特別償却30%か税額控除7%か 投資促進税制の選び方
投稿日:2026年06月27日

朝4時起きの税理士、丸山です。
本日は中小企業投資促進税制で「特別償却」と「税額控除」のどちらを選ぶべきか、その判断軸についてお話しします。
「設備投資の優遇税制は、初年度にドカンと償却できる特別償却が一番おトク」
——そう思い込んでいる経営者は少なくありません。
実はこれ、半分は正解ですが、半分は大きな勘違いです。
選び方を間違えると、トータルで支払う税金が数十万円単位で変わることもあるのです。
特別償却30%の正体は「節税」ではなく「繰り延べ」
中小企業投資促進税制は、1台160万円以上の機械装置や、一定のソフトウェア・車両総重量3.5トン以上の普通貨物自動車などを取得したとき、取得価額の30%を初年度に上乗せ償却できる制度です。
たとえば300万円の機械なら、通常の減価償却に加えて90万円を初年度に費用計上できます。
ただし注意したいのは、特別償却は将来の償却費を先取りしているだけだという点です。
初年度の利益は圧縮されますが、その分、翌年以降に計上できる償却費は減ります。
設備を使い切るまでのトータルの費用は変わらないため、これは「節税」ではなく「税の繰り延べ」。
今期の利益を抑えて、手元キャッシュを厚くしたいときに効く一手だとご理解ください。
税額控除7%は使える会社が限られるが、効果は永久
もう一つの選択肢が、取得価額の7%を法人税額から直接差し引く「税額控除」です。300万円の機械なら21万円が、まるまる納める税金から引かれます。
こちらは繰り延べではなく、税負担そのものが減る
——いわば「永久に戻ってこない節税」です。
ただし税額控除を選べるのは、原則として資本金3,000万円以下の特定中小企業者等に限られます。
資本金が3,000万円超1億円以下の法人は、特別償却しか使えません。
ここを知らずに「とりあえず特別償却で」としてしまうと、本来取れたはずの永久節税を、みすみす逃すことになりかねません。
なお税額控除には、その事業年度の法人税額の20%という上限があります。
控除しきれなかった金額は翌年度まで1年間繰り越せますので、当期に取りきれなくても、利益が出た翌期に回収できる可能性があります。
黒字が続く会社ほど、税額控除を検討すべき
判断の軸はシンプルです。来期以降も安定して黒字が見込めるなら、トータルの税負担が確実に減る税額控除が有利になりやすい。
反対に、今期だけ大きな利益が出ていてキャッシュを厚くしたい、あるいは来期は赤字に転落しそうという局面なら、特別償却で利益を圧縮するほうが効果的です。
同じ300万円の投資でも、会社の利益体質によって最適解は正反対になるのです。
具体的に300万円の機械で比べてみましょう。
実効税率を約30%とすると、特別償却90万円による初年度の税負担軽減は約27万円です。
一方、税額控除なら21万円がそのまま減税となります。
一見すると特別償却が得に見えますが、その27万円は翌年以降の償却費減少による増税で相殺され、最終的に会社に残るのは税額控除の21万円のほう。
目先の数字に惑わされない視点が肝心です。
さらに令和7年度の税制改正で、投資促進税制と経営強化税制はともに適用期限が2年延長され、経営強化税制にはE類型として「建物」までが対象に加わりました(※ただし、建物の場合は即時償却等ではなく「取得価額の15%(または25%)の特別償却」または「1%(または2%)の税額控除」となります)。
設備の種類や投資計画によっては、投資促進税制よりも経営強化税制(即時償却100%や税額控除10%)のほうが有利なケースもあります。
「どの制度を、どの方式で使うか」の選択次第で、手残りは大きく変わるのです。
攻める税理士として、ともに最適解を描く
丸山会計事務所は、確定申告の事後処理にとどまらず、設備投資の「前」に動く提案型の事務所です。
投資計画を伺った段階で、特別償却か税額控除か、投資促進税制か経営強化税制か、複数のシナリオを数字で比較し、御社にとっての最適解をご提案します。
私たちの経営理念は「ともに未来を描く」。
節税効果以上の報酬がかかる提案はしない
——だからこそ、本当に得をする選択だけを、自信を持ってお伝えできます。
「知らなかったから損をした」を、設備投資の場面で決して起こさせません。
まとめ
中小企業投資促進税制では、特別償却30%(税の繰り延べ)と税額控除7%(永久の節税)のいずれかを選べます。黒字が続くなら税額控除、今期の利益を抑えたいなら特別償却が基本の考え方です。資本金要件や経営強化税制との比較も含め、答えは会社ごとに変わります。設備投資を決める前に、ぜひ一度ご相談ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


