先端設備導入計画とは?認定を受ける条件とメリットを解説
投稿日:2023年06月21日
目次
先端設備導入計画とは
先端設備導入計画とは、中小の事業者が設備投資を通じて、企業の生産性向上を達成するための計画のことです。
計画について市区町村から「導入促進基本計画」の同意を受けている場合に認定を受けることができ、認定を受けた事業者は様々な税制上、金融上のメリットを得ることができます。
認定を受けるための条件は次の3つです。
- 中小企業者等であること
- 指定期間内に購入又は設備投資であること
- 認定支援機関の確認を受けた、投資利益率5%以上の計画に基づき投資した設備投資であること
中小企業者であること
本制度の適用を受けるためには、以下のいずれかに合致する中小企業者等である必要があります。中小企業者等には、個人事業者をはじめ様々な組織形態を含みます。
- 製造業その他:資本金3億円以下または常時使用する従業員の数300人以下
- 卸売業:資本金1億円以下または常時使用する従業員の数100人以下
- 小売業:5千万円以下または常時使用する従業員の数50人以下
- サービス業: 5千万円以下または常時使用する従業員の数100人以下
- ゴム製品製造業:資本金3億円以下または常時使用する従業員の数900人以下
- ソフトウエア業又は情報処理サービス業:資本金3億円以下または常時使用する従業員の数300人以下
- 旅館業:資本金5千万円以下または常時使用する従業員の数200人以下
指定期間内における投資であること
指定期間は令和5年4月1日~令和7年3月31日迄の2年間
認定支援機関の確認を受け、投資利益率が5%以上の計画に基づき投資した設備投資であること
令和5年の税制改正によって、先端設備導入計画を策定し、その計画を認定経営革新等支援機関から事前に確認を受ける必要があります。
事前確認を受けた計画しか市区町村から認定を受けることはできません。
認定経営革新等支援機関は地域の金融機関、税理士・会計士、商工会議所などが対象ですので、まずは相談してみましょう。
また、設備投資計画における投資利益率は年平均5%以上でなければならないようになりました。投資利益率とは利益 ÷ 投資額で計算される経営指標で、投資額からどの程度の利益を生み出すことができたのかの指標です。
対象となる設備の要件とは
先端設備導入計画の対象になる設備は次のとおりです。
- 機械装置:160万円以上
- 工具:30万円以上
- 器具備品:30万円以上
- 建物附属設備:60万円以上
なお令和5年の制度変更によって、120万円以上の構造物と事業用家屋は本制度の対象外となり、認定を受けられないようになったので注意しましょう。
先端設備導入計画の認定を受ける2つのメリット
先端設備導入計画の認定を受けると次の2つのメリットを享受できます。
- 固定資産税が半分
- 金融支援
税制上のメリットと融資を受ける際にメリットがあります。
先端設備導入計画の認定を受けることの2つのメリットについて詳しく解説していきます。
固定資産税(償却資産税)が減額
先端設備導入計画の認定を受けると固定資産税の優遇を受けることができます。
原則的には3年間、固定資産税(償却資産税)が2分の1へ減免されます。
また、上乗せ措置で税制改正により従業員に対する賃上げ方針を表明し、令和6年3月迄に資産を取得した場合には5年間、令和7年3月までに対象資産を取得した場合には4年間、固定資産税(償却資産税)が3分の2も減額されます。
設備投資によって不動産や償却資産を購入すると、固定資産税(償却資産税)が増えてしまうのはデメリットですが、先端設備導入計画の認定を受ければ投資のネックになっている「固定資産税が増えてしまう」点をクリアすることができます。
金融支援
先端設備導入計画の認定を受けると資金調達の際にも有利になります。
認定を受けると、信用保証協会の保証枠が増えて普通保険等通常枠とは別枠での追加保証を受けることが可能です。
特別の保証枠の内容は以下の通りです。
- 普通保険:2億円
- 無担保保険:8,000万円
- 特別小口保険:2,000万円
先端設備導入計画を実行する際に、融資を利用するのであれば、追加される特別枠によって通常の融資枠とは別枠で融資を受けられます。
そのため、先端設備導入計画で融資を利用したからと言って、信用保証協会の保証枠が減ることはないので、その後も今まで通りに融資を受けることができるでしょう。
まとめ
設備投資をする際に先端設備導入計画の認定を受ければ、購入した資産の固定資産税が優遇されることに加え、投資計画を実行する際に必要な資金も有利な条件で借りることができます。
しかし、機械等は購入時に一括償却するケースも少なくありません。
先端設備導入計画の認定を受けることにはメリットと制度を利用することが向いていないケースがあるので、「どのような制度を利用して設備投資をすべきなのか」ということでお困りの際は、丸山会計事務所までお気軽にご相談ください。
この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。
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