不動産証券化とREIT入門——個人投資家が知っておきたい仕組みと税務のポイント

投稿日:2026年04月20日

不動産証券化とREIT入門——個人投資家が知っておきたい仕組みと税務のポイント

「REIT(不動産投資信託)」や「不動産ファンド」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

 

まとまった資金がなくても不動産投資に参加できる仕組みとして注目を集めています。

しかし「複雑そう」「税金がよくわからない」と感じている方も多いはず。

本記事では、不動産証券化の基本的な仕組みと、個人投資家が押さえておくべき税務のポイントをわかりやすく解説します。

 

目次

1. 不動産証券化とは何か?

2. 主な投資ビークルの種類

3. J-REITの仕組みと特徴

4. 個人投資家が知っておくべき税務のポイント

5. まとめ

1. 不動産証券化とは何か?

不動産証券化とは、オフィスビルやマンションなどの不動産を金融商品に変換し、多くの投資家が小口で投資できるようにする仕組みです。

 

従来、不動産投資には数千万円〜数億円単位の資金が必要でした。しかし証券化によって、不動産から生まれる収益を「証券」として切り出し、少額から投資できるようになりました。近年はJ-REIT市場だけでも運用資産総額が24.2兆円を超える規模にまで成長しており、不動産投資市場の主要な担い手となっています。

 

不動産証券化の主な機能は次の3点です。

・資金調達の効率化:不動産オーナーが不動産を手放さずに資金を調達できます。

・リスクコントロール:複数の投資家でリスクを分散できます。

・流動性の付与:不動産そのものは売買しにくいですが、証券化することで換金しやすくなります。

2. 主な投資ビークルの種類

「ビークル(vehicle)」とは、投資家と不動産をつなぐ「器」のことです。代表的なビークルには以下のものがあります。

匿名組合(TK)

出資者(匿名組合員)が事業者に出資し、事業から生じる利益の分配を受ける仕組みです。出資者の名前は表に出ないため「匿名」と呼ばれます。私募ファンドでよく使われます。分配金は「雑所得」として個人の確定申告が必要になる場合があります。

特定目的会社(SPC・TMK)

資産の流動化に関する法律に基づき設立される会社です。「倒産隔離機能」を持ち、不動産の元の所有者(オリジネーター)が倒産しても、SPCの資産は守られます。この独立性を高めるために、一般社団法人がSPCの議決権を保有するスキームが実務上よく使われます。

投資法人(J-REIT)

不動産を運用することを目的とした法人で、投資主から集めた資金で不動産を購入・運用します。J-REITは東京証券取引所に上場しており、株式のように売買できる点が大きな特徴です。2026年2月時点で58銘柄が上場しています。

3. J-REITの仕組みと特徴

J-REITの大きな特徴は「導管性要件(ペイスルー課税)」です。

配当可能利益の90%超を投資主に分配すれば、支払配当を損金算入できるため、課税所得がほぼゼロになります。

これにより、収益を二重課税なく投資家へ還元できます。

 

また、J-REITはアセット・マネジメント会社(AM会社)に運用を委託し、プロパティ・マネジメント会社(PM会社)が各物件の日常管理を担います。

個人投資家はプロに運用を任せながら不動産収益を受け取れる点が魅力です。

 

なお、2021年にJ-REIT市場は20周年を迎え、機関投資家だけでなく個人投資家にとっても身近な投資対象となっています。

4. 個人投資家が知っておくべき税務のポイント

(1) 分配金の課税方法

J-REITからの分配金は「配当所得」として課税されます。

上場REITの場合、源泉徴収あり特定口座を利用していれば自動的に20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が差し引かれ、確定申告は不要です。

 

ただし、所得税・住民税の合計税率が20.315%未満の方は、総合課税を選択した方が税負担を減らせる場合があります。

また、配当控除の適用は、J-REITの分配金には原則として適用されない点に注意が必要です。

(2) 売却益・損失の取り扱い

J-REIT投資口の売却益は「上場株式等の譲渡所得」として申告分離課税(税率20.315%)の対象です。

損失が出た場合、同年中の上場株式等の配当所得や譲渡益と損益通算できます。

さらに翌年以降3年間の繰越控除も可能です。確定申告を通じて節税できるケースもあるため、記録の管理が重要です。

(3) 現物不動産所得との違い

現物不動産を所有する場合、賃料収入は「不動産所得」として他の所得と合算して課税(総合課税)されます。

一方、J-REITの分配金は「配当所得」として取り扱われるため、課税の仕組みが根本的に異なります。

現物不動産と不動産投資信託を組み合わせる場合は、それぞれの課税ルールを把握したうえで戦略を立てることが大切です。

5. まとめ

不動産証券化とREITは、個人投資家が不動産市場へアクセスするための有力な手段です。本記事の要点をまとめます。

 

・不動産証券化は、不動産を証券に変換して投資しやすくする仕組みです。

・ビークルには匿名組合・特定目的会社・投資法人(REIT)などがあります。

・J-REITは東証上場で株式のように売買でき、分配金は配当所得として課税されます(税率20.315%)。

・売却益は申告分離課税の対象で、損益通算や繰越控除が活用できます。

・現物不動産の不動産所得とは課税の仕組みが異なるため、混同しないよう注意しましょう。

 

REITへの投資を検討している方は、税務上の取り扱いをしっかり理解した上で、ご自身の状況に合った活用方法を選びましょう。

【免責事項】

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・投資判断についてはご専門家(税理士・ファイナンシャルプランナーなど)にご相談ください。税制は改正される場合があります。最新情報については必ず公的機関または専門家にご確認ください。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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