7年加算時代の暦年贈与 精算課税と使い分ける戦略
投稿日:2026年06月02日

朝4時起きの税理士、丸山です。
本日は「2024年改正後の暦年贈与と相続時精算課税の使い分け戦略」についてお話しします。
「とりあえず毎年110万円ずつ子どもに贈与しておけば安心」
――これ、令和の今ではもう通用しない常識かもしれません。
2024年(令和6年)1月の改正で、生前贈与のルールは大きく様変わりしました。
それなのに、いまだに「暦年贈与=110万円までなら非課税で安心」というイメージのまま動いているご家庭が多すぎる。
実は、亡くなる直前7年以内の贈与は相続財産に持ち戻されるようになり、「節税のつもりが何の対策にもなっていなかった」という事態が現実に起こり始めているのです。
改正で「7年ルール」へ。3年から大幅延長された生前贈与加算
これまで、相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算されるルールでした。
それが2024年改正で「7年以内」に延長されています。経過措置はあるものの、令和13年(2031年)以降に発生する相続では、まるまる7年分が加算対象です。
例えば、毎年110万円ずつコツコツ贈与してきた方がいたとして、7年分=770万円がそっくり相続財産に戻されると、相続税の課税対象が大きく膨らみます。
延長された4年分(つまり「4年超〜7年前」の贈与)については、トータル100万円までは加算対象外という緩和措置がありますが、実質的に「直前の駆け込み贈与」は通用しなくなりました。
残された時間が短いほど、暦年贈与の節税効果は薄れる時代です。
相続時精算課税制度に「年110万円基礎控除」が新設
2024年改正のもう一つの目玉が、相続時精算課税制度に年110万円の基礎控除が設けられたことです。
これが革命的なのは、暦年贈与と違って「持ち戻し」がない点。
相続時精算課税を選ぶと、年110万円までの贈与は申告不要で、相続財産にも加算されません。
つまり、相続開始の前日に贈与しても、コツコツ10年続けてきた贈与でも、年110万円以内ならすべて相続税の課税対象外として残せるわけです。
これは高齢のオーナーにとって極めて使い勝手のよい武器です。
ただし、一度精算課税を選ぶと、その贈与者からの贈与は二度と暦年贈与に戻せません。選択は慎重に行う必要があります。
不動産オーナーが取るべき攻めの3戦略
第一に、高齢オーナーは「相続時精算課税」一択で考えるべきです。
80歳を超えてから今さら暦年贈与で動いても、7年加算で持ち戻される可能性が高い。
それなら精算課税にして年110万円を確実に非課税で渡し続ける方が合理的です。
第二に、「子は精算課税、孫は暦年贈与」のハイブリッド戦略。
孫は法定相続人ではないため、原則として生前贈与加算の対象外です。
孫への暦年贈与は7年ルールの影響を受けにくく、世代飛ばしの効果も同時に狙えます。
第三に、値上がりが見込まれる不動産や自社株は精算課税で先渡しが効きます。
精算課税は「贈与時の評価額」で将来の相続税を計算する仕組み。今のうちに評価が低い資産を動かしておけば、将来の値上がり益を丸ごと相続財産から外せます。
タワーマンションの相続税評価ルール改正もあった今、この戦略の重要性はさらに増しています。
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まとめ
2024年改正で、暦年贈与は「7年加算」という壁を背負うことになりました。一方で、相続時精算課税制度には「年110万円基礎控除」という新しい武器が加わっています。世代・財産の種類・タイミングによって、両制度の最適な使い分け方は変わります。早めの設計こそが、将来の納税額を大きく左右します。動くなら、今です。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


