建物も優遇対象に!経営強化税制E類型を活かす5視点
投稿日:2026年06月01日

朝4時起きの税理士、丸山です。
本日は、令和7年度税制改正で大きく拡充された「中小企業経営強化税制」、とりわけ新設されたE類型の活用法についてお話しします。
「経営強化税制って、結局は機械や設備の話でしょ?うちは設備投資ってほどの規模じゃないし……」
──そう思われている経営者の方、実はそこに大きな誤解があります。
令和7年度改正で、これまで対象外だった『建物』までもが優遇税制の対象に加わったのです。
製造業の機械投資に限らず、サービス業・小売業のオーナーにとっても、この税制は一気に身近なものになりました。
知らないままだと、数百万円〜数千万円規模の節税チャンスを丸ごと逃すことになります。
令和7年度改正の目玉「E類型」とは何か
中小企業経営強化税制は、これまでA類型(生産性向上設備)、B類型(収益力強化設備)、D類型(経営資源集約化設備)などで運用されてきました(※令和7年度改正によりC類型は廃止)。
今回の改正で新たに加わったのが、売上高100億円超を目指す中小企業(売上高10億円超90億円未満の法人)を後押しする「E類型」です。
最大のポイントは、対象資産に『建物』が含まれたこと。
これまで設備投資といえば機械装置や工具器具備品が中心でしたが、E類型では工場・店舗・倉庫といった建物本体への投資も優遇の対象になります。
ただし、建物の場合は機械のような即時償却(100%償却)ではなく、「15%(特定建物等については25%)の特別償却」または「1%(特定建物等については2%)の税額控除」となります。
例えば3億円の工場を新築して15%の特別償却を選択した場合、初年度の通常の減価償却費に加えて4,500万円を追加で損金算入できるという、極めてインパクトの大きい制度です。
特別償却と税額控除、どちらが得か
経営強化税制では、機械装置等の場合は「即時償却」と「税額控除(資本金3,000万円以下は10%、3,000万円超1億円以下は7%)」のいずれかを選択でき、E類型の建物の場合は前述の通り「15%(または25%)の特別償却」と「1%(または2%)の税額控除」の選択となります。
特別償却(即時償却を含む)は当期の課税所得を一気に圧縮できるため、利益が大きく出た年に効果絶大です。
当期が欠損になれば、繰越欠損金として翌期以降にも効果が及びます。
一方、税額控除は法人税そのものを直接減らすため、長期的に安定した利益が出る企業なら、トータルで有利になる場合もあります。決算予測とセットで判断する必要があります。
落とし穴は『工業会等の証明書』と『経営力向上計画』
経営強化税制でつまずく経営者が最も多いのが、適用手続の煩雑さです。
A類型なら工業会等の証明書、B・D・E類型なら経済産業局の確認書を取得した上で、経営力向上計画を主務大臣に申請し、認定を受けなければなりません。
実務上の大きな落とし穴は『計画認定と設備取得の順番』です。
原則として『設備を取得する前に認定を受けなければ適用できない』ため、発注前に手続きを走らせる必要があります。
A類型・B類型に限っては例外措置があり、設備取得日から60日以内に認定申請が到達する等の要件を満たせば取得後の申請でも認められますが、D類型・E類型にはこの例外措置がないため、事前の認定取得が絶対条件となります。
不動産オーナー・賃貸業も活用できるのか
「うちは賃貸業だから設備投資税制は無関係」と思われがちですが、自社で使用する設備投資であれば活用できる可能性があります。
不動産業自体は指定事業に含まれていますが、ここで最大の落とし穴となるのが「貸付けの用に供する資産(貸付資産)」は原則として適用対象から除外されるという点です。
したがって、第三者に賃貸するための倉庫や店舗ビル、賃貸マンションに設置するエレベーターや空調設備などは対象になりません。
ただし、自社ビルの一部を自社で使用し一部を賃貸している建物の共用設備など、一定の要件を満たす例外的な場合には適用が認められるケースもあります。
『誰が使うか』『どの事業に供するか』
──この線引きを誤ると、せっかく取得した設備が対象外と判定され、税務調査で否認されるリスクもあります。
攻める税理士・丸山会計の伴走スタイル
丸山会計事務所は「ともに未来を描く」を理念に、設備投資を単なる支出ではなく『未来への投資』として最適化することを使命としています。
当期利益・繰越欠損金・将来の事業計画・後継者への承継時期
──これらを総合的に見渡して、3〜5年スパンで最も納税額が小さくなる選択肢を提案します。
ただし、E類型の適用を受ける法人は、その投資計画の期間中、中小企業投資促進税制や少額減価償却資産の特例(30万円特例)の適用対象から除外されるという厳しい併用制限もあります。
攻める税理士として、各税制のメリットと制限を精査し、節税効果以上の報酬を頂くことは絶対にしない方針で、安心のサポートをご提供します。
まとめ
令和7年度改正で新設された経営強化税制E類型は、建物まで優遇対象に含めた画期的な制度です。特別償却と税額控除の選択、事前手続の徹底、貸付資産に該当しないかの確認、この3点を押さえれば、数千万円規模の節税も現実的です。設備投資の構想段階で、ぜひ専門家にご相談ください。
【免責事項】 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


