中小企業の法人税優遇 使い損ねを防ぐ5つの落とし穴
投稿日:2026年06月29日

朝4時起きの税理士、丸山です。
本日は中小企業向けの法人税優遇措置についてお話しします。
「制度の名前は聞いたことがある。でも自社が使えるかどうかは税理士に任せている」
そんな経営者ほど、実は優遇税制を静かに取りこぼしています。
中小企業向けの法人税優遇は、制度を知っているかどうかではなく、『要件を満たすために事前に動けるか』で結果がはっきり分かれます。
同じ売上・同じ利益の会社でも、動き方ひとつで納税額に数百万円の差がつくことも珍しくありません。
今日は、知っているつもりでも実際にはつまずきやすい5つの落とし穴を、攻める税理士の視点で整理します。
落とし穴1:『資本金1億円以下=中小企業』という誤解
多くの優遇は「中小法人」だけが対象ですが、資本金1億円以下でも除外されるケースがあります。
資本金5億円以上の大法人に100%支配されている子会社や、過去3年平均所得が15億円を超える『適用除外事業者』は対象外です。
たとえば不動産管理会社を資本金1億円で設立しても、親会社が大法人グループに属していれば、軽減税率も特別償却も使えません。
さらに令和の改正で、こうしたグループ判定は年々厳しくなっています。
つまり優遇が使えるかどうかは、決算のときではなく、会社を作る順番と資本構成を決めた段階ですでに決まっているのです。
法人を新設・再編するなら、設立前の設計こそが節税の出発点になります。
落とし穴2:軽減税率15%は『年800万円まで』の意味を読み違える
中小法人の所得は、本来は年800万円以下の部分が19%ですが、特例で15%に軽減されています。
令和7年度改正では、所得が10億円を超える事業年度については17%へ引き上げられました。
多くの中小企業に直接の影響はありませんが、本当のポイントは『800万円という枠をどう使い切るか』です。
たとえば課税所得が900万円なら、800万円までは15%、超えた100万円は23.2%課税されます。
役員報酬や決算賞与、含み損の実現などで課税所得を800万円のラインに寄せれば、低い税率の枠を最大限に活用できます。
税率表を眺めるだけでなく、所得の着地点を能動的にコントロールする――これが攻めの発想です。
落とし穴3:賃上げ促進税制を『赤字だから無理』と諦める
給与総額を前年より1.5%増やせば増加額の15%、2.5%増で30%が法人税から控除できる賃上げ促進税制。
教育訓練費や『くるみん』認定で上乗せされ、中小企業は最大45%にもなります。
最大の進化は、令和6年度改正で控除しきれない分を5年間繰り越せるようになった点です。
赤字で使えなかった控除も、将来の黒字で取り戻せます。
『今は払う税金がないから関係ない』は、もはや通用しません。
落とし穴4:設備投資は『買ってから』では手遅れ
設備投資は『買ってから』では手遅れ 中小企業投資促進税制は機械等の取得で30%の特別償却か、7%の税額控除(※税額控除は資本金3,000万円以下の法人のみ)が選べます。
即時償却か最大10%の税額控除が選べます。
令和7年度改正で両制度は2年延長され、経営強化税制には建物まで対象とするE類型が新設されました(※ただし、建物の場合は即時償却等ではなく、「取得価額の15%(または25%)の特別償却」または「1%(または2%)の税額控除」となります)。
ただし経営強化税制は、取得前に『経営力向上計画』の認定を受けることが必要です(※A類型・B類型については設備取得日から60日以内の申請等の例外措置がありますが、D類型・E類型では事前の認定が絶対条件となります)。
先に発注・購入してしまうと、数百万円の節税が丸ごと消える恐れがあります。
順番が命です。
また、経営強化税制の「E類型」の適用を受ける法人は、その投資計画の期間中、別資産であっても中小企業投資促進税制の適用対象から除外され併用できなくなる点にも注意が必要です。
落とし穴5:丸山会計が『決算4カ月前』に動く理由
ここまで見たとおり、法人税優遇の多くは申告の段階ではもう間に合いません。
会社設立時の資本構成、経営力向上計画の事前認定、賃上げの着地、設備の発注時期
――いずれも期中の判断で結果が決まってしまいます。
だからこそ私たち丸山会計事務所は、決算から逆算し『お金が大きく動く前』にご提案する提案型の税理士であることを大切にしています。
最大5,000万円を超える節税実績も、すべて事前に動いたからこそ生まれたものです。
私たちは経営理念『ともに未来を描く』のとおり、申告の代行屋ではなく、未来の数字を経営者と一緒に設計するパートナーでありたいと考えています。
『知らないことで損をした』を、名古屋から一社でも多くなくしていきます。
まとめ
中小企業の法人税優遇は、制度を知っているだけでは1円も節税になりません。
中小法人の判定、軽減税率の枠の使い方、賃上げ促進税制の繰越、設備投資の事前認定
――どれも『決算前にどう動くか』で結果が変わります。
知らずに損をしないために、お金が動く前にぜひ一度ご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


