不動産投資の「実質利回り(NOI利回り・FCR)」とは?
投稿日:2026年02月26日
表面利回りの“7掛け”になる理由をわかりやすく解説

4時起き税理士の丸山です。今回は、不動産投資の実質利回りについてです。
不動産投資の広告を見ると、よく
「表面利回り10%!」といった魅力的な数字が並んでいます。
でも実際に購入してみると、
「あれ、思ったよりお金が残らない…」という声も少なくありません。
その理由は、表面利回りには“実際にかかるコスト”が含まれていないからです。
そこで重要になるのが、
実質利回り(NOI利回り・FCR)という考え方です。
今回は、
- 表面利回りとの違い
- どんな費用を差し引くのか
- 実際どれくらい数字が下がるのか
- 最終的に手元に残るお金との関係
を、できるだけやさしい言葉で整理していきます。
表面利回りとは?なぜ高く見えるのか
まずは基本から確認しましょう。
表面利回り(グロス利回り)の計算式はとてもシンプルです。
満室想定年間家賃 ÷ 物件価格
たとえば、
- 物件価格:1億円
- 年間家賃(満室想定):1,000万円
なら、
1,000万円 ÷ 1億円 = 10%
これが「表面利回り10%」です。
でも、この計算には次のような現実が含まれていません。
- 空室はない前提
- 滞納はない前提
- 管理費も修繕費も考慮なし
- 税金も保険料も考慮なし
つまり、“理想状態”の数字なんですね。
実質利回り(NOI利回り・FCR)とは何か?
実質利回りは、次の考え方で計算します。
(家賃収入 − 空室損失 − 運営経費) ÷ (物件価格 + 購入時諸経費)
ポイントは2つあります。
① 分子が減る(実際に残る利益=NOI)
家賃から以下を差し引きます。
■ 空室・滞納損失
常に満室とは限りません。
一般的には5%〜10%程度見込みます。
■ 運営経費(OPEX)
家賃収入の20%〜25%程度が目安です。
築浅なら10〜15%程度で済むこともあります。
内訳は例えば:
- 管理委託料(家賃の3〜7%程度)
- 定期清掃費
- 固定資産税・都市計画税
- 修繕費(原状回復・大規模修繕積立)
- 共用部の水道光熱費
- 火災保険・地震保険
これらは、表面利回りには一切含まれていません。
② 分母が増える(総投資額になる)
さらに重要なのがここです。
購入時には、
- 仲介手数料
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 融資手数料
- 司法書士報酬
などがかかります。
これらは物件価格の約7%前後が目安です。
つまり、
1億円の物件でも、実際の投資額は1億700万円程度になるということです。
計算シミュレーション①(典型例)
● 表面利回り:9.00%
仮に経費が家賃の20%とします。
- 家賃収入から20%差し引く
- 物件価格に諸経費15%を加算
すると、
実質利回り:6.30%
計算すると、
6.3 ÷ 9.0 = 0.7
つまり、
👉 表面利回りの約70%(7掛け)
になります。
計算シミュレーション②(経費が高い物件)
例えば、
- エレベーター付き
- 受水槽あり
- 築古で修繕費が多い
といった物件の場合。
● 表面利回り:7.0%
運営費が高くなると、
実質利回り(FCR):4.03%
この場合、
4.03 ÷ 7.0 = 約0.57
👉 表面利回りの約57%まで低下
設備が多い物件は、見かけの利回りより
維持コストのチェックが最重要です。
では「表面利回り10%」ならどうなる?
一般的な目安としては、
| 表面利回り | 実質利回りの目安 |
| 10% | 約7%前後 |
| 8% | 約5.5%前後 |
| 7% | 約5%前後 |
| 設備多・築古 | 5〜6%未満も |
おおむね「7掛け」と考えると、大きくは外れません。
さらに重要:最終的に手元に残るお金
ここまで説明した実質利回りは、
物件そのものの収益力
です。
しかし投資家の本当の関心は、
「いくら現金が残るか?」
ですよね。
ここからさらに、
- 銀行への返済(元金+利息)
- 税金(所得税・住民税)
を差し引きます。
デッドクロスに注意
ローン返済が進むと、
- 利息(経費になる)が減る
- 元金返済(経費にならない)が増える
という現象が起きます。
その結果、
- 帳簿上は黒字
- でも手元にお金が残らない
という「デッドクロス」が発生することがあります。
利回りだけでは判断できない理由はここにあります。
まとめ:実質利回りで物件を見る習慣を
表面利回り10%の物件でも、
- 空室リスク
- 運営経費
- 購入時諸費用
を考慮すると、
👉 実質利回りは「7%前後」に落ち着くのが一般的
さらに、
- 設備が多い
- 築古で修繕費が重い
場合は、
👉 5〜6%程度まで下がる可能性もあります。
最後に大切なこと
物件資料を見るときは、
- レントロールだけで判断しない
- 運営費の明細を必ず確認する
- 固定資産税額を確認する
- 修繕履歴を確認する
これを習慣にするだけで、
投資判断の精度は大きく変わります。
「表面利回り」ではなく、
「実質利回り」で考える投資家になること。
これが、失敗しない不動産投資の第一歩です。
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この記事の監修
税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)
税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。


