省エネ改修は着工前が勝負 税制優遇を逃さない実務
投稿日:2026年07月16日

朝4時起きの税理士、丸山です。
本日は「省エネ投資・カーボンニュートラルに関する税制優遇」についてお話しします。
「省エネ設備は、工事が終わって領収書さえ取っておけば、確定申告のときに税理士がうまく節税してくれる」——多くの経営者がそう思い込んでいます。
ですが、これは大きな誤解です。
省エネや生産性向上に関わる優遇税制の多くは、設備を導入する『前』に手を打たなければ1円も使えません。
順番を間違えた瞬間に、数百万円の節税が消えてしまうのです。
① 省エネ投資で使える『2つの財布』を知る
柱となるのが中小企業経営強化税制です。
認定を受けた経営力向上計画に沿って一定の設備を取得すると、取得価額の特別償却(要件を満たせば即時償却=100%費用化)と、税額控除(原則7%、資本金3,000万円以下の法人は10%)のいずれかを選べます。
対象になり得るのは、高効率空調、LED照明、高効率変圧器、省エネ型の機械装置など、脱炭素につながる設備です。
たとえば2,000万円の高効率空調を導入した場合。
即時償却を選べば初年度に2,000万円を一気に費用化でき、実効税率を約34%とすると、およそ680万円分の納税を前倒しで圧縮できます。
一方、税額控除を選べば200万円(10%)を法人税額から直接差し引けます。
前者は『キャッシュを早く手元に残す』、後者は『払う税金そのものを減らす』。
この違いを踏まえた選択が節税の分かれ道です。
選び方の目安はシンプルです。
設備投資が続き、これから利益がしっかり出る局面なら、税額控除で確実に税額を減らすほうが有利になりやすい。
逆に、その期にたまたま大きな利益が出て今すぐ税負担を抑えたいなら、即時償却でキャッシュを守る。
自社の3年先までの利益計画とセットで考えることで、はじめて正しい答えが出ます。
② 最大の落とし穴は『順番』— 着工前に認定を取る
最も多い失敗が、工事を発注してから、あるいは完成してから制度の存在を知るパターンです。
経営力向上計画の認定は、原則として設備を取得する前に受けておく必要があります。
とりわけ収益力強化を狙うB類型や、建物まで対象に含まれる類型(E類型)では、経済産業局や税理士等による『事前の確認書』が求められます(※なお、E類型の建物の場合は即時償却等ではなく、「15%等の特別償却」または「1%等の税額控除」となります)。
取得後に慌てて申請しても、取得日から一定期間内(60日以内)に手続きすれば認められる例外はあるものの、D類型やE類型にはこの例外措置がないため事前の認定が絶対条件となります。
要件は厳しく、間に合わなければ優遇がまるごと消えます。
『まず段取り、次に発注』——この鉄則を守るだけで、使えるはずの制度を取りこぼさずに済みます。
実務では、少なくとも設備の発注・契約に入る2〜3か月前から動き出すのが安全です。
計画書の作成、必要書類の準備、確認書の取得、そして主務大臣の認定まで、一定の時間がかかります。
『良い設備が見つかったから来週発注しよう』では、間に合わないことも珍しくありません。
導入したい設備が固まった段階で、すぐに税理士へ相談することをお勧めします。
③ 補助金と税制はダブルで狙える
省エネ改修では、国や自治体の省エネ補助金(設備更新補助など)と税制優遇を併用できるケースが多くあります。
ただし注意点があります。
補助金で取得価額の一部を賄い、圧縮記帳を使うと、税制優遇の計算基礎となる取得価額そのものが下がります。
つまり『補助金をもらう』『圧縮記帳をする』『償却か控除か』の組み合わせ方で、最終的な手残りは数百万円単位で変わるのです。
3,000万円の設備に対し補助金1,000万円が出るケースでも、圧縮記帳をするかしないか、特別償却か税額控除かの組み合わせによって、トータルの税負担は大きく動きます。
ここは必ず着工前にシミュレーションしておきたいポイントです。
④ 『攻める税理士』は工事の前に呼んでほしい
省エネ・カーボンニュートラル投資は、まさにお金が大きく動くタイミングそのものです。
丸山会計事務所は、確定申告の『あと』ではなく、設備投資を『考え始めた瞬間』に伴走します。
経営力向上計画の認定手続き、補助金との組み合わせ、償却か控除かの選択まで、着工前に一気通貫で設計するのが私たちの提案型スタイルです。
『知らないことで損をした』をなくす——これが私たちの信念です。
経営理念『ともに未来を描く』の通り、脱炭素という未来への投資を、税務の面から最大限に後押しします。
まとめ
省エネ投資の税制優遇は、設備を入れる『前』に動けるかどうかで、使えるかどうかが決まります。
特別償却と税額控除の選択、経営力向上計画の事前認定、そして補助金との併用——この3点を着工前に設計すれば、数百万円のキャッシュが手元に残ります。
工事を決める前に、ぜひ一度ご相談ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


