「5億円の工場を建てるだけ」では減税ゼロ?新税制の重要ルール「建物のみは対象外」と、賢いセット計画の作り方
投稿日:2026年08月04日

朝4時起きの名古屋の税理士の丸山です。
「新しい大胆な投資促進税制を使って、5億円かけて自社用の倉庫を建てようと思っています。
これで即時償却できますよね?」
最近、このようなご相談が増えてきました。
令和8年度税制改正で創設された「特定生産性向上設備等投資促進税制(通称:大胆な投資促進税制)」は、2026年7月31日から経済産業局での申請受付が始まり、いよいよ本格的に動き出した制度です。
しかし、結論から申し上げます。
ただ「5億円以上の建物を建てるだけ」では、この減税措置は受けられない可能性が高いのです。
多くの経営者様、そして建築会社様さえもまだ気づいていない、重要な適合ルールについて解説します。
■ 「建物のみ」の投資計画は対象外
本税制の適合基準では、投資計画について「建物のみの取得等を行おうとするものを除く」という制限が設けられています。
つまり、自社で使用する工場や倉庫、営業所などであっても、建物の建築費(ハコモノ)だけで投資下限額をクリアして申請することは認められないのです。
中小企業者等の場合は5億円以上、大企業等は35億円以上が下限です。
なぜ国は、このような制限を設けたのでしょうか。
それは、本税制の本来の目的にあります。
国が狙っているのは、単なる不動産・ハコモノ投資の推進ではなく、「高付加価値な国内設備投資の促進」と「日本企業の稼ぐ力の復活」です。
建物を建てること自体が目的ではなく、その建物を使ってどのような高付加価値な事業を行い、どれだけ生産性を高められるか。
ソフトとハードが一体となった投資活動を求めているのです。
■ 減税を勝ち取る「セット計画」の作り方
では、建物の新設や増築で本税制の恩恵を受けるにはどうすればよいのか。
解決策はシンプルです。
建物の建築計画と同時に、その建物の中で稼働させる「機械装置」「ソフトウェア」「器具備品」などの設備投資を、一括した「1つの投資計画」としてセットで策定することです。
本税制の対象資産は、機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェアと幅広く定められています。
ただし、それぞれ一定の取得価額以上のものに限られます。
たとえば、次のようなパッケージが典型的な成功モデルになります。
建物(工場棟の新築)3.5億円、建物附属設備(電気・空調設備)0.5億円、機械装置(自動製造ライン)1.0億円、ソフトウェア(制御・管理用)0.1億円。
投資計画の合計額は5.1億円となり、中小企業向けの下限5億円をクリアします。
このセット計画についてあらかじめ経済産業大臣の確認を受けることで、建物部分を含めた全額について、初年度に即時償却(100%費用計上)を適用する、あるいは税額控除を選択することが可能になります。
税額控除は、機械・ソフトウェア等は7%、建物・建物附属設備・構築物は4%です。
■ 自社利用でも対象外となる「資産の罠」
セット計画を作る場合でも、資産の「用途」に制限があることを忘れてはなりません。
まず、税制改正大綱にも明記されているとおり、貸付けの用に供する資産は対象外です。
アパート、マンション、テナントビル、賃貸用倉庫など、他者に貸して賃料を得る目的の建物や設備は対象になりません。
また、間接部門が使う本社機能のみの建物や、社宅・寮などの福利厚生施設、研究開発専用の設備なども対象外とされています。
あくまで「自社の事業の用に直接供される、生産等設備を構成する資産」であることが大前提です。
自社工場や自社用の物流倉庫、データセンターなどは、まさにその王道と言えます。
■ 建築会社任せにしない「投資の再定義」を
建築会社から「即時償却できる新税制がありますよ」とだけ言われて、建物の建築契約だけを単体で先行させてしまうのは危険です。
設計や構想の段階から「建物+機械装置等」をパッケージ化し、国に認められる事業計画をどう組み立てるか。
投資の中身を自社の成長ストーリーとセットで再定義することが求められます。
当事務所では、設計段階から「どの設備をセットにすれば税制の対象になるか」「投資利益率の要件をクリアできるか」を、建築会社様とも連携しながらシミュレーションいたします。
大きな契約のハンコを押す前に、まずは一度、丸山会計事務所へご相談ください。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


