与、3年以内貸付の例外要件を踏まえた小規模宅地等の特例といった対策は、いずれも時間と要件管理が効果を左右します。

10年前からの逆算設計こそ、最大の節税策です。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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