日商簿記から税理士試験へ 簿記知識は税理士試験にどのくらい活かせるか

投稿日:2026年05月08日

 

日商簿記から税理士試験へ 簿記知識は税理士試験にどのくらい活かせるか

「日商簿記を持っていると、税理士試験で有利になりますか?」

これは税理士を目指す方からよく聞かれる質問です。

結論からいうと、簿記の知識は税理士試験において非常に大きなアドバンテージになります。

 

簿記検定は多くの方にとって税理士試験への入口であり、会計事務所への就職においても評価される資格です。

本記事では、日商簿記検定と税理士試験の具体的な関係、どのレベルまで取得すべきか、そして簿記から税理士へのステップアップの考え方をお伝えします。

1. 日商簿記と税理士試験の関係を整理する

1-1. 簿記知識がカバーする税理士試験の範囲

税理士試験の必須科目「簿記論」は、日商簿記検定との学習範囲の重複が非常に多いことで知られています。具体的な目安として、以下のように言われています。

・日商簿記3級:簿記論の学習範囲の約30%をカバー

・日商簿記2級:簿記論の学習範囲の約50%をカバー

・日商簿記1級:簿記論の学習範囲の約90%をカバー

これは単に「知識が重複している」というだけでなく、学習の土台としての理解の深さが税理士試験の合否を左右することを意味しています。日商簿記2級程度の知識がある方と、まったく簿記を知らない方とでは、税理士試験の学習開始時点でのスタートラインが大きく異なります。

 

さらに、簿記の知識は「財務諸表論」「消費税法」「所得税法」「法人税法」などの他の試験科目にも活きてきます。会計の理解があることで、税法の計算問題がどのような意味を持つのかを感覚的につかみやすくなります。

1-2. 日商簿記1級は税法科目の受験資格になる

令和5年度の改正により、税理士試験の会計科目(簿記論・財務諸表論)は誰でも受験できるようになりました。しかし、税法9科目については引き続き受験資格が必要です。

日商簿記検定1級の合格者は、この税法科目の受験資格を満たすことができます。また、全国経理教育協会(全経)の簿記検定上級も同様に受験資格として認められています。

大学・短大の卒業要件を満たせていない方や、会計実務経験が2年未満の方にとって、日商簿記1級の取得は税理士試験への重要な入口の一つとなります。

2. 日商簿記をどのレベルまで取得すべきか

2-1. まず日商簿記2級を目指そう

税理士試験を目指すにあたって、まず日商簿記2級の取得を強くおすすめします。日商簿記2級は「財務諸表の読み方と作り方がわかる」レベルであり、工業簿記(製造業の原価計算など)も含まれるため、法人の会計処理の全体像を掴むことができます。

日商簿記2級を持っていると、会計事務所への就職・転職時にも評価されやすく、実務での立ち上がりがスムーズになります。また、税理士試験の簿記論・財務諸表論を学ぶ際の理解スピードが格段に上がります。

学習期間の目安としては、まったくの初学者が日商簿記2級を取得するまでに約200〜300時間の学習が必要とされています。集中して取り組めば3〜6ヶ月で取得できる方も多いです。

2-2. 日商簿記1級まで取得するかは状況次第

日商簿記1級は非常に難易度の高い資格で、合格率は例年10%前後です。税理士試験の受験資格取得を目的とするなら、日商簿記1級取得に費やす時間と労力を、直接税理士試験の勉強に使う方が効率的なケースもあります。

一方で、以下のような状況では日商簿記1級の取得が有効です。

・大学を卒業しておらず、他に受験資格を得る手段がない場合

・会計の専門知識を深く身につけたいと考えている場合

・就職・転職市場での評価を高めたい場合

自分の状況を踏まえて、どのルートが最も効率的かを考えることが大切です。

3. 税理士試験に向けての簿記学習の進め方

3-1. 日商簿記3級→2級→税理士簿記論というステップが王道

税理士試験を目指す方の多くが歩む「王道ルート」は、まず日商簿記3級で基礎を固め、2級で工業簿記まで含めた幅広い知識を習得し、その後税理士試験の簿記論に進むというルートです。

日商簿記3級の内容は、税理士試験の簿記論で学ぶ内容の導入部分にあたります。「借方・貸方とは何か」「仕訳とはどういうことか」「試算表・決算書はどのように作られるか」という基本的な考え方を、まずここで確実に理解しておくことが重要です。

3-2. 簿記の学習を通じて実務感覚も養える

簿記を学ぶことは、ただ試験に合格するためだけでなく、企業の経営状態を数字から読み解く力を身につけることでもあります。税理士の仕事は、お客様の決算書や帳簿を見て「この会社の財務状況はどうか」「節税の余地はどこにあるか」を判断することが出発点です。

そのため、簿記の学習を「資格のための勉強」ではなく「実務の土台を作るための勉強」という意識で取り組むと、より深い理解が得られます。

4. 会計事務所への就職と簿記資格の関係

4-1. 簿記資格は採用時の大きなアピールポイント

会計事務所への就職を考えている方にとって、日商簿記の資格は有力な武器になります。特に税理士試験を受験中(科目合格前)の段階では、「どの程度の会計知識があるか」を示す客観的な指標として、簿記資格が評価されます。

丸山会計事務所でも、日商簿記2級以上の資格保有者はサポートスタッフ・提案スタッフいずれの職種においても、採用時にプラスに評価されます。会計事務所での実務をこなしながら受験勉強を進める上でも、基礎的な簿記知識があるほど業務への慣れが早くなります。

4-2. 就職後に実務で簿記の知識が活きる場面

実際に会計事務所で働き始めると、簿記の知識が直接役立つ場面は多くあります。お客様から送られてくる領収書・請求書を仕訳に落とす記帳業務、試算表・決算書の作成補助、法人税申告書の別表計算など、日商簿記で学んだ知識が繰り返し登場します。

「勉強で学んだことが実務でそのまま出てくる」という体験は、学習のモチベーション維持にもつながります。

5. まとめ

日商簿記の知識は、税理士試験の学習において大きなアドバンテージになります。税法科目の受験資格という実務的なメリットだけでなく、会計の基礎理解として試験勉強を格段に効率化してくれます。これから税理士を目指す方はまず日商簿記2級の取得を目標に、着実にステップを踏んでいきましょう。

「簿記を持っているけれど、次のステップをどう進めるか迷っている」という方も、丸山会計事務所のカジュアル面談でお気軽にご相談ください。受験の進め方や、会計事務所での働き方について具体的にお話しできます。

 

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この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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