市街地価格指数による確定申告
投稿日:2021年10月30日
土地の購入金額が分からない場合の譲渡所得税の申告
おはようござまいます。朝4時起きの名古屋の税理士の丸山です。
本日は個人の方が不動産を売買した場合で、その不動産の取得費(購入時の金額)が分からない場合の取得費の計算について、過去の事例を基に話をします。
確定申告のご相談があったお客様で、不動産を売買しており、ご自身で税務署へ売買契約書などを持って確認にいったところ、納税金額が2,200万円と案内を受けました。
そのお客様ご自身は2億円で土地を購入したのは覚えているが、購入時の売買契約書が無くしてしまい土地の取得価額が分からないため。5%の取得費で税額を計算するため税額が多額になると税務署より案内を受け、弊社に相談がありました。
弊社からの案内で、購入時の不動産屋さん、預金通帳などを確認していただきましたが、
支払いの形跡も見当たりませんでした。
登記簿謄本から取得日を確認し、昭和62年であったことから、お客様の言われる2億円で購入したというのは一定の納得性はあるものの、証拠が無い状態でした。
土地の上の建物についても、自宅兼作業場ということもあり、不動産の登記簿謄本を確認したところ根抵当権で数千万円の借入があることが分かったが、登記を行った日付から見て、建物を購入時に借入金ではないことが分かる。
こちらの物件は購入時は、資金はどちらから出されましたがと聞いたところ?
お客様の話では過去に住んでいた物件を売却して、その資金で購入している。
当時の税理士に買替の特例を使えるように頼んだが、失敗して追徴税額を数千万円支払ったと確認した。
お客様に過去に、買替特例を使っていないか確認をしたところ、使えなかったから追徴を支払ったから使っていないと話を受ける。
そこで弊社は、過去の国税不服審判所の公表裁決事例の中にあります市街地価額指数を採用して土地の取得費を計算しました。
同時に過年度の路線価を県立図書館の調べ価額の推移を調べ、地目についても取得時と売却時に変更が無い旨確認し、添付資料を作成し、その市街地価額指数を採用しました。
その結果、不動産の譲渡のかかる譲渡所得税は0円となり、その0円の計算をもって確定申告を行いました。
その後1ヶ月もしない間に、税務署から電話があり、こちらの市街地価格係数の計算については、こちらが調べあげたとおり問題は無いが、こちらの納税者については今回売却された不動産について、過去に居住用財産の買換えの特例を受けており、修正申告して欲しい旨の連絡がありました。(おいおい・・・)
税務署に出向き、話をしたところ、今回は市街地価格指数について路線価からも、地価の推移が同じように推移しているため、問題はないがこちらの納税者については、今回売買した不動産について過去に買替の特例を受けているの過去の取得費が分からないのであれば取得費を5%で修正申告してほしい旨受ける。(おいおい、さっき問題ない言ったじゃん、汗)
こちらから税務署の担当者に、過去に買替特例を受けているのであれば取得価額引継整票があり、当時の購入時の金額がそちらで分かるため実際に取得価額を明らかにしてほしい旨交渉しました。
その結果、税務署の中にある取得価額を明らかにしてもらい、当時の取得価額から買替の特例を受けた部分の計算を行いました。
その実際に取得価額を基に計算を行った結果、その不動産にかかる譲渡については、やはり譲渡損となり、その計算結果を基に税務署の担当者に説明を行い、統括官にも確認を行ってもらい、その申告については修正申告を行わずに済みました。
結果としてお客様の税負担は0円で終わりました。
不動産譲渡にかかる確定申告については申告を行う税理士によって、税額は大きく変わる可能性があります。
当初の税務署の案内どおり申告していたら2,200万円の税額が、地道に調べ、正しい税務に関する知識のもと交渉することで税額が0円となる場合もあります。
特に市街地価格指数、取得価額引継整理票などの存在を知っているか、過去に実際に使って申告してみるということは税理士として大きなアドバンテージとなります。
不動産の譲渡にかかる税務については、丸山会計事務所までご相談ください。
この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。
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