不動産オーナーが今すぐ始める相続・事業承継対策の基本
投稿日:2026年04月17日

朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。
相続の件について、お話をさせていただきます。
「相続のことは、そのうち考えよう」
——そう思っているうちに、気づけば相続税の申告期限まで時間がなくなっていた、というケースが後を絶ちません。
不動産オーナーにとって、相続・事業承継対策は「早期着手」が何より重要です。今回は、不動産オーナーが押さえるべき相続・事業承継対策の基本をわかりやすく解説します。
■ なぜ「不動産オーナー」の相続は複雑なのか
不動産を多く持つオーナーの相続には、一般的な相続とは異なる難しさがあります。その最大の理由は「分割しにくい財産」という点です。
現金や預金であれば、相続人の間で比較的均等に分けることができます。しかし、土地や建物は物理的に分割することが難しく、相続人間で共有状態になってしまうと、後々の売却や賃貸管理で意見が対立することが少なくありません。
また、不動産は評価額が高くなりやすいため、相続税の納税資金が不足するケースも多く見られます。特に、地価の高い都市部に物件を持つオーナーにとっては、数千万円から数億円規模の相続税が発生することもあります。現金が少ない場合、相続した不動産を急いで売却せざるを得ないこともあり、「資産を守りたかったのに守れなかった」という結果になりかねません。
さらに、アパートや賃貸マンションを経営している場合は、「誰が引き継ぐか」という事業承継の問題も絡んできます。管理能力のない相続人が突然大家になっても、入居者対応や修繕費の判断など、経営は一朝一夕にはいきません。
■ 相続対策の3つの柱:「分割」「節税」「納税」
不動産オーナーの相続対策は、以下の3つの観点からバランスよく進めることが重要です。
【①分割対策】
遺産をどのように分けるかを事前に決めておく対策です。遺言書の作成が最も基本的な手段ですが、それだけでなく、生前贈与によって事前に財産を移転させたり、信託を活用して受益権を分割したりする方法もあります。特に、特定の不動産を特定の相続人に引き継がせたい場合は、遺言書と組み合わせた計画的な分割設計が不可欠です。
【②節税対策】
相続税の課税価格(財産の評価額)を合法的に下げることで、税負担を軽減します。代表的な手法としては、賃貸用不動産として活用することで「貸家建付地」としての評価減を受けること、小規模宅地等の特例(居住用・事業用)を適用すること、生前贈与による財産の移転、法人化による評価の最適化などがあります。
【③納税対策】
相続税の納税資金を事前に準備しておく対策です。生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を活用する方法が代表的です。また、延納(分割払い)や物納(不動産で納付)の制度もありますが、条件が厳しいため、事前に現金や保険で準備しておく方が安心です。
■ 事業承継対策:誰に・どうやって引き継ぐか
不動産賃貸業を営んでいる場合、相続対策と同時に「事業承継」の視点も必要です。主な承継方法は以下の3つです。
【親族への承継】
子や孫など親族に引き継ぐ最も一般的な方法です。ただし、後継者が複数いる場合や、不動産経営に興味のない相続人がいる場合は、分割設計を工夫しなければなりません。株式会社や合同会社(LLC)を設立して不動産を法人保有にすると、法人の株式・持分で承継できるため、分割がしやすくなります。
【信託の活用】
「家族信託」を使うと、オーナー自身が認知症になった後も財産管理を継続できます。受託者(管理する人)と受益者(利益を受ける人)を分けて設定できるため、柔軟な財産承継が可能です。遺言では実現できない「二次相続以降の指定」もできるため、近年注目されています。
【法人化による承継】
個人で所有している不動産を資産管理法人へ移転し、法人の株式で承継する手法です。相続税評価額の圧縮や、毎年の役員報酬を通じた資産の生前移転が可能になります。ただし、法人化には不動産取得税や登録免許税などのコストが発生するため、専門家と試算した上で判断することが重要です。
■ 早期着手が最大の節税:今すぐ確認すべきチェックリスト
相続・事業承継対策は「早ければ早いほど選択肢が広がる」のが原則です。以下のチェックリストで、今すぐ確認してみましょう。
✅ 相続人は何人いるか把握している
✅ 所有不動産の相続税評価額を試算したことがある
✅ 遺言書を作成している
✅ 生命保険の非課税枠を活用している
✅ 後継者(次に管理を引き継ぐ人)が決まっている
✅ 自分が認知症になった場合の対策(後見・信託)を検討している
一つでも「✅がつかない」項目があれば、今すぐ専門家への相談を検討してください。相続対策は、被相続人(オーナー)が元気なうちにしか準備できません。
■ まとめ
不動産オーナーの相続・事業承継対策は、「分割」「節税」「納税」の3つをバランスよく、かつ早期から進めることが鍵です。
誰に・何を・どうやって引き継ぐかを明確にし、遺言・信託・法人化などの手法を組み合わせることで、家族が争わず、税負担を最小限に抑えた承継を実現できます。
「まだ先の話」と思わず、まずは現状の財産状況を整理することから始めましょう。
当事務所では相続・事業承継に関する個別相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。
▼経営に役立つ情報をもっと知りたい方は
→ メルマガ登録はこちら
→ 丸山会計へのお問い合わせはこちら
この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


