物件契約時に再建築費評点基準表を取得することで償却年数を短縮可能!

投稿日:2024年09月11日

不動産を購入する際には、多くのポイントに注意する必要があります。

その中でも、償却期間に影響するため、建物と建物附属設備の区分が重要です。 

建物の約3割は附属設備であると言われていますが、明確に区分できないために建物として長期間で償却しているケースが多々あります。 

そこで役立つのが「再建築費評点基準表」です。 

この表を活用することで、償却年数を短縮し、大きな節税効果を得られる可能性があります。 

この記事では、物件契約時に再建築費評点基準表を取得することで、税務上のメリットを最大化する方法や注意点を詳しく解説します。 

なお、再建築費評点基準表は、「固定資産評価点数表」「再建築費評点数算出表」など、自治体によって名称が異なる点にご注意ください。 

1.物件契約時は再建築費評点基準表を必ず取得!

「建物」と「建物附属設備」の区分に迷った際、再建築費評点基準表が参考資料となります。 

再建築費評点基準表は、地方自治体が固定資産税評価額を算定するための計算書類です。

以下のように建物の構造や設備などを分類し、それぞれに点数を付与することで、建物全体の評価をします。 

出典:総務省「第2章 家屋 第1節 通則 一 家屋の評価 家屋の評価は 

再建築費評点基準表は、会計上の勘定科目を区別するためのものではありませんが、建物の構造や設備の分類が詳細に記載されているため、「建物」と「建物附属設備」の区分に迷った際、貴重な情報源となります。 

特に中古物件の場合、建築当時の詳細な図面がないことや、売買契約書に「建物」としか記載されていないことがあるため、再建築費評点基準表を活用して建物と建物附属設備を正確に区分することが重要です。 

これにより、適切な償却方法を適用できるため、税負担の軽減につながります。 

 

2.「建物」と「建物附属設備」の違い 

通常、「建物」は長期間で償却されるため、税務上不利になります。 

一方、「建物附属設備」は、建物に比べて短期間で償却が可能です。

経営力向上計画を活用することで即時償却も可能なため、これらを正確に区分することで、税金の負担を軽減できます。 

以下は、主な減価償却資産の耐用年数です。 

科目  種類  耐用年数 
建物  木造の事務所用建物  24年 
鉄骨鉄筋コンクリート造の事務所用建物  50年 
建物附属設備  給排水設備 

衛生設備 

ガス設備 

15年 
金属製でないアーケード、日よけ設備  8年 

出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」より一部抜粋 

建物と建物付属設備の主な違いを、まとめました。 

勘定科目  建物  建物付属設備 
概要  主要な構造部分  建物の効用を高める設備 
具体例  壁、柱、床、屋根など  電気、給排水、空調設備など 
償却期間  長期間で償却  建物に比べて短期間で償却可能 

 

「建物」勘定に含まれるものは、主に建物の基本的な構造や主要部分を構成する部分です。

具体的には以下のようなものが含まれます。 

・屋根 

・外壁 

・内壁 

・柱 

・梁 

・床 

・階段 

・玄関ドア 

・窓枠 

・天井 

・床材 

一方で、建物に付随する設備や後から取り付けられた建物の効用を高める設備などは、多くの場合「建物附属設備」として計上されます。 

たとえば、次のものが建物附属設備です。 

・電気設備 

・ガス設備 

・給排水設備 

・空調設備 

・運搬設備(エレベーターなど) 

建物と建物附属設備の区分が困難な場合もありますが、可能な限り区分することで、減価償却費の増加による節税効果が期待できます。 

 

.再建築費評点基準表は大家さんしか受け取れない!

前述のとおり、再建築費評点基準表は建物と建物附属設備を区分するのに役立ちますが、毎年1月1日時点で物件を所有している方にしか交付されません。

つまり、原則として物件の所有者(いわゆる大家さん)にしか交付されないのです。 

さらに、交付時期は4月以降となるため、建物を購入しても3月決算の会社ではその年度内に入手することができない可能性があります。 

そのため、売買契約書を交わす際には、売主から委任状を取得し、自分で再建築費評点基準表を入手できるようにしましょう。

これを怠ると、すべての部分が「建物」として扱われ、税務上不利になる可能性があります。 

 

.まとめ

物件契約時に再建築費評点基準表を取得することで、建物と建物附属設備を区分する際の参考になります 

再建築費評点基準表とは、地方自治体が固定資産税の評価額を算出するための計算書類です。

この表は、建物の各部分の点数が詳細に記載されているため、建物と建物附属設備の区分に役立ちます。 

これにより、償却年数を短縮できる可能性があり、大きな節税効果が期待できるでしょう。 

ただし、再建築費評点基準表は原則として1月1日時点の物件所有者にしか交付されません。

そのため、売買契約時に売主から委任状を取得することが重要です。 

再建築費評点基準表上手く使えば建物と建物付属設備を区分し、早い期間で減価償却を行うことができキャッシュフローを改善することができます。 

ただし、税法は複雑で頻繁に改正されるため、最新情報に基づいた適切な判断が必要です。 

経営力向上計画の申請や設備投資における節税など、税務や会計でお困りの際は、丸山会計事務所までお気軽にご相談ください。 



この記事の監修

丸山会計事務所 税理士 代表 丸山和秀

税理士
丸山会計事務所代表 丸山 和秀(1986年生まれ)

税制支援20年以上、不動産税務、事業承継&M&A、法人資産税、設備投資時の優遇税制を得意とする。
「ともに未来を描く」を経営理念として、お客様と一緒に未来を描くことができる、提案型の“攻める税理士”として、経営ビジョンやニーズに寄り添い、適切なタイミングで、お客様のお悩みを解決するご提案を行う。

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