中小企業経営強化税制が大幅拡充 令和改正5つの注目点
投稿日:2026年06月02日

朝4時起きの税理士、丸山です。
本日は「法人税・中小企業向け優遇措置」の令和7年度税制改正のポイントについてお話しします。
「機械設備などの大きな投資をしないから関係ない」
――もしそう感じているなら、それは大きな誤解かもしれません。
令和7年度税制改正では、中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制の適用期限が2年延長され、さらに経営強化税制には対象設備に「建物」が加わるという、ここ数年で最大級の拡充がありました。
自社用の工場や店舗等の物件取得を計画する法人にとって、この改正を知らずに動くのは数百万円規模の機会損失になりかねません。
1. 2税制が2年延長+拡充——令和7年改正の全体像
令和7年度税制改正のキーワードは「設備投資の後押し」と「成長企業の創出」です。
中小企業投資促進税制(30%の特別償却または7%の税額控除 ※税額控除は資本金3,000万円以下のみ)と中小企業経営強化税制(即時償却または10%等の税額控除)が、いずれも令和9年3月末まで2年間延長されました。
さらに、人手不足や物価高騰のなかで設備投資をためらう中小企業を後押しするため、経営強化税制には新たな枠組み「E類型」が設けられ、適用範囲が大幅に広がりました。
2. E類型新設——ついに「建物」が優遇税制の対象に
これまで経営強化税制の対象設備は、機械装置・器具備品・工具・ソフトウェアなどに限られ、建物そのものは対象外でした。
ところが令和7年改正で新設されたE類型では、対象設備に建物が加わったのです。
製造業の工場棟、流通業の物流センター、農業法人の選果場、サービス業の本社機能棟など、まとまった設備投資を予定している中小企業にとっては、待ち望んでいた拡充と言えます。
ただし、建物の場合は即時償却ではなく、「15%(特定建物等については25%)の特別償却」または「1%(特定建物等については2%)の税額控除」となります。
例えば取得価額2億円の建物を新築して15%の特別償却を選択した場合、初年度の通常の減価償却費に加えて3,000万円を追加で損金算入できるという、極めてインパクトの大きい制度です。
借入返済原資を確保したい経営者にとって、この差は決して小さくありません。
3. 売上100億円企業を狙う「成長型」設備投資の発想
E類型は、売上高10億円超90億円未満の中小企業を対象とし、単なる節税スキームではなく、「域外需要の獲得」と「域内調達による地域経済への波及」を企業に求める制度設計になっています。
経営力向上計画に売上目標・投資計画・人材育成計画を盛り込み、認定経済産業局からの確認を得る点が他類型との大きな違いです。
攻める経営者にとっては、補助金や金融機関の融資評価アップとも連動できる「事業計画と税制の一体活用」が可能になります。
中堅企業を目指す中小法人にとって、E類型は通常の節税以上の戦略的な意味を持つ制度です。
4. 設備投資で見落としがちな「タイミング」と「制度比較」
優遇税制でもっとも見落とされがちなのが「タイミング」です。
指定事業に該当するか、経営力向上計画の認定日と設備取得日の前後関係、事業供用日が事業年度内に収まるかが重要です。原則として『設備取得前』の計画認定が必要であり(※A・B類型には取得日から60日以内の申請等の例外あり)、特にD・E類型ではこの順序を1日違えるだけで適用がゼロになるケースが後を絶ちません。
さらに、E類型の適用を受ける法人はその投資計画期間中、中小企業投資促進税制の適用対象から除外されるため、別資産であっても投資促進税制と併用できないという厳しい制限があります。
特別償却と税額控除の組合せ、所得状況、繰越欠損金の有無、賃上げ促進税制との重ね合わせまで踏まえた多面的な比較検討が不可欠です。
5. 丸山会計の視点——制度を「使い切る」攻めの税理士
丸山会計事務所は、経営理念「ともに未来を描く」のもと、設備投資・物件取得・組織再編という「お金が大きく動くタイミング」での節税提案を強みとしています。
特に同族会社等の自社用設備投資をお考えのお客様には、経営強化税制の類型選択、賃上げ促進税制との重ね合わせ、決算期変更によるタイミング調整、固定資産税の特例まで含めた一体提案を行います(※不動産賃貸業等の第三者への貸付用に供する資産は、原則として対象外となるため注意が必要です)。
「申告だけお願いします」ではなく、設備投資の構想段階からご相談いただくことで、納税額が数百万円〜数千万円単位で変わるケースが珍しくありません。
これが私たちが掲げる「攻める税理士」の具体的な姿です。
まとめ
令和7年度税制改正で延長・拡充された中小企業優遇税制は、見過ごせない攻めの武器です。E類型による建物の対象化、適用タイミングの設計、類型ごとの比較検討(貸付資産の除外等)――この3点を押さえれば、節税効果は驚くほど変わります。「知らないことで損をした」をなくすためにも、設備投資の構想段階から専門家にご相談ください。
【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


