不動産オーナーが今すぐ確認すべき5つの税務知識
投稿日:2026年04月24日

おはようございます。
朝4時起きの名古屋の税理士丸山です。
不動産を所有・運営するオーナーにとって、税務知識は収益を左右する重要な武器です。
固定資産税から譲渡所得税、相続税まで、不動産には様々な税金が関係しており、正しく理解することで合法的な節税が可能になります。
本記事では、不動産オーナーが今すぐ押さえておくべき5つの税務知識を、わかりやすく解説します。
① 固定資産税・都市計画税の基本と節税のポイント
不動産を所有しているだけでかかるのが「固定資産税」と「都市計画税」です。
固定資産税の税率は原則1.4%、都市計画税は最高0.3%で、毎年1月1日時点の所有者に課税されます。
ただし、住宅用地には大きな軽減措置があります。
小規模住宅用地(200㎡以下の部分)については、固定資産税の課税標準が評価額の1/6に、都市計画税は1/3に軽減されます。
200㎡超の一般住宅用地でも1/3・2/3の軽減が受けられます。
節税ポイントとしては、固定資産税の評価額が実態と乖離している場合、「固定資産評価審査委員会」に審査申出を行うことで税額の見直しができます。
評価替えは3年ごとに行われますが、土地の価格下落が著しい場合は随時修正される場合もあります。
評価額の確認は毎年4月頃に届く「課税明細書」で行い、疑問があれば市区町村の担当窓口に問い合わせることをお勧めします。
② 不動産所得の確定申告と青色申告の活用
賃貸収入がある不動産オーナーは、毎年確定申告で「不動産所得」を申告する必要があります。不動産所得は「賃料収入 − 必要経費」で計算され、経費として認められる主なものには以下があります。
【主な必要経費の例】
・ 減価償却費(建物・設備の取得費を耐用年数で分割計上)
・ 借入金の利子※
※ただし、不動産所得が赤字の場合、土地取得に係る借入金利子部分は他の所得と損益通算できません
・ 修繕費・管理費・損害保険料
・ 固定資産税・都市計画税
さらに青色申告を選択することで、最大65万円の「青色申告特別控除」が受けられます(電子申告・電子帳簿保存が条件)。
また、5棟10室以上の規模(事業的規模)で賃貸経営を行っている場合は、より有利な取扱いが受けられます。
例えば、貸倒損失の全額計上や資産除却損、事業専従者給与の必要経費算入などが可能になります。
青色申告の承認申請は、申告しようとする年の3月15日までに提出が必要です(新規開業の場合は開業から2ヶ月以内)。
まだ白色申告の方は、ぜひ青色申告への切り替えを検討してください。
③ 不動産の売却時にかかる譲渡所得税と特例
不動産を売却した際に利益(譲渡所得)が生じた場合、譲渡所得税がかかります。
税率は所有期間によって異なり、売却した年の1月1日時点で5年超の長期保有であれば20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)、5年以下の短期保有では39.63%となります。
この税率の違いは非常に大きいため、売却タイミングの見極めが重要です。
例えば、取得から売却する年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるタイミング売却すれば、税率を約半分に抑えられます。
また、以下のような特例・控除の活用も有効です。
・ 居住用財産の3,000万円特別控除(マイホームの売却益から最大3,000万円控除)
・ 軽減税率の特例(所有10年超の居住用財産を売却した場合、6,000万円以下部分は14.21%に軽減)
・ 空き家特例(相続した空き家の売却益から最大3,000万円控除)
なお、売却益の計算における「取得費」が不明な場合は、売却収入の5%を概算取得費として使用することができます。
ただし実際の取得費が5%を上回ることが多いため、購入時の書類(売買契約書・領収書など)を大切に保管しておきましょう。
④ 法人化による節税メリットと注意点
近年、不動産オーナーの間で「法人化」が注目されています。
個人として不動産所得が多くなると、累進課税により最高55%もの税率(所得税45%+住民税10%)がかかります。
一方、法人税の実効税率は中小企業で概ね25%〜30%程度に収まることから、所得が一定水準を超えると法人化が有利になります。
法人化のメリットとしては、
(1)法人税率が個人の最高税率より低い
(2)役員報酬として家族への所得分散が可能
(3)退職金制度を活用した節税ができる
(4)欠損金の繰越控除期間が個人(3年)より長い(法人は10年)
などが挙げられます。
一方で注意点もあります。
法人設立・維持コスト(登記費用・税理士報酬・均等割など)がかかること、個人から法人への不動産移転時に不動産取得税・登録免許税が発生すること、また社会保険料の負担が増える可能性があることなど、総合的に判断する必要があります。
一般的には不動産所得が年間500万円を超えてくると法人化の検討が現実的になってくると言われています。
⑤ 相続・贈与を見据えた不動産の税務対策
不動産は相続税の計算において、評価額が時価より低くなる(路線価や固定資産税評価額を使用)ため、現金や預金に比べて相続税評価額を圧縮しやすいという特徴があります。
特に賃貸用不動産の場合、「貸家建付地」「借家権割合」などの減額要因が加わり、さらに評価額が下がります。
例えば、路線価1億円の土地に賃貸アパートを建設した場合、貸家建付地の評価減(借地権割合60%×借家権割合30%×賃貸割合100%=18%減)により、相続税評価額は8,200万円程度になります。
また、毎年110万円の暦年贈与(基礎控除額)を活用して不動産の持分を少しずつ贈与することや、相続時精算課税制度(最大2,500万円まで非課税で贈与可能)の活用も有効な対策です。
ただし2024年以降は暦年贈与の加算期間が3年から7年に延長されており、早めの対策が重要です。
相続対策は「遺産分割のトラブル防止」「納税資金の確保」「節税」の3つを総合的に考える必要があります。
特に不動産は分割しにくい財産であるため、遺言書の作成や共有持分の整理を早めに行うことをお勧めします。
まとめ
不動産オーナーに関わる税務は、固定資産税・不動産所得・譲渡所得・法人税・相続税と多岐にわたります。
それぞれの仕組みを正しく理解し、適切なタイミングで対策を講じることが、長期的な資産形成の鍵となります。
特に青色申告の活用、売却タイミングの最適化、法人化の検討、そして早めの相続対策は、多くのオーナーにとって実践的かつ効果の高い対策です。
税務知識は毎年の税制改正によって変化するため、信頼できる税理士と定期的に情報交換しながら、ご自身の状況に合った最適な判断を行っていただくことをお勧めします。
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談については専門家にご確認ください。
▼経営に役立つ情報をもっと知りたい方は
→ メルマガ登録はこちら
→ 丸山会計へのお問い合わせはこちら
この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


