建物と付属設備按分方法について
投稿日:2021年03月16日
土地、建物、付属設備への按分
一般的に賃貸用の不動産を購入した場合には、建物と土地を売買契約書、固定資産税の課税明細などで案分を行います。
しかし、本当は建物を、建物と建物付属設備に分ける必要があるのです。
国税は、この建物と建物付属設備は明確に違うものであり、両社は分けて減価償却を行う必要があると言っています。
分けれたらでは無く、分けて計算を行いなさいということです。(国税不服審判所平成12年12月28日採決)
では、いったいどうやって建物と付属設備を分けるのでしょうか?
これに使えるのが、固定資産税評価点数表となります。(固定資産税を計算するために市区町村が計算している計算過程となります)
自治体によって名称が異なりますが、概ねこれで伝わります。
問題はどうやってこの固定資産税評価点数表を取るかです。
固定資産税を管轄している役所は、市税事務所や区役所となりますので、購入した物件について市税事務所、市役所に開示請求をかける手続きが一般的ですか、実は開示請求を行うと、1月1日の所有者にしか開示できませんと言われます。
そうなると例えば、2021年の2月に購入した物件について、2021年の3月期の決算において減価償却の計算を行うために、建物と建物付属設備に按分を行おうとすると、1月1日の所有者は、第3者となりますので、どんなに頑張っても、所有者が違うため開示請求に応じることができませんと言われます。
自社が購入した物件なのに、自社の固定資産税評価点数表を確認できるのは、2022年の1月1日以降、そしてその固定資産税の価額の通知が来た2022年4月以降でないと開示請求ができなくなります。
そうなると建物と建物付属設備の按分を行うことができずに2021年の3月期の決算を迎えることとなり、減価償却費を過少に計上することとなります。
そこで売買で購入するときに、売主からこの固定資産税評価点数表にかかる開示にかかる委任状を一緒にもらっておくのです。
不動産の売買の場合、売主と会える機会は、契約の時、不動産の引き渡しの時ぐらいだと思います。
その引き渡しの時に、固定資産税評価点数表の開示に関する委任状に一緒に印鑑をもらうことにより、2021年3月期より建物と、建物付属設備に按分したもので減価償却を行うことができます。
この固定資産税の評価点数表を活用して、減価償却費を計算するかしないかでは、減価償却費の金額が1.5倍ぐらい差が出ます。
是非、不動産を購入される場合には、事前に固定資産税評価点数表の開示請求に関する委任状も併せて売主から印鑑を貰い、償却費を早期にとり資金繰りにお役立ていただければと思います。
不動産投資、購入に関する税務は丸山会計へお聞きください。
この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。
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