年平均ROI「15%以上」の壁をどう超える?計算ロジックと、建物を組み込む財務のカラクリ
投稿日:2026年08月04日

朝4時起きの名古屋の税理士の丸山です。
「5億円以上の投資規模はクリアできる。
でも、もう一つの要件『投資利益率15%以上』は、うちのビジネスモデルで本当にクリアできるのだろうか?」
大型の設備投資を検討される経営者様が、最も高いハードルとして頭を悩ませるのがこの要件です。
大胆な投資促進税制(特定生産性向上設備等投資促進税制)では、投資計画における「年平均の投資利益率が15%以上となることが見込まれること」が、経済産業大臣の確認を受けるための基準のひとつとされています。
単に「売上がこれくらい増えそうです」という希望的観測では、審査を突破することはできません。
■ ROI15%を判定する計算の考え方
本税制の投資利益率は、「設備の導入により増加する営業利益に、導入する設備の減価償却費を加えた額」を「取得する設備の取得価額の合計額」で割って判定する仕組みです。
ここで注目すべきは分子です。
純粋な会計上の営業利益ではなく、
減価償却費、経費ではあるもののお金は出ていかないもの、を足し戻した、いわゆる「簡易キャッシュフロー」で判定するルールになっています。
これが、投資計画を組み立てる上で極めて重要な意味を持ちます。
■ 建物を組み込むと計算が変わるカラクリ
一般的に、工場の建物は耐用年数が非常に長く、鉄骨造の工場なら30年を超えることもあります。
耐用年数が長いと毎年の減価償却費は相対的に小さくなり、会計上の利益は傷みにくい一方で、ROIの分子には建物の減価償却費も毎年足し戻すことができます。
具体的にイメージしてみましょう。
5億円すべてを耐用年数10年の機械装置に投じるケースでは、機械単体の収益力だけで毎年高い水準の簡易キャッシュフローを出し続ける必要があります。
一方、4億円を工場建物、1億円を機械設備という構成にすると、建物と機械それぞれの減価償却費が分子に足し戻され、事業の実態に伴ったキャッシュフローを、ロジカルに、かつ無理なく示しやすくなるケースがあります。
つまり、耐用年数の異なる「建物+機械装置」を戦略的に組み合わせることが、ROI15%という高い要件をクリアするための計画設計(プランニング)につながるのです。
ただし、計算期間の取り方など細部の取り扱いは省令・マニュアルに沿った精緻な設計が必要です。
ここは自己流で進めず、必ず専門家と一緒にシミュレーションすることをお勧めします。
■ 審査官を納得させる「根拠資料」の作り込み
当然ですが、「増加する営業利益」の根拠となる売上高や売上原価の数字には、客観的な裏付けが求められます。
たとえば、新工場の面積・レイアウトから算出される生産能力のシミュレーション、既存顧客からの増産要請を示す資料、自動化による作業時間・人件費の削減額の計算書など。
これらの一貫したストーリーとエビデンスを、投資計画に落とし込む必要があります。
また、投資計画には「実現に必要な資金調達手段」の記載も求められます。
数字だけでなく、資金の裏付けまで含めた計画全体の整合性が問われるのです。
■ 「攻めのストーリー」をともに作る
ROI15%という数字は、決して形式的なハードルではありません。
「この投資で本当に稼げるのか」を国が問うている、いわば経営計画そのものの審査です。
当事務所では、計画策定の段階から経営者様と膝を突き合わせ、客観的でロジカルな「ROI15%のストーリー」を作り上げます。
国の審査をパスする高精度な投資計画を、ともに描いていきましょう。
▼経営に役立つ情報をもっと知りたい方は
→ メルマガ登録はこちら
→ 丸山会計へのお問い合わせはこちら
この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


